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自分「ふぅ。」
走り続けていたからか、心臓の音がうるさい。
避難先は町外れの廃ビル。ここ数年は人が寄り付いていない場所だ。
ガヤガヤ、かなり騒がしい。
まあ生きてる証拠だから我慢するか。
周りを見たが未夢たちの姿はない。
一体どこに行ったのか。と思っていると
「お兄ちゃん!」と声が聞こえると同時に抱きつく感触があった。
ミユウ「無事だったんだね!」
アカリ「あなたやっぱしぶといねぇ。」
自分「運が良かったんだ。」
アカリ「でも運も実力の内って言うじゃん。」
自分「まぁ確かに。」
実際、相手が優奈じゃなかったらかすり傷ぐらいはしていただろう。
自分「ちなみに負傷者はどれくらいなんだ?」
アカリ「負傷者はボスと緋彩が確認中ー」
自分「そうか。」
もうすぐ決戦だ。戦力が減るのはまずい。
ミユウ「ねぇねぇ、お兄ちゃん。」
未夢が突っついてくる。
ミユウ「負傷者ってなにー?」
未夢はまだ子供、難しい言葉が分からなくて当然だ。
自分「負傷者ってのはなー」
とそこで言葉が喉につっかえる。
負傷者とは争いで生まれる怪我人だ。
未夢に対して争いに関係することは教えたくない。どう答えるべきか。
と考えていると。
アカリ「負傷者ってのはねぇ、怪我人の事だよ!」
朱里が答えていた。
ミユウ「普通の怪我人とは違うの?」
アカリ「ちょっと違うよー。傷が大きいか小さいか!」
ミユウ「なるほどー」
未夢は納得した様子だった。
避難してから数時間が経過していた。
大多数の人間は寝ていた。
数名は起きているが交代で寝ているようだ。
無論、未夢も寝ている。
自分「朱里、さっきは助かった。」
そういうと朱里は驚いた表情をしていた。
アカリ「驚いた。あなたから感謝されるなんて。」
自分「俺も感謝ぐらいする。」
アカリ「へぇー。で、さっきって?」
自分「未夢の質問。」
アカリ「別にいいよあれくらい。」
アカリ「答え簡単なのに言わないのはあれでしょ?」
アカリ「妹ちゃんを巻き込みたくないんでしょ。」
自分「そうだ。僕はこんな奴だ。戦ってばっかだ。だからせめて、妹だけは平和ボケしていてほしい。」
別に、平和じゃなくてもいい。ただ戦争に巻き込まれていなければ。
アカリ「あなたは優しいねぇ。」
自分「優しい?僕がか?」
アカリ「そう、妹ちゃんに優しいじゃん!」
それだけ言うと朱里も横になった。
優しい、か。僕は優しいのだろうか?
あんな過去を持って、それに対する罪悪感から妹に接する。そんな僕が優しいのだろうか?
誰か、僕の全てを見ている奴がいるのなら教えてくれ。
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