最近彼氏が冷たい、私は幼馴染の音駒高校のセッター狐爪研磨と付き合っているが最近はゲームばっかりでまともに話してもくれないくらいだ。付き合って最初の頃はそんなことはあったが言えばすぐ辞めてくれたのに今となっては辞めもしないし私のことをめんどくさがる始末だ。正直私が彼女なのかゲームが彼女なのかわからなくなってくる。そんな様子を大体そばで見ているクロは研磨とは違いめんどくさがらずに相談に乗ってくれることが多い。
「おじょーさん今日はやけにひどい顔ですよ?」
捉え方によっては悪口にもとれる微妙なラインをいってきた。
「やけにってなに、それっていつもひどいけど今日はもっとってこと?」
「あー、いや。それよりさ今日研磨どうだった?ここに来るってことは何かあったんだろ?」
息をするように話を逸らされた。
「うん。今日はさ研磨が珍しく話しかけにきたと思ったら『しばらく部活観に来ないで』って言われちゃって」
「うっわ、まじ?流石にそれは…」
クロがいつも以上に驚いた顔をしていた、 正直ここまで言われるとは思ってもいなかったから私は悲しみより驚きが勝ってしまった。
(私、本当に研磨の彼女なのかな…)
毎回頭によぎってくるこの思いはいつになったら消えるのだろうか。黙り込んでいるとクロが何か思いついたような顔でこっちを見ながら聞いてきた。
「おじょーさんにとって研磨ってなんなの?」
(確かに、改めて考えてみたことはなかったな…)
「私にとって、、か、」
私にとって研磨はなんなんだろう、彼氏?幼馴染?好きな人?友達?沢山の関係が湧いてきた。改めて考えてみると私にとって研磨はどういう存在なのかがわからなくなってきた。
「ごめんクロ。わかんない…」
「だよな、」
普通のカレカノならこんな答えは出ないはずなのに。自分と研磨のあやふやな関係に悲しくなった。
「おじょーさん?俺に一個提案があるんですけどいいですか?」
「提案?」
今までクロには何回も相談に乗ってきてもらったけど提案なんて初めてだ。
「そっ、提案。なんていうかさー、大切なものって失わないとその価値に気づけないとかいうじゃん?」
「いうのかな…?」
「うん」
大切なものか、大体この提案がどんなことだかわかった。けど私は研磨の大切なものじゃなかったらと思うとこれを実行しても意味があるのかと思ってしまう。
「ねぇ、クロ?私って研磨の大切な人だと思う?」
こんな質問正直答えづらいだろうなと思いながらも聞いてしまった。少しでも自己肯定感を高めたかったからかもしれない。
「んー、それは研磨にしかわかんないな笑
でも、これをやったら少しでもわかるんじゃないか?」
「そうかな…?でもこれで何もなかったら私心折られて精神粉々に砕かれちゃうよ?」
「まぁ、多分大丈夫だって。」
これほど頼りない言葉はあるのだろうかと不安で頭がいっぱいになった。
チャイムの音)キーンコーンカーンコーン
昼休みが終わってしまった。
「え、クロ本当に大丈夫なの?」
「平気だって、説明とかはLINEで送るから」
(クロはいつも余裕そうでいいな)
次の授業が始まる前に急いで教室に戻った。
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