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私はこの世に絶望していた。
生まれた時から同じだったからだ。
たとえ、親の温かみに触れても、女性と愛を育もうとも同じだろう。
なぜって?
全員同じような顔にしか見えないのだ。
その顔も美しいという訳でもないからだ。
私の目には、人の顔はこう見える。
服も着ていない、皮膚は爛れ、唇は焼け切れた跡が大量にあり、瞼はなく、眼球が露出し、しかもその目は真っ赤に腫れ上がっている。
それが、私から見た他人の顔。
親も、同級生も、テレビで見た有名人さえもみんなそうだ。
飽き飽きする。
幼稚園の頃は、もちろん怖かった。
怖く、毎日のように泣いていた。
だが、小学校に上がる頃にはなれていた。
醜い顔を見ても、あぁ、そうか。と諦めてしまった。
だがなぜだか、小学校時代の同級生の顔は特別醜い訳ではなかった。
おそらく、心の汚さが比例するのだろう。
とある都会なんか、最悪だ。
みんな汚い。体が異形化してるものすらいた。
そんな私も、もう高校生だ。
私…谷川 誠斗は教室の真ん中の席でぼんやりと考えていた。
「谷川くん。」
ふと、右側から声が聞こえた。
声のするほうをむくと、私の担任である、
宮城 佳奈先生が立っていた。
やはり、彼女も醜い。
「今日の課題、出してもらっていいかしら?出てないの、あなただけよ。」
「あぁ、すみません。すぐ出します。 」
私はカバンを漁る振りをして、顔から目を背けた。
課題はどこだっただろうか。
しばらく漁っていると、
「ないならないでいいわ。明日必ず出してね。」
そう言い、背を向け去っていった。
「誠斗、また課題忘れたの?」
左側から話しかけてきたのは、私の幼なじみである 猫宮 雫。
面倒見がよく、明るく真面目で、清楚…と、周りは思っているが、私は違う。
彼女はとんでもないクズだ。
彼女の体は、胸元と下半身、頭部が酷く異形化している。
彼女は中学の頃、6人の男子生徒と同時に関係を持った。
その全員と身体の関係もあったようだ。
…まぁ私からしたらどうでもいいのだが。
「何か悪い?課題くらい誰でも忘れるよ」
「誠斗はペースが異常なの。 」
「解ってる」
「勉強しか出来ないもんね」
「…うるさいな。」
話すのが面倒になったので、その場を後にし、屋上へ駆け上がる。
ここはいい。この学校において唯一の癒しの場。
普段は誰もいない、私だけの場所だ。
そんなことを考えながら、屋上へと続く扉を開けた。酷い錆びた音だ。
ギィィ…と音を立て開ける。
…今日は先客がいるようだった。
「あなた、誰…、?」
私はその女と見つめあった。
その時初めて、恋に落ちた。