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さて、急ぐとするか。
もし、Aクラスや教師のような上位の奴らが攻めてきていたら時間が無い。
急がないとな。
僕は音のする方へ向かった。
音は、いつぞやの式典会場から聞こえた。
扉を開ける。
まず、目に飛び込んだのは血溜まり。
逃げ遅れた革命軍の残骸とその下にある血溜まり、そしてそれらを横目に暴れ回る敵。
敵の姿を見た途端、胸が苦しくなる。
呼吸が荒い、まるで山にいるみたいだ。
自分「………..はあ、はあ…….」
???「よかった、無事だったんだね。」
だって、だって、そこにいたのは。
自分「優………….奈?」
俺の、親友だったんだから。
ユウナ「大丈夫?革命軍に何もされてない?」
優奈は心配そうに駆け寄ってくる。
優奈の刀は紅く染まっている。
血だ。
自分「…どう…..して?」
声を絞り出す。
優奈はキョトンとして首を傾げる。
ユウナ「どうして、ってこの人は澪苑を連れ去った敵なんだから当然でしょ?」
自分「…………………….、」
優奈は幼馴染だった。
学園に入るまでは常に一緒にいて、よく遊んだ。
学園に入ってからはAとFに分かれて会うことは無くなった。だけど、時々話すことがあって楽しかった。
小学生ぐらいの時、いじめられていた優奈を助けたことがあった。
その時から優奈は俺に依存し始めた。
いつしか、避けるようになっていた。
そうだ、依存していたんだ。
俺が連れ去られたらこうなるって分かっていた。なのに、俺はそれを忘れていた。
この失態は全部、俺のせいだ。
ユウナ「ねぇ、帰ろ?」
優奈は手を差し出してきた。
前の俺なら、この手を取って帰っていただろう。だけど、
自分「僕は、もう………..帰れない。」
ユウナ「え?」
レオン「僕は、もう…………帰れない。」
自分「え?」
彼に手を伸ばした。だけど、私の手を取ってくれなかった。
自分「どうして?」口からこぼれた。
自分「脅されてるの?人質がいるの?そうなんでしょ?」
そうと言ってでないと、私は。
レオン「違う。脅されていないし、人質だっていない。」
自分「なら、どうして?」
レオン「俺は、学園の闇を知ってる。」
レオン「忘れようとした、だけど忘れられなかった。」
彼の目から涙が溢れる。
レオン「もう、学園に戻りたくないんだ。」
彼は泣きながら、私の目を見つめた。
何度も見てきた目だ。
覚悟を決めた目、この目をした彼を一度も止めれたことは無い。
自分「そっか。うん、分かった。」
自分「戻りたくないんだね。いいよ。」
口ではそう言ったがとても、悲しかった。
彼に拒絶されてしまった。
彼に背を向けて走り出す。
優奈は走り去った。
「戻りたくないんだね。いいよ。」と言ったあいつは泣いていた。
戻るのもいいのかもしれない。
そのほうが楽だろう。
だけど、もう戻れない。あの地下を見てしまったから。
戻りたくない。
心の中で言い訳をしながら、未夢達が向かった方へと走るのだった。