前回のあらすじ
仲直り
〇〇「お出掛けする」
散歩中
兄さん「眠れ」
〇〇「ここどこ」
兄さん「話そう」
〇〇「マジか」
〇〇「楽しかった。帰ろう」
〇〇「お前らなんでいんねん」
─gr視点─
「…」
さっきから何やら黙り込んでいるトントン。
表情も元気とは言えない。
体調が悪いのか…?
声を掛けた方がいいだろう…
でも今私は声を掛けられる勇気がなかった。
何故なら声も掛けられないぐらいの威圧な雰囲気で、近寄りがたかったからだ。
恐らく他の皆もトントンの異変に気付いているだろう。
それでも私はトントンの事が心配で気になっていた。
話しかけようか話しかけまいかの二つの愚問が頭の中をぐるぐると回っていた。
しばらく考えていた私は小声で聞くことにした。
喉を鳴らして肩をとんとんっと軽く叩く。
「…なんや」
トントンは私の方に振り返り、
威圧の雰囲気のままギロリと恐ろしい目で私を睨んで言った。
その声はとても低く、とても恐ろしい声だった。
低い声で睨まれて私は思わず背中がゾクッと震えてしまう。
その恐ろしい声や目に負けて、私は引き返したい気持ちになった。
だがもう声をかけってしまったんだ。
ここで引き返すのはもったいない。
私は口をゆっくりと開く。
「…その…」
「?なんや何の話してるん?」
私は覚悟を決めて言おうとした瞬間、
ロボロが間に入って私達に話しかけた。
言おうとした事をロボロに遮られたがそれは私にとって救いの手だった。
私は気まずい空気からなんとか逃げられた。
「あ……」
〇〇嬢が何やら口を歪ませる。
「うわぁあ!!買うの忘れたぁあ!!」
「何を?」
叫んでいる〇〇嬢にゾムは首を傾げながら聞いた。
「執事組はちょっと部屋出といて」
〇〇嬢は執事になりすましてるエーミールとロボロに向かって言った。
「執事組にサプライズで買い物しようとしたんだけど忘れたんだよ…っ!!」
〇〇嬢が小声で私達に話してくれた。
どうやら〇〇嬢の話によると、
買い物しようと道を歩いていたらにしつこく2、3人の男性達にナンパされていたらしい。
何か言い訳を考えようと適当に飲食店を指差して「あそこでムキムキのごつい彼氏が待ってる」と男性達に言ってその飲食店に入ったと言う。
男性達はその創作ムキムキ彼氏とやらを信じて逃げていった。
〇〇嬢は甘い物やスイーツが大好物なのでその入った飲食店の看板メニューにある、
「もちもちいちご大福」
に目がいって食べていたらいつの間にか忘れていた、だそうだ。
「〇〇嬢らしい…」
その話を聞き終えたシャオロンはそう馬鹿にするように呟いた。
私も〇〇嬢の気持ちに少し共感していた。
何故なら私も以前書類を後でやろうとケーキを食べていたらいつの間にか忘れていてトントンに叱られたからだ。
「甘い物は正義を救うのだ」
うんうんと私は〇〇嬢の言葉に頷いていた。
「グルちゃんと同じやなぁw」
鬱も軽く笑いながらからかう。
それを聞いた皆も「ほんまにw」とからかってきた。トントンはまだ暗い雰囲気だが。
「終わったんかぁ!?」
するとロボロが扉越しに聞いてくる。
つい長い時間話してしまったので待ちくたびれたのだろう。
「あ、ちなみに執事組にはこの事内緒ね」
と、〇〇嬢は自分の唇に人差し指を軽く当てお茶目に小声で言った。
そして扉に向かって「もういいよー!」と元気よく声を掛ける。
その言葉を聞いたエーミールとロボロはやっとかとため息をついて入ってきた。
「あ、そろそろ帰るぞ〜」
するとひとらんらんが時計を見て皆に声を掛ける。
「えぇ〜」
「もうそんな時間!?」
駄々をこねる者も、素直に聞いて帰ろうとする者も別れており、部屋の中はワチャワチャとしている。
「俺達そもそも勝手に入ってたんだし」
ひとらんらんはゾムを腕で抱き、もう片方の手では鬱、シャオロンを掴んだ。
そしてオスマンを背中におぶった。
流石私達の扱いにもなれている常識人。
「トントン、他の人達頼んでいい?」
ひとらんはずっと黙り込んでいるトントンに声を掛ける。
「…俺ここに残るわ…先に行っといてくれ」
するとトントンはいつもの優しい声ではなく、沈むような暗い声でそう答えた。
「わ、分かった…」
ひとらんはそんなトントンに従うしかなかった。
トントンにはどうしたのか聞けそうにもない圧に、細く暗い目をしていたからだ。
いつもお出掛けから帰る時は私が駄々をこねてトントンに抱かれながら帰らせらる。
だが今日は大人しく帰ることにした。
トントンにも何やら事情がありそうだ。
そして私は部屋から離れて皆と一緒に帰る。
「なぁなぁトントンおかしなかった?」
すると帰っている途中にシャオロンが口を開く。
「俺も思った。なんかあったんかな…」
「でもどうしたのか聞けなさそうだったよね」
皆もトントンの様子の異変に気づいていたようだった。
「彼女に振られたとかちゃう?」
鬱はおふざけ程度に軽く言った。
いつものように。
皆はそのいつもの鬱の言葉に少し重い空気が和んだ。
「まぁ聞けそうな時に聞けばええし!」
シャオロンはひとらんに引き摺られながら明るく言った。
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♡3000
コメント
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フッ3000なんてお安い御用さ☆
ワァまさかtnさんが最初とは…
らんらんwww