テラーノベル
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一同は気を失った茜を慎重に抱え上げ、家の中へ運び込んだ。
畳の部屋に布団を敷き、その上へそっと寝かせる。
苦しげだった茜の表情は少しだけ和らぎ、静かな寝息が部屋に響き始めた。
信愛は胸をなで下ろす。
「これで一応は安心かな」
さくらも力が抜けたように、その場へ座り込んだ。
「よかった・・・」
しかし焔垂は腕を組み、険しい顔を崩さない。
「でも何で急に?」
朝陽も不安そうに茜を見つめる。
「しかもまた、おじろくおばさ・・・」
言いかけた言葉を飲み込み、部屋に重苦しい沈黙が流れた。
やがて朝陽が口を開く。
「でもあの歌って・・白縫先輩が
一昨日夢で見たって言うヤツですか?」
信愛は静かに頷いた。
「多分同じだと思う」
焔垂は頭をかきむしる。
「ったく!何なんだよ!おじろくおばさって!」
信愛は真っ直ぐ焔垂を見つめた。
「こうなったら何がなんでもみんなから
聞き出すしかないよ。おじろくおばさについて」
焔垂も観念したように息を吐く。
「だな・・・また誰かが霊に
取り憑かれるかもしれねーからな」
◇ ◇ ◇
それから一同は居間へに行き、事の経緯を秋穂と美羽に説明する。
「え? 霊に取り憑かれた?」
信愛は真剣な面持ちで答える。
「はい・・・」
朝陽が先ほどの出来事を説明する。
「さっき茶畑で菅生先輩が
白縫先輩を鎌で襲ったんです」
秋穂は息を呑んだ。
「まさか・・・そんな事って・・・」
美羽も信じられないという表情を浮かべる。
さくらは意を決したように母と姉へ向き直った。
「お母さんや美羽さんには話してなかったんだけど
信愛には霊感があって、霊視や除霊ができるの」
美羽は目を丸くする。
「え? 信愛ちゃんが?」
信愛は小さく頷いた。
「はい・・・」
続けて静かに語る。
「これまでにも何度か霊を除霊してきました」
秋穂は半信半疑のまま問い返す。
「本当に?」
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
信愛は迷いなく答えた。
「信じれないかも知れませんけど本当なんです
ですから私は、茜に取り憑いた
霊の正体について知りたいんです」
「その為に皆さんに──」
信愛は一呼吸置き、意を決して続ける。
「おじろくおばさについて
詳しく教えてもらいたいんです」
美羽は俯き、小さく呟く。
「おじろくおばさ・・」
秋穂も言葉を失い、しばらく黙り込んだ。
「・・・・・」
信愛は深く頭を下げる。
「どうか・・お願いします」
その姿に続き、焔垂も頭を下げる。
「お願いします!」
朝陽も同じように頭を下げた。
「お願いします!」
三人の真剣な姿を見つめ、秋穂は静かに目を閉じる。
さくらも母へ必死に訴えた。
「お願いお母さん!それが何か教えて!」
美羽も複雑な表情で母を見つめる。
重苦しい空気が部屋を包み込む中、その静寂を破るように、奥の部屋から低く落ち着いた声が響いた。
「俺から話そう・・・」
一同が振り向くと、襖の奥から勇がゆっくりと姿を現す。
秋穂は驚きと安堵が入り混じった声を漏らした。
「お父さん・・・」
美羽は慌てて言う。
「でもおじろくおばさは──」
美羽の言葉を遮る様に、勇は静かに首を振る。
「いいんだ・・・」
その一言には、長年胸の奥にしまい込んできた秘密を語る覚悟が込められていた。
「さくらの友達が危険な目に遭ったんだろ?」
誰も言葉を返せないまま頷く。
勇は静かに首を振った。
「村の禁忌だとか、そんな事は関係ない」
信愛が眉をひそめる。
「村の禁忌?」
勇は遠くを見つめるように目を細めた。
「おじろくおばさってのはな・・・」
一度言葉を切り、深く息を吐く。
その表情には、長年胸にしまい込んできた記憶の重さが刻まれていた。
やがて、静かに語り始める。
「昔、この天虎村にあった奴隷制度を差す言葉なんだ」
その一言に、部屋の空気が凍りつく。
信愛は思わず目を見開いた。
「ど、奴隷制度!?」
コメント
1件
いやー、結構重いとこ来たな…!「おじろくおばさ」がまさかの奴隷制度の話だったとは。村の禁忌ってホラーかと思いきや、歴史的な闇が絡んでくると俄然深みが出るわ。信愛たちの真剣な頭下げに勇さんがようやく口を開いたシーン、めっちゃグッときた。あの重い空気の中での「俺から話そう」は、長年の封印を解く覚悟感じた🔥 続きが気になりすぎる…!