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雨後涙

7 - 【第六章】家族

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2022年04月03日

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少女とこの家に住み始めてしばらく経ち、彼女もこの家での生活に慣れてきていた。


「家族とは、どんなものなのだろう……?」

それは、二人で市に行った帰りのことだった。帰り道を歩きながら、少女が家族とは何かについて問いかけてきたのだ。

しかし、そんなことが私に分かるはずが無かった…。なぜなら、私には、家族と過ごした記憶がないのだ。母親が事故で死んだ際に、私も頭を打ったようで、記憶をほとんど無くしてしまったので、私は家族と過ごした記憶どころか、自分の名前さえも覚えていない上に、数年もの間昏睡状態で、頭を打つ前の歳すらも覚えていないので、私は今の自分の歳すらも分かっていない。父親は、家にあった着物などを見る限り、この家には最初からいなかったのではないだろうか。

その為、私はしばらく考えた後、私の思う家族像を答えることにした。

「…私にもあまりよく分からないけど、とても暖かくて、大切なものなんだと思う…。」

そう言うと、彼女は「そっか〜。」と相槌を打つと、彼女は私の方に振り返って言った。

「それなら、貴方は私にとって家族だね!!歳の差から考えて、お姉様…?だとなんか違う気がするな………おねえさん…。そうだ!おねえさんだ!!これからもよろしくね、おねえさん!」

私はそれを聞いて、ただ笑いながら頷いた。

その時の彼女は、とても楽しそうで、幸せそうな表情をしていた。

その表情を見られるだけで、私は幸せだった。



その時、私は忘れていた。

自分の存在が、大切な人の幸せを壊してしまうことも…、

私が誰かと幸せになることは許されていないということも…。



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