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初コメ失礼します 明確な悪役を作らずにここまでストーリーを成立させられているのが、もう……すごい(語彙力消失) 話のテンポが良くて読みやすかったです。話がスラスラ進むのに丁寧でもあって……すごいっ(語彙力消滅)
「もて遊ばれてるんだよ、お前。」
「!! (もて遊ばれてる……ッ)」
私、遊ばれてるの…?元々、本気に好きになってくれて無かったって事…?
「だって、お前の告白から付き合ったんだろ?そんじゃ、テキトーに返事したんじゃねーのか?」
「っ、春人の言う通りかも…」
確かに、ノリで「OK」返事をされたのかも知れない。
すぐ別れる前提で…
「だとしたらサイテーだよ…」
「サイテーだろ。お前をフった時点で。」
「うぅっ………っ」
「! おい泣くなよ…!」
健人くんに一生 ついていくつもりだったのに…
なんで裏切られなきゃいけないの…っ!
私は、また机に突っ伏して泣きじゃくった。
顔がグチャグチャだけど、そんなのどうでも良かった。
たった一人の、私の味方が居てくれたから…
「こんな事で泣くなよ、バカ…っ」
そう言いながらも、彼は私の頭をそっと撫でてくれた。
春人は 私の頭を自分の体に引き寄せ、優しさで包みこんでくれた。
「春人ぉ……、、」
「そんな奴、放っておけば良いだろ。 ――他の人、探せよ?」
「…他の人…?」
「っ、やっぱ何でもねー。」
「?」
でも、春人のおかげで一気に気が楽になった。
まるで、心の中で降っていた大雨が止んだかのように____
そうだ、健人くんは私を好きじゃなかったんだ。
そんな人を愛する必要なんて無い。
「ありがと、春人っ!気が晴れた!」
「…良かったな。もう一生、健人の事なんか好きになるなよ?」
「どういう事…?」
「そういう事。」
「どーゆーこと〜〜!?ww」
「ははっw」
春人の言っている事はよく分からなかったけど、今自分が幸せなのは確かだった。
健人くんと居る時より ずっと気軽に話せるし、ずっと幸せ…
なんでだろう、こんなに心地良いのは―――
春人の温もりが、私の体にどんどん染み込んでいく。
こんなに気持ち良いの、初めてだ___
「七葉。」
「ん、はい?!」
いきなり名前を呼ばれて少し動揺したけど、笑えるような状況では無かった。
春人が、さっきより真面目な表情をしていたから。
「今、幸せ?」
「え……?」
――過去史上最高に圧を感じる瞬間だった。
それと同時に、春人の つぶらで熱く燃える瞳が真っ直ぐこちらを見ている事に――
心臓が破裂しそうなほど ドキッとした。
私の体はそれに耐えられずに、反射的に目を逸らしてしまった。
「ッ〜〜!」
「ふっ。」
春人は、これまでとは違う大人な笑い方をした。
――そして、近づいては だんだん私の頬は火照っていく…
「ッ…!!」
その距離5cmほどになった時、廊下から大きな物音が聞こえてきた。
「!!」
春人は分かりやすく体を震わせて、縮まった距離を一瞬で遠ざけた。
「そ、そろそろ準備するぞ?」
「う、うん…!」
___あれ、なんでだろ…
胸が締め付けられるように苦しい…
これは、健人くんと別れた瞬間と同じ。
本当に苦しいのでは無いけど、今を終わりたくない感情のような、そうでも無いような…
よく分からない謎の感情と、恋愛が関係するのかな…?
ん?恋愛…?
もしかして、私――――――
「春人……」
「なな___ そんな__思っ__のか……」
「ん…?」
今、廊下から私を呼ぶような声が聞こえたような気がしたけど…
気のせいかな…?
・・・
―――アレを感じてから一年。
去年と同じ始業式。 これは、中学校最後の一年の始まりの日だ。
この一年が終われば、もうこの学校も卒業。
卒業すれば、健人くんとも会わなくなる。
――まぁ、あれほど辛いとは思わなくなったけど…
まだ諦めきれずにはいられなかった。
一方春人は、私と同じ高校を志望している。
健人くんとは最後の年…
今回のクラス替えも結構重要だ。
――今年は、玄関にクラス替えの表が貼られる。
最後の年、健人くんと春人と一緒のクラスになりたいな…
「(神様、仏様ぁ…っっ!!)」
私は心の中で手を合わせてお祈りした。
「見るぞ……っ!」
――まず私のクラスは3組。
そして、健人くんと春人は……
「お〜〜っ!やったぁぁっっ!!!」
健人くんのクラスは3組、そして春人のクラスも3組だった。
この3人、全員同じクラスだ!
「嬉しいっ!!やったっ!!」
「よっ!」
「うぇ?! け、健人くん…」
肩を軽く叩かれたかと思うと、後方には健人くんがこっそり迫ってきていた。
もしかして、神様に祈っている所も見られたかも…!?
「さっき何に喜んでたんだ?」
「え……っと…」
健人くんは、私が答えるのを首を長くして待っていた。
その後しばらくは言えずにいたけど、健人くんの圧には勝てなかった。
「____この2人と一緒のクラスになれて良かったなぁ って思ってただけ。」
「…そう。」
「?」
――今の健人くんの言葉には、並木道を歩いている時に聞いた**“寂しさ”**が込もっているような気がした。
でも、何が寂しいんだろう…?前も同じ事を考えたよね…
___言わないとと思っているのに、こうやってずっと心の中にずっと気持ちを隠してしまっている自分がいた。
このままの私じゃダメだ… 強くなりたい…っ
失恋なんて、気にも留めない人になりたい…!
いつか見返してやるんだから―――!
私は覚悟を決めて、その理由を聞いてみることにした。
「あのさ、なんでそんなに寂しそうなの?」
「へ……?」
「とぼけないで。あの道を歩いてる時も、『寂しい』って言ってたじゃん! なんでなの…?」
「彼女居るのに、何が寂しいの?? 私よりずっと幸せなはずじゃん…!」
「っ……」
健人くんは、私の攻撃するかのような強い言葉に少し動揺していた。
口から言葉は出ず、またあの時の表情をするだけ…
これで乗り切ろうとしているんだとしたら、私の事を舐めてる。
私だって、逆襲できる…っ!!
「ねぇ、健人くん。 私の事、舐めないでくれる?か弱い女の子じゃ無いんだけど。」
「七葉…… ?」
「何?」
「……前から、変わったな。」
「は……?」