テラーノベル
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雨が降り始めたのは、駅を出てすぐのことだった。春の終わりの冷たい雨で、街灯の光がアスファルトに滲んでいる。
コンビニで買ったばかりの透明な傘を開きながら、私は少し後悔した。
こんな夜に遠回りして帰るんじゃなかった。
人通りのない住宅街。
雨音だけが、傘のビニールを叩く。
ぱた…ぱた…ぱた…
妙に規則的な音だと思った。
雨にしては、音が少ない。
私は立ち止まり、耳を澄ました。
ぱた…ぱた…ぱた…
……後ろから聞こえる。
振り向く。
誰もいない。
街灯の下、濡れた道が伸びているだけだった。
気のせいだろう。
そう思って歩き出す。
ぱた…ぱた…ぱた…
まただ。
今度ははっきり分かった。
私の足音ではない。
もう一つ、足音がある。
恐る恐る、もう一度振り向く。
誰もいない。
だけどその瞬間、気づいた。
透明な傘の上に、
**もう一つの影**が映っている。
私の頭の上の影の隣に、
もう一つ、丸い影。
……傘の影だ。
でも、おかしい。
私は一人しかいない。
喉が乾く。
ゆっくりと、視線を上げる。
透明なビニール越しに、
私の傘のすぐ上に――
**もう一本の傘が、ぴったり重なるように浮いていた。**
持っている人はいない。
なのに、雨粒はその傘にも当たり、
ぱた…ぱた…ぱた…と音を立てている。
そして気づく。
その傘の柄が、
ゆっくり、ゆっくりと――
私の頭に向かって
**下がってきている。**
慌てて傘を閉じて、走り出した。
だが走りながら、私は理解してしまった。
さっきまで聞こえていた
もう一つの足音。
あれは後ろじゃない。
ずっと、
**私の真上を歩いていたんだ。**
その日から、雨が降るたびに聞こえる。
ぱた…ぱた…ぱた…
傘の上を、
**誰かが歩く音がする。**
短くてごめんなさい😭🙏💦
不調なんですぅぅぅぅ🥺By主
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