テラーノベル
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💙side
💚「しょっぴー!しょっぴー!事故物件見たよぉぉぉ♡」
ワイプの中で、阿部がにこにこ手を振っているのを見て、俺はいささか顔が引き攣っていた。隣りの席にはめめ。今日は朝早くから二人でロケがあり、車内に設置してあるカーテレビで阿部の生放送を揃って見ていたのだ。
🖤「相変わらず仲良いね」
💙「…………まぁな」
🖤「でも、阿部ちゃんって試写会も行ってなかった?」
💙「来てた…」
🖤「その後も二人で一緒に行ってたよね確か」
💙「………ん」
🖤「いったい何回目なんだろ?」
💙「さあな」
試写会の時の囲み取材で、今、阿部がブームです、だなんて深く考えずに口走ってしまったせいで、阿部はその日帰宅するとわざわざネットニュースを読み上げ、小躍りして喜び、その後は仕事の空き時間にも俺の映画に足繁く通ってくれている。それ自体は非常にありがたいのだが、もう合計で8回ほど行っていると聞いた時には流石に少しドン引いた。本人はまだ一桁だよ?なんてきょとんとしている。
💚「また一緒に行こうね?翔太」
💙「いや、うん、まあ……」
💚「だって今翔太の中じゃ俺がブームだもんねぇ???」
好意でしかないのだからありがたい…と思うしかないのだろう。昨日の夜、阿部は寝る前に指切りげんまんを強要してきたのだった。
💙「なぁ、なんで今夜もハンバーグなんだよ」
家に帰ると、一昨日も昨日も食べたばかりのメニューを阿部がエプロンを掛けて作っている。ハンバーグは大好物だけど、こう続くと飽きてくる。
阿部は素知らぬ顔をして、肉ダネを両手でキャッチボールしながら空気を抜いている。
💚「だって翔太、ハンバーグ大好きじゃん。それに、劇中翔太がハンバーグをモグモグ食べるのむちゃくちゃ可愛くって♡」
💙「それは何度も聞いたし、ハンバーグももう飽きた。そろそろ焼肉食べたい。外食しようぜ」
💚「はいはい。今夜はハート型にしようね?」
……全然聞いてない。
俺は諦め、テレビをつけて、ソファに背中を預けた。
💚「寝ちゃダメだよ?もうすぐ出来るから」
💙「ん……」
💚side
翔太はここのところお疲れだ。
ハート型のハンバーグをふたつ、俺にしては上手に焼き上げた、と思ってウキウキとソファに声を掛けに行ったら翔太は可愛らしい寝顔で寝ていた。翔太は映画の始まる少し前からプロモーションに駆け回り、電波ジャックは勿論、名だたる有名YouTuberのYouTubeチャンネルにも出演していた。
画面越しに見る翔太は、輝くばかりの美貌と可愛らしさを周囲に撒き散らし、俺だけのモノと思っていても、誇らしいような、それでいてやはり少し寂しいような複雑な気持ちになった。
作ったハンバーグにラップを掛け、翔太の隣りに座り、柔らかい髪にキスを落とした。んっ、と、これまた可愛らしい声がして、俺の肩に翔太が凭れ掛かる。誘ってるの?と聞くと、本当に眠っているようで、返事代わりに規則正しい本格的な寝息が聞こえてきた。
唇を重ねるだけのキスをして、翔太を横にすると、タオルケットを掛けてやる。包み込むように抱きしめ、ソファから降りると、俺は翔太の起きるのを待つことにした。
💙side
💙「んあ?やっべ、寝ちまったか……てか、おっも!!!」
俺はソファですっかり寝落ちてしまったらしい。目を開けると、いつの間にか横になっていた。ソファの下にいたらしい阿部の上半身が腹のあたりに乗っかっていてビクともしない。阿部は熟睡中だ。何なら軽くいびきかいてるし。
そう言えば今日は金曜日だった。
阿部は毎週金曜日は、生放送のために3時には起きて、俺を起こさないようにそっと出かける。 後から遅れて起きる俺は、机の上に用意された朝食を摂り、仕事へ行く。どんなに忙しい日も阿部は嬉々としていつも俺の世話を焼いてくれている。
💙「ありがたいよな…」
くーくー寝ている阿部のサラサラな髪を見遣る。阿部って、髪のケアには人一倍気を遣ってるよな、と思う。起きている時にはあんまりしないけど、そっと俺は阿部の髪の毛を撫でた。愛おしい、と思うくらいにはちゃんと好きなんだぞ。
💚「……ふふっ…しょぉたぁ……♡」
何やら良い夢を見ているらしい。俺出演の。
悪い気はしないから、俺は阿部に聞こえないくらいの声量で好きだよ、と呟くと、もう一度幸せな気持ちで目を閉じた。
コメント
9件
なんだかんだ甘々なあべなべもう最高💚💙やっぱこれ!!!
もう、まきぴよさんのあべなべ。これこれって感じ🙌💚がおおっぴらに好き好きキャピキャピしてウダウダなる💙の二人がほんとに可愛い🥺
かわいい🤭 先日のZIPを思い出したり💚💙