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――あの涙から一年。
今日は中学2年生の新しい生活が始まる日。
あの時は辛かったけど、今となっては もう悲しさも忘れていた。
__でも、まだいまだに出来ていない事があった。
それは……
「(新しい彼氏を作ること…)」
そう、まだ新しい恋人が出来ていないんだ。
諦めきれない、とかじゃなく、好きな人すら見つけられない毎日。
知らない人、カッコイイ人ならいくらでも居るはずなのに… なんで分からないんだろう。
好きな人がいなきゃ、彼氏も出来ないってのに…
「っ……(ダメ…)」
―――絶対、健人くんじゃなきゃダメ…
―――彼氏になるのを許せるのは、健人くんただ一人だから…
そうだ。私が好きになれるのも、彼氏にしたいのも… 全部全部、健人くんに代わる人はいないんだ。
どうしても、あの関係に戻りたい。
戻れたら、絶対幸せに出来る自信があるのに…っ
「もう、無理だ…」
そんな事を想うと、更に胸が苦しくなる。
新学期そうそう、最悪な日になりそうだ…
――教室前
「っ(クラス替えだ…!)」
唯一私が楽しみな事は、クラス替え!
新しい友達が出来るかも知れないから!!
信頼できる友達がいたら、ちょっとは健人くんの事も忘れられるかも…
そんな事もあり、これだけはワクワクしていた。
クラス替えの時は、いつも教室の前に紙が貼り出される。
これが、もうそれは緊張して! でも、また頑張ろう!! っていう気持ちにもなれる。
今回はどうだろう? 楽しみだなぁ! 見たこと無い人とか、沢山居るだろうし!
まぁ、6クラスもあればそうなるよね。 それも逆に良いんだけどね!
――その代わり、健人くんと同じクラスになる確率は低いよね…
ま、なっても無駄だし。 あっちからしたら、元カノと同じクラスだなんて 気が置けるだろうしな。
――でも……
同じ高校には行かないから、健人くんとは中学でお別れになるんだよね…
たぶん私、置いてけぼりになるだけだし。
私も健人くんも同じ医学部に入りたいと思ってるんだよね。
だから、ちょうど同じ高校に行けば良いと思ってた…
でも、同じ高校になんて行けたもんじゃない。
今の状況じゃ、絶対無理。
つまり、せめて悔いが無いようにしとかないといけないって事…
クラス替えは、私にとって結構重要でもあるんだよね…
「(緊張する…っ! よし、見るぞ………っっっ!!!)」
3、2、1…!
私は、心の合図で目をパッと開いた。
そして表を見つめ、自分の名前と健人くんの名前を探した。
「えっと… 私は… あった!2組だ!」
「(健人くんは…)」
健人くんの名前は…
「うぉ〜っ!(同じクラスだぁぁぁぁぁっ!!!!!)」
健人くんと同じクラスになれるなんて!!
最高すぎるよぉっっ!!
――彼女だったら、の話だけど。
仁菜ちゃんからしたら良いだろうな。
だって、仁菜ちゃんも2組だから………
「っ…(二人して同じクラスだ…)」
――どうせ私なんて見向きもしてくれないんだから、同じクラスでも意味ない。
それは分かってる。分かってるのに…
「はぁ…」
やっぱり、新学期最初は嫌な日からスタートする事になった…
・・・
「よーし、まずは僕から自己紹介をしていこう。」
私のクラスの担任の先生は、長井 先生。
男の先生で、優しくて明るいと評判の先生だ。
――とりま、厳しい先生とかじゃ無くて良かった…!
でもこの席、最悪だよぉ……
1ヶ月ぐらいこの席のままのはずだから、ずっと気まずいじゃんっ……!
なんと、よりにもよって健人くんと隣の席になってしまったのだ。
なんでこんな私達、縁があるのかな…
縁ならとっくに切れてるのにな…
「はぁ…」
私は、小さなため息をついた。
それが健人くんにも聞こえてたらしく、一瞬こっちを振り返った。
私も、反射的にそっちを振り向いてしまい…
約7秒間ぐらい、無言で目が合っていた。
絶対目を合わせちゃいけない人。なのに、目を離せない。
健人くんも同じらしく、さらに気まずい雰囲気に包まてしまった。
そして、先生の一言によって、何とか目を話す事が出来た。
「…(もうっ、それもこれも、全部健人くんのせいだ…!)」
こんな雰囲気にさせたのも、全部健人くんのせいだから。
私、何にも悪くないし。
絶対新しい彼氏作るし?
私は、そんな空気と自信を さりげなく健人くんに見せつけた。
健人くんは何も発さず、ただ真顔でうつむいているだけだった…
――そしてすぐに下校の時間になり、私は一目散に靴箱に走った。