ゆっくりとした動きの中で、佐久間の息が震え始める。
何度も重ねた夜のはずなのにその瞬間が近づくたび、佐久間は決まって俺の顔を見つめる。
泣きそうな目で、懇願するように。
「……阿部ちゃん」
かすれた声で名前を呼び、震える手で俺の頬を触れる。
ばっくの時は特に、ぎゅっと抱きしめられながら「顔見たい」とはっきりと言う。
まるで、それがないとダメになってしまうみたいに。
「俺の顔、そんなに見たい?」
問いかけると、佐久間は小さく頷いた。
身体の熱とは別の、どこか寂しげな眼差し。
(俺の顔、見ないとダメになっちゃってるのかな……)
何気なく思ったことが、じわりと胸を締め付ける。
いつもふざけて、周りを笑わせてくれる佐久間が、こんな風に不安そうに俺を求めるなんて。
「大丈夫だよ、ちゃんとここにいる」
優しく髪を撫でながら、そっと唇を寄せる。
佐久間は安心したように息を漏らし、ぎゅっと俺にしがみついた。
「……好き」
小さく囁く声が、心を甘く揺らす。
「俺も」
何度だって伝える。
佐久間が、不安なんて感じなくていいように。
コメント
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