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「お母さん!」
元気な声で私はお母さんにとびついた。
「ベル!もう、どこに行ってたの?心配したのよ」
「うん。ちょっと道に迷っちゃって…」
安心した様子で母は私に毛ずくろいを
した。すると母は、大事な話があると言ってきた。
昔、一匹の夜人がいた。その夜人は人間のことが好きで、いつも観察していた。
ある時、その夜人は人間から何か赤いものがたれているのを見た。何だろうと思いその赤いものに触れてみた。それは、少しぬめぬめしていて、へんなにおいがした。それを不意に夜人が舐めてしまった。どこかくせになる味だったらしい。
その時、月明かりが夜人に差した。すると、体が人間になった。驚いたが、その夜人はチャンスだと思ったらしい。人間とはどんな生活を送っているのか、どんな生き物なのかをもっと知れるかもしれない。そう思ったらしい。
しかし、数年たったある日、夜人たちに疫病が流行りはじめた。そして夜は広がっていくように、植物、生き物にもその影響が出てきた。そして、月の民にもだ…。その病気というのは、時間がたっていくと灰のように体がくずれていくものだ。
ある時、血を舐めた夜人がけがをしてしまった。その夜人の血が少しだけ、少量よりも少ない量だ。触れた瞬間、くずれはじめた。それだけじゃない。その夜人の体から出た全てが病気の正体だったのだ。好奇心の行動で、大切なものたちの命をうばってしまう。それに耐えきれなかった夜人は自ら命をたった。
ただ僕は、恐ろしかった。…ベル…。