テラーノベル
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🍆のトラウマ捏造話。
もし、🍆がとある理由で閉所恐怖症だったら。
🍆愛され。
⚠乱暴された過去がある🍆
⚠嘔吐あり
⚠🍆家庭環境完全捏造
⚠タイトルの読みは塒を巻くです。
ご本人様達とは無関係です。
全てフィクション。
トップの注意詳細は必ず読んでください。
それでは、お楽しみください。
やばい…
「おーーい!誰かいる!?」
暗い、狭い、暑い、
「っ、ゃ、ばいなこれ…ッ」
鼓動が大きくなるのが分かる。
畳2畳程の倉庫、古くなったドアは立て付けが悪く「完全に閉めると中から開けずらいから、開けっ放しで作業してくださいね」とスタッフが言っていた。
「んー、開かない…」
スタッフから言われた通り、ドアは開けっ放しで、企画に使う小道具を探していた。
しかし、ふと 背後で誰かの気配がして振り返った時には遅く、バタンとドアがしまる、オマケにガチャリと鍵まで閉められた。
誰が、なんの為に、と考える間もなく内鍵の無い古いドアノブを一生懸命捻るがビクともしない。
もちろん電気は無く、埃っぽくて、暑くて、180cmの巨体には狭く思うように動き回れない。右も左もごちゃごちゃとした機材やらダンボールやらが積み上げられていて不安定だ。
「…誰かいる?なぁ!!開けてよ!」
ドンドンとドアを叩くが、先程まで居た人の気配も無く、完全に閉じ込められた事が分かった。
「携帯……ちくしょう!」
すぐ戻るからと携帯は皆がいる休憩室に置いてきた。
どうしようとドアを何度も叩きながらズルズルと床に座り込む。こめかみがドクドクと脈を打ち頭痛が始まり、ドッドッドッと心臓が激しく動き出す。
やばい、やばいやばいっ!!
始まる…
「う。わぁ、やばいっ!本当にヤバいって!!誰か!!!」
右手で胸元を布を掴み、左手でドアを数回叩く。
息が上がり、背中と額からじわりと嫌な汗が吹き出す。
思い出したくも無い過去の記憶がフラッシュバックし始める。
【ーーーー?ーー!!】
「や、やばい、本当にッ、くそ、!!!!」
ぞわりと腰を撫で回すような悪寒。
じっとりとした物で舐め回される腹部の感覚。
体温がドンドン下がっていって手足が氷のように冷たくなる。
真っ暗なはずの視界がチカチカと点滅し始め、叫び出しそうになる喉がヒクヒクと痙攣を起こす。
「た、助けて!!やばい、だれか!」
ダンッ!と最後に大きな音でドアを叩き、とうとう床に倒れ込む、ガタガタと震える身体を両手で抱き締めフッフッと短い息を吐き続ける。
脳内には荒い息と汚い唾液を垂らす醜い顔の男がチラチラと顔を出し始め「やめろ!やだ!」と額を床に叩きつけ消そうとする。
(やめてくれ、もう、俺もいい大人なんだ、忘れたままでいたかったのに、なんでッ!)
克服したと思っていた過去が、色を付け始める。
散り散りになった汚いピースがカチカチとハマり始めその輪郭をハッキリ浮き上がらせる。
昔から狭い所は得意ではなかったが、ある事件をきっかけに更にダメになった。
大人になるにつれて、少しずつ症状も治まり40代手前では、からっきしだったそれ、が、いま全てのきっかけが綺麗にハマり呼び起こされそうになる。
暗い、狭い、埃臭い、暑い、助けが来ない……
「あ、あ、やばいっ……ッぐぅ、あぁ!!!」
【可愛いね…】
「ひっ!」
【綺麗だねぇ〜】
「…あ、ヤ、 」
【気持ちいいねぇ?】
「ッう、うぅ、」
【内緒ダヨ?】
「っ、う”げぇ、お”っエ”!!ゲホッ!ゲホッ!!」
完全に思い出したその顔や体温に、腹の底からせり上がってくる吐き気… 我慢出来ずウゲェと吐き出す、今日は朝から何も食べていない為、胃酸と水分のみがべちゃべちゃと床に散らばった。
ズキズキと痛む頭で片付けなきゃ…と吐き出したそれをボーッと見つめていると、するりと下半身を誰かに撫でられる感覚がしバッと下を見た。
真っ暗で何も見えなかった目が少しずつ慣れてきて、何!?と叫ぶがそこには何も無く…ホッとしたのも束の間、耳元でハァと荒い息がした。
「ヒィ!!」
居ないはずの人影まで見え始めて、くくくっと笑う声まで聞こえ出す。
【ぼん君…可愛いねぇ?】
「あ、やだ、や、やめろ!」
【大きくなってもプルプル震えて…ひひっ、可愛い】
「くそっ、お、俺に近付くな!!」
後ずさる様に入口から逃げるが、狭い倉庫内ではすぐに背中に壁があたり、逃げ場がないのだと思い知らされる。
やめてくれと、体を抱き締め縮こまるが、その影は逃がしてくれずゆっくりと手を伸ばす。
「ひ!」
腹部にピトリと汗ばんだ手が触れ、ズルズルと這い上がってくる。ゾゾゾッと鳥肌が立ち「助けて!助けて!」と溢れる涙をそのままに叫ぶが、止まることはなく胸をぐにっと摘まれた。
「うっ”!ぐぅ”」
ゲボッと口を抑えた指の間から胃酸が吹き出てボタボタと服を汚す、幻覚と幻聴が現実に侵食し区別がつかない。
影が、ぶわりと膨らむと2つになり…3つになり、それぞれが自我を持つ
【お母さんに内緒ダヨ】
【知られたらどうなるか分かる?】
【学校行けなくなるね?】
【どこに行っても…おじちゃん達分かるからね?】
【わかるよね?】
【噛んじゃダメだよ?】
【気持ちいいねぇ】
生臭い吐息がぶわりと身体を覆い、ヒュッヒュッと空気を入れ込む喉が悲鳴を上げ、 満足に酸素が脳に回らずグラグラと視界が歪む。
「た、助けて!!く、るしぃ!!ゲホッ!ヒュッ!はぁ!た!助け…て!」
伸びる黒い手から必死に身体を丸め叫ぶ、いないはずの蝉の鳴き声まで耳元で響き出して涙と汗が床に落ちる。
(もうダメだ、俺は死ぬまでこいつらに囚われるんだ)
ぐるんと眼球が動き視界がぐにゃりと歪む…その間際、バギィと何かを突き破る音の後「ぼんさん!!」と聞き慣れたメンバー達の声が……聞こえた気がした。
「遅くないッスか?」
携帯で時間を確認したMENがボソリと呟く。
それに吊られて他のメンバーも時間を見て「確かに」と答えた。
「携帯も煙草も置いていってるし…」
煙草と携帯が置いてある以上喫煙所でサボってる訳でもない、
次の企画に使う小道具を取りに行ったっきり20分以上経っている、とっくに休憩時間も終わっていて残されたメンバーは少しずつザワつき始めた。
「…探しに行こうか」
ドズルが何かを考えた後、真剣な顔で席を立つ。
そうですねと他のメンバーも立ち上がりゾロゾロと部屋から出ていく。
「とりあえず倉庫行こうか?」
と階段を降りて少し埃っぽい廊下を歩く、もしかしたら懐かしい物でも出て来て一人で楽しんでるんじゃないんですか?とおんりーがクスクス話し、それにおらふくんが有り得る!と笑う。それはぼんさんらしいな〜とドズルも吊られてケタケタ笑いながら ふと廊下の先にある倉庫のドアが閉まっている事に気付く。
「……あそこ、立て付け悪いから締め切るなって言われてなかった?」
全く、あの人はスタッフさんが言った事も守れないのかー?とどうせ閉じ込められてペショペショにでもなっているのだろうと「ぼーんさーん、何やってんですかー?」と呑気な声を上げながらドアノブを捻った。
ガチャン…
「は?」
開かない、鍵が閉まっている?内鍵は無い…なら、誰が?
瞬時に誰かの手で閉じ込められたのだと感じたドズルはガチャガチャと乱暴にドアノブを捻り「ぼんさん!!?」と声を上げた。
後ろで一部始終を見ていたメンバーも只事ではないぞとざわつき出し、「僕、鍵持ってきます!」とおらふくんが保管室へ走る。
中に居るであろうぼんじゅうるに、声を掛けるも返ってくるのは…
『あ、あ、やばいっ……ッぐぅ、あぁ!!!』
「ぼんさん!?」
聞いた事もない悲痛な声だった。
その後に助けて!と泣き叫ぶ声がして、雪崩を起こした荷物に潰されてるのか?!とドズルとMENが必死に声をかけ続けるも、こちらの声が届いていないぼんじゅうるからは止めろ!だの、助けて!だの、俺に近付くな!といった誰かを相手にする悲痛な叫びが返ってくるだけだった。
メンバーは中に誰かいてぼんさんに暴行でも加えてる?!と何度もドアに身体を叩きつけた。
「鍵無かった!!」
息を切らして、おらふくんが廊下から走ってきて
それを聞いたドズルとMENは1番の力を加えてドアに体当たりをした。
バギィと耳を劈く破壊音と「ぼんさん!!」と声をあげるメンバー。
「っー!?」
「は?!」
「ぼんさん!!大丈夫!?」
いつもヘラヘラと人あたりのいい笑顔を向けるぼんじゅうる
しかし、そこに居たのは絶望に染まった男の表情だった。
長年一緒に活動してきてほぼ全て知り尽くしている相棒のぼんさん。
知ってる気でいた……でも違った、何も知らなかった。
「ひっ。ヒュッ…はあ、た、たすけて」
「ぼんさん!?大丈夫ですか!?」
ガタガタと震え過呼吸を起こしている男に、俺は近付き指先を1本立てて「これを蝋燭だと思って火を消して!」と背中を擦りながら声を掛けた。
ぼんさんは一生懸命フッーフッーと息を吐き出し次第にゆっくりと肩を揺らし出す。
「ぼんさん、上手です、そのまま、ゆっくり吐いて…吸って…」
「ふぅ…フッ…はぁー、ひゅッ…はぁー…」
「そう、上手…」
ポンポンと背中を叩きながら、チラリと周りを見渡しこれは本当に只事ではないぞと眉間に皺を寄せた。暴行でも受けていたのかと見渡すも人の気配はないし、荷物が雪崩を起こした形跡もない。
しかし、ぼんさんの額は少し赤く腫れていて、両方の爪は壁でも引っ掻いたのか数枚折れている。血が滲み痛々しいし、全身汗だくで体は冷えきっている。
床には、嘔吐したのだろう水跡があって、顔はぐちゃぐちゃに泣き跡を残している。
「ぼんさん、大丈夫ですか!?聞こえます?」
呼吸は少し落ち着いたが未だに焦点のあっていない目がぐるぐると動き、譫言のように「助けて…助けて」とカクカク口が動いている。
俺の声聞こえるか!?と隣にMENが腰をおろし、ぼんさんの手をグッと握ると
「うっわぁあ!!!」
「は!?!?」
バシッと勢いよく弾きその反動で俺の顔を見た。
「え?大丈夫ですか!?分かります?ドズルですよ!?」
「な、ぼんさん?俺だ!分かんねぇの!?」
弾かれた手を悲しそうに握りしめながら、MENが声を上げる。
ぼんさんはゆらゆらと動く瞳でじーっと支える俺を見て、じわじわと絶望していく。
(な…なんだ、この表情…見たことない…なんで、そんな、恐ろしい物でも見るみたいに、俺を見てるんだ?)
「ぼ、んさん?」
とゆっくりと顔を近付けると
「嫌だあぁぁああ!!!」
俺の身体を突き飛ばして倉庫のさらに奥にヒィ!と悲鳴をあげながら這いつくばっていく。
拒絶された俺とMENはその様子を信じられないと見つめ床に力なく腰を下ろした。
「どうしちまったんだよ!」
MENが叫ぶとヒッと頭を押さえ「ごめんなさい…ごめんなさい」とぶつぶつと呟く。
おんりーが「ぼんさん!?」と声を掛けると焦点のあっていない目が確かにおんりーを見つめて「…助けて」とぶわりと涙を零した。
「とりあえず2人ともそこから出て!」
おんりーが放心状態の俺とMENに叫んで、半分引きずり出される形で廊下へ出るとおらふくんとおんりーが変わるように中に入った。
すると、奥に逃げ込んだぼんさんはまた這いつくばるように2人に近づき意味の分からない事を叫ぶ。
「助けて!お願い!助けて!!もう、痛いのは嫌だ!」
と大きな体を小さく小さく丸めておんりーにしがみついていた。
「しっかりして!分かります?!おんりーです!こっちを見て!」
「ぼんさん!おらふくんやで!どうしたん!?しっかりしてや!」
力強くおんりーにしがみついたぼんさんは、俺が知っているのほほんとした相棒とは、まるで別人のようで…MENと二人で呆然と見つめることしか出来なかった。
「ごめんなさい!いやだ!!嫌です!やめて!」
「ぼんさん!!」
「ちゃんとします!誰にも言いません!だから、お願い痛くしないで!!」
座り込んだおんりーの足にしがみつきガタガタと身体を震わせ、必死に何かに謝る。
しっかりしてください!とおんりーとおらふくんが肩を揺らし何度も声を掛けるが、目を怯えカチカチと歯を鳴らしていた。
「ぼんさん!!!」
メンバーが声を上げ必死に呼びかける、限界を超えた相棒はぐるんと瞳を回し、 おんりーの腕の中でドサッと倒れ込みピクリとも動かなくなった。
「いや〜!皆ごめんねぇ〜」
病室のベッドの上で、ヘラりとぼんさんが謝ってきて数時間前の姿が嘘のように感じる。
「いや……いやいやいや!!無理があるでしょ!」
隣でMENが自身の困惑した顔の前に手を出しブンブンと横に振りながら叫ぶ。
あんな事があって、何故ケロッとしてるのか理解できない。
忘れてる?……いや、無かったことにしてる?
ぶっ倒れた男を火事場の馬鹿力で抱え上げ、ネコおじに車を準備してもらい、病院へ駆け込んだ俺達のその心情は、それはそれは荒れていた。
このまま目を覚まさないかも、何故ぼんさんはあんなに怯えていたのか、これ以上活動が出来なくなったら…と震える声で何度も何度も名前を叫び、呼びかけるもピクリともしなかった。
色白の肌が死人のように見えて、おらふくんは死なないでと泣くし、MENは拒否された手を握っていいのか出しては引っ込めてを何度も繰り返していた。
俺は、腕の中でダラりと頭を垂らすぼんさんが本当に怖くて、息をしているか口の前に手を持っていく行為を数分おきにしてしまったし…
おんりーは助手席で珍しく声を荒らげ、ぼんさんの名前を叫びながらネコおじに必死に病院までの道をナビゲーションしてた。
病院へ着くなり色んな検査をされたけど、特に異常はなくて軽い脱水症状があるって事で点滴で補給され、そんな中パチリと目を覚ましたぼんさんはケロリとしていて。ごめんごめんと血のにじむ処置された指先で後頭部を掻く。
「あでっ、うわ、爪割れてたのかぁ〜」
「割れてたのかぁ〜じゃないッスよ!」
MENがぼんさんとギャーギャー言い合いをしていて、その横でおらふくんが良かった〜と笑顔で2人を見ている。ネコおじは手続きやらで部屋を外れていて、残りの俺とおんりーは無言。
きっと考えてる事を同じで、どうしたものかと悩んでいる。
「ドズルさん…」
「…ん、おんりーどうしたの?」
おんりーがこちらを見ずにコソコソと話しかけてきて、自分も同じように目線はぼんさんを見ながら返事をする。
「…ぼんさん……の、その、えーと…」
随分歯切れの悪い言葉。
「…分かるよ、言いたいこと…でも、掘り起こしていい問題じゃない」
「です…よね、なら、今まで通りに…します」
「うん」
きっとそれは無理だけど、俺とおんりーは気付いてる。
でも、これ以上踏み込んではいけない、デリケートな問題だ。
ぼんさんが何も無かったように演じるなら、それに最後まで付き合って気付かないふりをしなければいけない。もし、自分達が知っているとぼんさんが気付いたら…更に追い詰めることになる。
だから、ぼんさんが演じるなら、こちらも付き合うしかない。
「………」
おんりーが苦しそうに眉間に皺を寄せ、「ちょっと外します」と目尻を抑えながら部屋から出て行った。
その声は少し震えていて、吊られてこちらも喉奥がヒクついた。
「あれ?おんりーちゃんは?」
どこ行ったの?と少し時間を置いてぼんさんがこちらを見てきてトイレ行きましたよと咄嗟に嘘をついた。
それに、そっか!とニパッと笑って応えた、ぼんさんのその頬が少し引き攣っている事…俺は気づいてますよ…。
「いやぁ、本当に閉じ込められた時はびっくりした〜、あ!…ところでさ…皆お腹空かない?」
ニコニコと皆に声高らかに言うぼんさん。
痛みからか…恐怖からか…指先が少し震えていて、それを咄嗟に反対の手で覆い隠している。
「はぁ〜心配して損した!」
「ぼんさんらしいッスね…腹減ったなら…、点滴終わったら帰っていいって言われてるし肉いきます?もちろん、ぼんさんの奢りで!」
「えー、俺の奢りかよ!ま、今回ばかりは仕方ないねぇー!」とMENの肩をバシバシ叩き、点滴終わるまで少し横になるわ!と続けて、それとなく距離を置かれた。
「じゃ、また後で来ますね!」
おらふくんがニコニコで部屋から出ていき、MENも「なら、また」と俺の横を通り抜ける…
その時、
「ドズルさん、話あります」
と先程までぼんさんとバカ騒ぎしていたお調子者の顔が、真剣なものに変わり呟かれた。
「…うん」
そりゃ、MENが気づかない訳ないよね…
「おんりーも気付いてるんスよね?」
「そうだよ、今のとこ俺、おんりー、めんの3人だね」
自販機で缶コーヒーを買ってMENと二人、壁に寄りかかりながら話し込む。その視線は真っ白な床を見ていて、2人してプルタブをカリカリと弄りながらどうしたものかと会話の所々で間が空き、探り会う。
「おんりーどこ行ったんスか?」
「さぁ……」
「……耐えきれん…ですよね」
ドズぼん時代から俺達のファンで付いてきてくれたおんりー、そんな子が、推しのぼんさんの過去を間接的に知ってしまったんだ。ほぼ確定しているトラウマ級の過去をぼんさんは長年隠し、悟られないようにしていた、あのヘラりとした表情の裏に…。
「……きっと、ぼんさんは、あの空間がダメなんスよね?アレがトリガーになった…」
「そうだね、……閉鎖的で暗い場所が苦手なんだ…会社の旅行とかでもそういった場所避けてたし…温泉とかも1人でいつもこっそり入ってたよね…」
「…思い返せば、色々と自制していたんですね」
MENが、カシュと缶コーヒーを開けてぐびぐび飲み出す。
「…俺達とよく、一緒に行動してくれてますよ」
「もし今考えている事が本当なら、ぼんさんは相当辛い過去といつも戦って…気さくに振舞ってる」
「かぁー!元役者がこういう時に力出すと困りもんですわ!」
ガコンと空になった缶をゴミ箱に投げ捨てながら、MENはおんりー探してきますと歩き出した。
まだ飲む気になれない缶コーヒーが俺の手の中で弄ばれていて、ため息が出た。
「夏嫌いだ〜蝉は煩いし、暑いし、」
点滴が終わった帰り道、ネコおじの運転する車の中で外の様子を見ながらぼんさんがブツブツと呟いた。
意識し始めたら何気ない言葉や行動の裏に、それらしい欠片が散らばっているもので、今も車の1番後ろの席から1人ふんぞり返って座っているが、その手はすぐにドアが開けれるようにそこに触れているし、嫌いだと言った夏の話も語尾は震えている。
(きっと…夏だったんだ…)
俺は助手席から「はいはい、そうですね〜」といつも通りに返事をして携帯を見た。
MENが「先に店行って席抑えときます」と充血した目のおんりーと一緒に病院を出て、おらふくんは急な予定が入ってリスケになり、今は呆れた様にため息ばかりつくネコおじと罪悪感からか、やたらと喋るぼんさん、それに普段通りに返そうと努力している俺…の3人。
「あ〜お腹空いた〜」
「…ぼんさんの奢りは変わらないですからね?僕が行くからって最後奢らせないでくださいよ?」
「…げぇ、バレてたか!」
ぬはははっと笑うぼんさん。
ネコおじがフーッと深い息を吐く。
壊れた倉庫の修理や明日の仕事とか考える事が沢山ですよまったく!と文句を言いながら「お酒は控えてくださいよ!明日朝から仕事なんですから!」とバックミラー越しにぼんさんに声を上げた。
「はいはーい!」
「ったく!本当に分かってるんです!?」
「わかってるわかってる!もー、ネコおじ俺病院帰りよ!?優しくしてよ!」
「自業自得でしょ!まったく!!本当に!」
何も分かっていないネコおじは「あんなに閉め切るなって言われてた倉庫閉め切って!完全に壊すし!もー!」とブツブツ続ける。
ぼんさんは、少し黙り込んで流れる景色を未だに青白い顔で見つめていた。
(そんなんで、焼肉なんて食べれるんですか?)
そう思わずにいられなかった。
案の定、お腹空いたと嘆いていたぼんさんは大好きなタンを数枚食べておもむろに携帯を出して「あー、ごめん、急用入ったー!ここの出しとくから好きなだけ食べてな!今日は本当にごめんね、ありがとう!」と万札を数枚テーブルに置きそそくさと帰って行った。
予め用意していた様な言い訳と、流れるような動作に残されたメンバーはため息をついて黙々と提供される肉を平らげていく。
ネコおじが、なに?空気悪くない?と突っ込んできて「なんでもないよ」と声を揃えて返事をした。
「…相手は生きてんスかね?」
「さぁ、あの人がそうなったのがいつなのかによる…幼少期なら死んでる可能性ない?」
MENがドスの効いた声で聞いてきて、もし相手が生きていたらどうするつもりなんだと返事をしそうになった。そんなの聞かなくても分かりきっているのに。
ネコおじが肉を頬張りながら、首をかしげ「なに?なんなの?」とワクワク聞いてくるが、ごめん言えない、てか聞かない方がいいぞ、と再度「なんでもないよ」と突き放した。
「あー、でも、ネコおじ」
「はい?」
「ぼんさんが閉じ込められてた倉庫、外から鍵が閉められてた。」
「え…」
「あの狭さでドア開けてて作業してたぼんさんに、気付かずに鍵閉めるって有り得る?」
「…有り得ませんね」
「だよね、なら…」
会社内にそんな人物がいると思いたくないけど…これが事実。
「1度、社員皆と面談するから日程お願いしてもいい?」
「はい、分かりました。」
綻んでいた表情が引き締まる。
ネコおじはバッグから手帳を出しサラサラと流れるようにメモを取る。
ドズルの底から湧き出る怒りをひしひしと感じ、 MENも、おんりーも、馬鹿だな喧嘩を売る相手を間違えている…と呆れた様に表情を歪めて目の前の肉に食いついた。
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コメント
6件

え...神だ... え...続きって...ありますよね...??
トラウマ✨大好物なんだけどね…モブレはね~ 続きが楽しみです!!