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花溪ちゃんイジワル可愛いー♡ 続き待ってるよっっ!!
このエピソードを読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m また、連載が不定期で申し訳ないです💧 🌸これからもどうぞよろしくお願い致します🌸
―――帰宅後
僕は、手を洗った後すぐ、自分の部屋で
スケッチブックの彼女に描いてもらった『おまけ』のページを見つめ直していた。
まるでプロの漫画家のような、繊細な感情の表現の仕方。
コマの分け方。吹き出しの書き方。
描き文字の書き方。
その全てが完璧なのだ。
これ以外の言葉が出ないほど――。
僕はこの時に思った。
―――将来、花溪さんのような漫画家になりたいと。
―――翌日・朝
僕は学校に向かって道を歩きながら、彼女のことばかり考えていた。
今日も話せるだろうか、会話のチャンスは訪れるだろうか。
そんなことが頭にずっとよぎっている。
それも昨日から。
僕はため息を一つ吐いた。
なぜ吐いたのかは、僕にも分からなかった。
―――校舎で
気づけば学校に着き、教室前までやって来ていた。
今日もきっと一番乗りだろう。
そう思いながら扉を開け、教室に一歩を踏み入れた。
その瞬間___
「おはよう」
「笠間くん!」
なんとも美しく、透明感のある声が 教室一体に響き渡った。
その声の主は、もちろん………
花溪さんだ。
「お、おはよう、花溪さん……っ」
そう言うと、彼女は嬉しそうににっこりと微笑んだ。
「(く……っ)」
朝からこんなに興奮するとは思っていなかった。
僕は目を閉じ、深呼吸をした。
そして同時に、花溪さんも話し出す。
「私、今日は漫画を完成させたくて、早めに学校へ来てみたの」
「教室に足を踏み入れた時、すごく清々しい気分になったわ」
「漫画も上手く描けそう、って思ってね――」
「(朝から漫画、か……)」
「おっと、話がつい長引いちゃったわね」
「よければ……笠間くんも、一緒にどうかしら?」
「えっ?」
「ほら、昨日、私の漫画を笠間くんが褒めてくれたでしょ?」
「それが嬉しくて、新しい漫画を書き出したのよ」
「それを一緒に書こうかな、なんて思ったりね」
花溪さんは優しい笑みを零し、持っていた鉛筆を机に置いた。
そしてこちらに近づき、僕の手を取ったのだ。
「は、花溪さん……?!」
「ふふ、ちょっと意地悪しただけよっ♡」
「そ、そんなぁ……」
彼女は悪戯っぽく笑った。
その表情に、僕は胸を打たれた。
ただ笑っただけなのに
表情を少し変えただけなのに。
僕の鼓動は分かりやすく高鳴っている。
そして言葉に詰まってしまった。
これは僕にありがちなこと。
感情が高ぶると、言葉がすぐに出てこない。
焦れば焦るほど、喉に言葉がつっかえる。
「っ………」
「とりあえず、一緒に描くことは決定ね?」
「う、うん…!」
僕は緊張しつつも、なんとか返事を返した。
よかった、ちゃんと言えた―――!
そう。
僕が一番苦手なのは、人とのコミュニケーション。
特に恋をしている相手と当たり前のように話すだなんて、そんな事は到底出来やしない。
でも今回、初めて言葉をちゃんと相手に伝えられた。
返事が出来たのだ。
花溪さんにとっては、ほんの些細な会話だったかも知れない。
でも、僕にとっては大きな一歩だったのだ。
そして、彼女と笑みを交わした時だった____
その時、ガラガラと音を立て、ひとりの生徒が教室に入ってきた。
その生徒とは………
なんと、僕がクラスで一番関わりたくないと思っていた
《鮫島燎(さめじま りょう)》
だった―――。