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狭山さんから、「霊能業界の人にはタメ口のほうがいい」とLINEで言われて、俺と千歳は困惑してしまった。どういうこと?
「……なんか……微妙な力関係働いてる? 霊能関係の人に対しては、千歳はへりくだった言葉遣いしないでほしいってことなのかな?」
『とりあえず、そう聞いてみる』
千歳(朝霧の忌み子のすがた)はさっとLINEを送り、そしたらまた狭山さんから素早く返事が返ってきた。
「僕らとか、心霊関係の人にはちょっとだけ偉そぶってほしいんですよ、千歳さんはすごい怨霊ってことで通ってるので。まあ関係ない人なら敬語で問題ないと思うんですけど」
あー、なるほど……。
千歳はまた狭山さんにLINEを送った。
『じゃあ今のままがいい?』
「多分そうなんですが、いや、僕の一存じゃ決められないですねこれ。ちょっと緑さんとお義母さんにも相談してみます」
狭山さんのお義母さん、金谷牡丹さん。千歳の戸籍上の母親でもある。え、そんな話でかくなるの!?
『ごめん先生、ワシからも緑さんに聞いてみる。牡丹さんはワシLINE知らないから頼む』
「大丈夫ですよ、ちょっと時間かかりますが、すみません」
千歳は狭山さんにお礼のスタンプを送って、『なんかえらい騒ぎになっちゃったなあ……』と呆然と呟いた。
「ここまでなるとは、ちょっと思わなかったね……」
『何もしないほうがよかったのかなあ?』
千歳はしょんぼりしてしまった。
「いや、敬語は使えたほうがいいよ。あっちも千歳の要望はなるべく叶えたいから動いてくれてるわけだし」
『うん……とりあえず緑さんに話通しとく』
「うん、そうしな」
夜、夕飯もシャワーも済ませてソファで二人リラックスしているときに、緑さんから千歳にLINEが届いたようだ。
『えっと、やっぱり心霊関係の人にはタメ口で話してほしいって。でも関係ない人には敬語で全然構わないって』
「そっか、他になんか言ってた?」
『関東の心霊業界は、ワシっていうすごい怨霊が味方になってることで得してるところが多いから、その怨霊が普通の人間みたいに敬語で喋るとメンツが保てない人も多いから、騒ぎにしてごめんねだって』
「ああ、そういうことなのか……」
メンツかあ……まあ、こだわる人もいるよな……。
『あと、和束ハルのこともあるんだって。和束ハル探し、関西の家も協力してるから』
千歳はLINE画面を見ながら言った。
「あ、そうなの?」
『なんていうかさ、和束家は和束ハルがあんな霊になったことを怒られてるし、関東の家だけだと和束ハル探しうまく行かないから関西にも応援求めてるって話だし。でも、関西のほうが家の歴史あるから、関東は関西に強く出る材料が欲しいんだって』
「それが、千歳がすごく強い怨霊ってこと?」
俺がそう聞くと、千歳は頷いた。
『ワシ、術式は詳しくないけど、霊力だけはすごく出せるし、すごい霊力ってだけで結構いろいろできるからさ。強いすごいワシが味方だぞ! ってやりたいときに、そのワシが敬語で話してたら困る、って感じらしい』
うわ、めんどくさい話……。
「……なんていうか、そういう力関係は大変だね」
『まあ、よくある話だけどさ。足引っ張り合わないだけマシだと思う』
千歳はサラッと言った。意外とこういう、心霊業界の話には慣れてるんだよな、千歳。
「まあ、でも、心霊関係の人以外には普通に敬語使っていい、って話だったからね。とりあえず、初対面の人には敬語で話すようにしな」
『うん』
「俺のおばあちゃんにも敬語ね」
『うん……なんかお前、おばあちゃんにこだわるな?』
千歳は首を傾げた。
「あ、ごめん。それはね……」
俺は頭をかいた。
「あの……ちゃんと秋になって、コロナが減ったらまたおばあちゃんと直接面会できそうなんだけどさ。その時に、千歳もおばあちゃんに会ってもらえないかと思ってて……」
老人ホームの面会は家族だけなのだが、職員の人に相談したら、俺とずっと同居してる人なら、コロナが減ったら面会してもいいことにするかも、と言われてるのだ。
『え、面会って家族だけじゃなかったのか?』
千歳は目を丸くした。
「まだ職員の人と相談中だから、本決まりじゃないんだけどね。もしOKが出たら、来てくれないかな?」
『うん、行く! お前のおばあちゃんの彼氏も見てみたい!』
千歳は無邪気に笑った。気になるのそこかい。
『あ、でも、前に夢の中でお前のおばあちゃんと会った時の格好になれるかなあ?』
「なれなきゃなれないで、適当に言い訳考えるけど……」
『ちょっと待て、ちょっと頑張ってみる』
千歳はボンと音を立て、女子大生の姿になった。
「おお、その格好ひさびさ」
『うーん……頑張ってればなれるな。気を抜いたら戻るけど』
千歳はまたボンと音を立てて朝霧の忌み子に戻った。
「じゃあ、頑張らせて悪いけど、今変わった格好で来てくれないかな?」
『うん』
千歳は素直に頷き、それから笑って言った。
『お前が肋骨ちゃんと治ったらさ、いい感じに秋になってると思うし、おばあちゃんに会う以外にもどっか遊びに行こうな』
俺は胸を突かれた。そう言えば、俺が心停止する前に千歳はそんな事を言ってくれていた。そうだ、いろいろあって忘れてたけど、俺はまた千歳と遊び歩けるんだよな。
「……うん、行こう。行きたいとこあったら考えといてよ」
『んー、どうしよっかなー、どこ行こっかなー』
千歳はスマホをいじり始めた。
どこでも行くよ、どこにだって遊びに行こうよ。俺はまだ千歳のそばにいられて、千歳と一緒に歩けるんだから。
コメント
1件
よかった〜!!めっちゃほっこりした回だったね😭💕 前半の霊能業界のタメ口問題は「なるほどそういう力学か…」と勉強になったけど、後半の「おばあちゃんに会ってほしい」展開が尊すぎて胸きゅんしたよ!!千歳が無邪気に「おばあちゃんの彼氏見たい!」って笑うシーン、めっちゃ可愛かった〜✨ そして最後の「どこにだって遊びに行こうよ」って主人公の気持ち、沁みる…。また一緒に歩ける日常が戻ってきて本当によかったね😢🌸
#幽霊
凛道桜嵐 新
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がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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