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ありんす
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宮毘羅
20
#シクフォニ
らの☆📢🍍×🌸推し
269
「トニー、すぐにドリコ市長の元に向かいます。準備して」
「えっ?」
「あなたの売った聖剣を、ドリコ市長が持ってるの!」
その話を聞くと、トニーは合点がいったと言わんばかりに大きく頷く。
「なんてことだ、もしや市長は私が聖剣を売ることを見越していたんじゃ……。きっとそうに違いない! カジノに負けたのも裏がある。よくよく考えたら、そんな都合よく3億も負けるわけないじゃないか! 黒幕はドリコ市長!」
トニーが陰謀論地味たことを言い出して、フリーデは本気で頭にくる。
「早く用意して!」
「は、はい!」
フリーデはトニーを引きずるようにしてドリコの屋敷へと向かう。
ドリコの住む豪邸へと到着すると、まるで最初から来ることがわかっていたかのように執事に客室へと案内される。
フリーデ夫妻は重厚な木製の椅子に腰掛け、じっと目の前のテーブルを見つめていた。屋敷の静けさが、彼女の焦燥をより際立たせる。ドリコが来るまでの時間が、ひどく長く感じられた。
10分ほど焦らすように待たされた後、ようやく客室の扉が開かれる。
「おお、フリーデ。久しぶりだな。それにトニー君も」
姿を現したのは、人の良さそうな笑みを浮かべた老年の男——ドリコだった。
彼は年齢の割にがっしりとした体格をしており、退役騎士としての名残が感じられる。
U字型のハゲ頭で、その柔和な顔立ちと、穏やかな物腰が、彼をただの豪腕な軍人とは違う印象にしていた。
「叔父上……お久しぶりです」
フリーデは立ち上がり一礼する。それにならい、トニーも慌てて立ち上がって頭を下げる。
ドリコは椅子に腰を下ろし、ゆったりと足を組んだ。
「座りたまえ。さて、急な訪問だが話と言うのは?」
「聖剣の話です……。叔父上が買い取ったと聞きました。あれは帝国にとって重要な物。どうか、お返しいただけませんでしょうか?」
切羽つまったフリーデは深く頭を下げる。
「ふむ……しかし取り戻して終わりというわけにもいくまい」
「この件については、国にも正式に謝罪いたします。そして、責任を取って騎士を辞任するつもりです。ですが、まずは聖剣を手元に戻さなければなりません」
ドリコはしばし目を閉じ、考えるように指で顎をなぞった後、ゆっくりと頷く。
「……なるほど。事情はよく分かった」
その一言に、フリーデはわずかに安堵した。
ドリコは穏やかな笑みを浮かべながら、テーブルの上で指を組んだ。
「返すのは構わんよ、フリーデ」
「ありがとうございます」
感謝の言葉と共に、フリーデ夫妻の緊張が一瞬解ける。だが、すぐに続いた言葉に空気が変わる。
「ただな……あの聖剣は数億、いや、値段がつけられないほどの価値があるものだ。君に支払えるか?」
ドリコの顔が、優しい叔父の顔ではなく利益を追い求める商人の顔になっている。そこに親戚という情はない。
室内の温度が、数度下がったように感じられた。
その空気に耐えられずトニーが声を上げた。
「ちょっと待て! 私が質に入れた時は、たったの800万で買い取りだったはずだぞ!」
不満を隠そうともせず、トニーはドリコを睨む。しかし、ドリコは気にも留めず、余裕の笑みを浮かべたままだった。
「そりゃあ、無知なギャンブラーから買い取るならその値段だろう。だが、これは王家に伝わる聖剣、国宝級の品だ。本来の価値で評価するのが当然だろう?」
静かな口調に、冷たい響きが混ざる。
トニーは更に食い下がろうとしたが、その前にフリーデの怒気が限界を迎えた。
「……そんな安値で、国の宝を売ったのですか?」
トニーはびくりと肩を震わせる。彼女の声は低く、しかしその抑えられた怒りが、部屋全体を支配していた。
トニーは視線をそらし、気まずそうに口を開く。
「い、いや……だって、その時は……早くに金が必要で……」
「しばらく黙っていてください、トニー」
ぴしゃりと言い放ち、再びドリコに向き直る。
「叔父上。条件を教えてください」
ドリコはその冷静な視線を受け止め、満足げに微笑んだ。
「さして難しい話ではないよ」
長身の老市長はゆっくりと立ち上がり、フリーデの側へと歩み寄る。そして、下卑た笑みを浮かべながら、大きな手で彼女の肩を馴れ馴れしくさすった。
「私の玩具になれ」
その言葉に、室内の空気が張り詰める。
「それは一体どういう意味ですか? 叔父上」
「君は言葉の意味も理解できぬ阿呆なのか? 体で払えと言っているのだ。お前のその体に聖剣と同価値を見出してやると言っている」
帝国軍服の上をゴツゴツとした手がまさぐるように動くと、襟元の金ボタンをプチプチと外す。
漆黒の制服に隠された、白い谷間が露出。
その光景に激昂したのはトニーだった。震える拳を握りしめ、勢いよく椅子から立ち上がる。
「ふ、ふざけるな! 妻をお前になど渡すものか!」
「ではどうやって国に賠償する? 私ならば、王子に”私が聖剣を預かっていただけ”と言える。そうすればアイゼンヴェルグ家だけでなく、フリーデの首も繋がる。皆助かるのだ」
「し、しかし!」
「ではトニー、君が素直にギャンブルで聖剣を溶かしましたと王子に説明するかね? いくら温厚な第三王子とはいえ、処刑は免れないだろう。火あぶりかギロチンか、舌抜きもありそうだな……帝国の処刑は苦しいものが多いぞ。ククク」
「…………」
処刑という言葉が重くのしかかり、トニーは沈黙する。
フリーデは何の感情も浮かべぬまま、ただ静かにドリコを見つめた。
その沈黙を了承と取ったのか、ドリコは口元を歪め、毒蜘蛛のような手を制服の中へと侵入させる。
「それで聖剣を返していただけるのですね?」
体をまさぐられているにも関わらず、フリーデの声は驚くほど冷静だった。
ドリコは満足げな笑みを浮かべる。
「約束は守ろう」
彼女はゆっくりと目を閉じ、全てを諦めるように静かに頷いた。
「……わかりました」
コメント
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みぅです🤍🥀 第73話、読み終えたよ…。 ドリコ市長の“玩具になれ”って台詞、ほんとに胸糞悪かった…。でも、フリーデが冷静に「約束は守っていただけるのですね?」って返す場面で、彼女の覚悟と強さが伝わってきて、逆に震えた。トニーが黙り込むのも、現実的で苦しかったな。 ありんすさんの書く大人の汚さと、それに向き合うヒロインの意志の強さ、毎回すごく刺さるよ。続きが気になる…🌙