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#初投稿
みあるい
212
#高校生
松下一成
85
桜井 かな
549
1,979
一同は気を失った茜を慎重に抱え上げ、家の中へ運び込んだ。
畳の部屋に布団を敷き、その上へそっと寝かせる。
苦しげだった茜の表情は少しだけ和らぎ、静かな寝息が部屋に響き始めた。
信愛は胸をなで下ろす。
「これで一応は安心かな」
さくらも力が抜けたように、その場へ座り込んだ。
「よかった・・・」
しかし焔垂は腕を組み、険しい顔を崩さない。
「でも何で急に?」
朝陽も不安そうに茜を見つめる。
「しかもまた、おじろくおばさ・・・」
言いかけた言葉を飲み込み、部屋に重苦しい沈黙が流れた。
やがて朝陽が口を開く。
「でもあの歌って・・白縫先輩が
一昨日夢で見たって言うヤツですか?」
信愛は静かに頷いた。
「多分同じだと思う」
焔垂は頭をかきむしる。
「ったく!何なんだよ!おじろくおばさって!」
信愛は真っ直ぐ焔垂を見つめた。
「こうなったら何がなんでもみんなから
聞き出すしかないよ。おじろくおばさについて」
焔垂も観念したように息を吐く。
「だな・・・また誰かが霊に
取り憑かれるかもしれねーからな」
◇ ◇ ◇
それから一同は居間へに行き、事の経緯を秋穂と美羽に説明する。
「え? 霊に取り憑かれた?」
信愛は真剣な面持ちで答える。
「はい・・・」
朝陽が先ほどの出来事を説明する。
「さっき茶畑で菅生先輩が
白縫先輩を鎌で襲ったんです」
秋穂は息を呑んだ。
「まさか・・・そんな事って・・・」
美羽も信じられないという表情を浮かべる。
さくらは意を決したように母と姉へ向き直った。
「お母さんや美羽さんには話してなかったんだけど
信愛には霊感があって、霊視や除霊ができるの」
美羽は目を丸くする。
「え? 信愛ちゃんが?」
信愛は小さく頷いた。
「はい・・・」
続けて静かに語る。
「これまでにも何度か霊を除霊してきました」
秋穂は半信半疑のまま問い返す。
「本当に?」
信愛は迷いなく答えた。
「信じれないかも知れませんけど本当なんです
ですから私は、茜に取り憑いた
霊の正体について知りたいんです」
「その為に皆さんに──」
信愛は一呼吸置き、意を決して続ける。
「おじろくおばさについて
詳しく教えてもらいたいんです」
美羽は俯き、小さく呟く。
「おじろくおばさ・・」
秋穂も言葉を失い、しばらく黙り込んだ。
「・・・・・」
信愛は深く頭を下げる。
「どうか・・お願いします」
その姿に続き、焔垂も頭を下げる。
「お願いします!」
朝陽も同じように頭を下げた。
「お願いします!」
三人の真剣な姿を見つめ、秋穂は静かに目を閉じる。
さくらも母へ必死に訴えた。
「お願いお母さん!それが何か教えて!」
美羽も複雑な表情で母を見つめる。
重苦しい空気が部屋を包み込む中、その静寂を破るように、奥の部屋から低く落ち着いた声が響いた。
「俺から話そう・・・」
一同が振り向くと、襖の奥から勇がゆっくりと姿を現す。
秋穂は驚きと安堵が入り混じった声を漏らした。
「お父さん・・・」
美羽は慌てて言う。
「でもおじろくおばさは──」
美羽の言葉を遮る様に、勇は静かに首を振る。
「いいんだ・・・」
その一言には、長年胸の奥にしまい込んできた秘密を語る覚悟が込められていた。
「さくらの友達が危険な目に遭ったんだろ?」
誰も言葉を返せないまま頷く。
勇は静かに首を振った。
「村の禁忌だとか、そんな事は関係ない」
信愛が眉をひそめる。
「村の禁忌?」
勇は遠くを見つめるように目を細めた。
「おじろくおばさってのはな・・・」
一度言葉を切り、深く息を吐く。
その表情には、長年胸にしまい込んできた記憶の重さが刻まれていた。
やがて、静かに語り始める。
「昔、この天虎村にあった奴隷制度を差す言葉なんだ」
その一言に、部屋の空気が凍りつく。
信愛は思わず目を見開いた。
「ど、奴隷制度!?」
コメント
1件
いやー、結構重いとこ来たな…!「おじろくおばさ」がまさかの奴隷制度の話だったとは。村の禁忌ってホラーかと思いきや、歴史的な闇が絡んでくると俄然深みが出るわ。信愛たちの真剣な頭下げに勇さんがようやく口を開いたシーン、めっちゃグッときた。あの重い空気の中での「俺から話そう」は、長年の封印を解く覚悟感じた🔥 続きが気になりすぎる…!