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次に飛び込んで来た映像は、制服を着た女子校生の後ろ姿だった。
彼女は見覚えのある民家の玄関先に立っていた。
そして、彼女がチャイムを鳴らすと玄関のドアが開き、中から年配の女性が出て来た。
マサおばあちゃんだった。
それからしばらく2人は何かを話した後、彼女は手に持っていた“木の箱”をマサおばあちゃんに渡した。
映像はここで終わっていた。
「葵さん…映像は断片的どころかハッキリと写し出されていたけど、どういう事ですか?」
「すいません…。紺野さんは見ない方がいいと思ったので…」
「どうして? 茉奈ちゃんを助けるカギが隠されているかもしれないのに…」
「あの映像は危険なんです…‥」
葵さんは、目をつぶり口を硬く閉じた。
何かに怯えている様子だった。
「あの映像のどこが危険なんですか?」
「あの映像…未来ではなく、過去のものなんです。私の能力は未来を見る力です。過去は見えません。たぶん送られてきた映像です…」
「そう言えば、マサおばあちゃんちゃん…若かったような気がする。だとしたら、いつの映像なんですか?」
「たぶん10年くらい前のものだと思います」
「10年前…2012年…。僕が小学1、2年生の頃だ…。でも、何で10年前? それに彼女は一体誰なんですか?」
「わかりません。でも10年前っていったら…。あっ…」
最後の方はよく聞き取れなかったけど、葵さんは何かに気付いたような感じだった。
「何ですか?」
「いいえ…。只、もしかしたら10年前の2012年には何かしら時空間の歪みがあったのかもしれません」
「どうしてそう思うんですか?」
「制服姿の彼女は、あの時代の人間ではありません。たぶん、未来から来たんじゃないかと思うんです」
「未来からってどういう事ですか?」
「たぶん能力者です。しかも私では太刀打ちなど出来ないくらいの超高次元の能力者…。だからワザと能力者だと私にわからせる為にガードをかけていなかったのかも…。しかも彼女が、この映像を私に送りつけてきた張本人です」
葵さんは怯えているようで、震える腕を押さえていた。
「大丈夫ですか?」