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2 - 安城百合香

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2025年06月11日

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しばらくの間その少女と見つめあった。


美しい。初めて人に対してそう思った。


ひまわりを連想させる黄色い目


大きく、だがいやらしくない自然で美しい唇


すーっと通った鼻筋


風に従順になびく髪。


醜い顔の面影もない。他と違い、服を着ているように見える彼女。


美しい 美しい 美しい


私のものにしたい。


「あ、あの…私になにか…用ですか、?」


オドオドと彼女が私に聞く


「あぁ、ごめんなさい。僕、誠斗と言います。 」

「えっと…私は百合香…です。」



話を聞くと、彼女は自殺しようとしていたようだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


私たちは帰る方向が同じだったので、一緒に帰ることにした。


校門前で彼女を待つこと…3分25秒32。


彼女が駆け寄ってきた


「おまたせしました!百合香です!」


やはり美しい。生徒玄関から走ってきたのか、彼女の頬は夕焼けのような赤に染まり、美しく見えた。


「全然待ってませんよ、行きましょう。」


私は笑顔で答えた。爽やかだろう。


「はい!あの、お話したいことって…」


あぁ、そういう誘い文句だった。

適当なことを言っておこう。


「なぜ自殺しようとしたのか聞きたくて。」


「…あぁ、それですか… 」

さっきまでにこやかだった彼女の顔が、すぅ…と暗くなるのを感じた。


今の質問はまずかったか、質問を変えよう。


「…じ、実は…」


彼女が話し始めた、やっぱりやめて真摯に聞こう。


「父に虐待を受けてるんです。母が不倫で出ていって…それから父子家庭で。」


「なるほど…それは辛い。頼れる人も…」


「ほとんどいません。」


「御学友は?」


「ぼっちなので…」


…ふむ。つまり…


彼女が今頼れるのは私のみ。私に依存させるのは容易いだろう。



「…誠斗さん?」


「ん?あぁ、すみません。ぼーっとしてました。」


「そうなんですね、私家こっちなので。では。」


「さようなら。」


彼女はT字路の右の道へと歩みを進める。


私も、自宅のある左の道へ…


行くわけが無い。


彼女が心配だから、ついていって監視をしておこう。


変な虫に付かれたら、彼女も醜い顔になるかもしれない。


彼女はT字路を曲がって、ゆっくりと歩く。長い髪がたなびき、遠くからでも彼女の香りを感じる。


すると、自分の家に着いたのか、カバンを漁り鍵を取り出す。俗に言う鍵っ子だろうか。


彼女は大きく深呼吸をすると家へと入った。


安城百合香。


同い年。いじめ、DVの苦しみに日々耐えている。

彼女自身は醜くは見えない。

彼女を汚さないように、早く何とかしなくては。


明日GPSでも付けておこう、それと盗聴器。彼女のために。

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