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「……あっ………」
有島が短い呼気を漏らした
弴の指先が有島の首筋、ちょうどうなじの柔らかい部分をなぞったからだ
オメガにとってそこはアルファに牙を立てられ永遠の従属を誓わされる聖域
「武郎兄はいつも自分を犠牲にすることばかり考える。…僕にさえ遠慮するんだね」
弴の声には愛おしさとそれ以上に深い独占欲が滲んでいた
彼は有島の細い手首を掴み、机の上に押し留める
積み上げられた原稿が散らばり床に落ちる乾いた音が響いたが今の二人にはそれすら遠い世界の出来事のようだった
「弴、待って…誰か来たら…」
「大丈夫。誰か来てもどうにかなるよ」
弴の唇が有島の耳たぶから鎖骨へと滑り落ちる
アルファの放つ強烈な威圧感が有島の体内の熱を一層煽り立てた
有島は自らの意思とは裏腹に弟の香りに溶けていく感覚に身を任せ始める
「…ずるいよ……そんな言い方…」
有島は弱々しく毒づいたがその瞳は熱に浮かされ弟の姿だけを求めていた
弴は満足げに目を細めるとついに兄のうなじに鋭い牙を寄せる
「いいよ、武郎兄。一生僕の重荷になって…僕が一生かけてそれを愛してあげるから」
食い込む痛みが走ると同時に痺れるような快楽が有島の全身を貫いた
それは兄弟という枷を捨てつがいという名の新しい鎖で結ばれた瞬間だった
散らばった原稿にはまだ乾かぬインクで綴られた文字が並んでいる
けれど今この時、彼らの物語を綴るのはペンではなく重なり合う体温だけだった
完
ここまで見てくれてありがとうございました
次は直多喜で花吐き病多分投稿します
それでは