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僕は彼女と約束した。また、この場所に来ることを…。
「ルーガ様。父上様がおよびです」
「わかった」
…
「失礼します」
「来たか。息子よ」
父上からの呼び出しなんて珍しいな。
「じつは、大事な話があってな。ターガが来るまでまってくれないか」
「…わかりました」
ターガとは、3つはなれた僕の兄だ。僕と違って真面目で、国のことを考えている。そんな姿をみていると、先に生まれてこなくて良かったと思ってしまうほどだ。周りからの評判も良い。僕とはおおちがいだ。
「父上、遅くなって申し訳ありませんでした。…それで、話とはなんでしょうか。ルーガもいるなんて、そんなに大切なのですか」
父上は鋭い目付きで兄を見た。僕達兄弟は…特に兄は父上のことを嫌っている。自分の良いように法律をつくりかえて…。自分の理想を僕達に押し付けて…!
「ああ。大事な話だ」
父上は大きく深呼吸すると、話し始めた。
「夜が、汚れはじめている」
その言葉に僕は身構えた。ベルのことだ…!
「最近の夜は血汚いにおいがする。このままでは、月と夜の世界に…。言葉にしたくもないな」
暗い表情で父上は言った。
「それがどうしたんですか?まさか、あのおとぎ話を、王である父上が信じてるんですか?」
これは兄だ。そして、父上が言った。
「あの話は、実際に起こったことだ。お前達は知らなければならない。あの悲劇を…」