コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「それって、友達って言うんじゃないのか?」
「友達なんかじゃない! 今でも嫌い。顔もみたくないし話しもしたくない」
「どうしてそんなこと言うんだよ」
「マナは、いつも私の大切なものを傷つけて悲しませてきた。いっつも自分が1番で、周りのことなんて全然考えてなかった。本当にどうしようもないヤツなの――でも圭太は、そんな最低最悪の女を好きになってしまった。私じゃなくて、マナを――」
すると突然ゆずきは手で顔を覆い隠して泣き出してしまった。
「ゆずき、どうしたんだよ? お前らしくない」
俺はゆずきの肩に優しく手をのせてそう言った。
「私らしいって何? どうせ、いつも冷静で、どんなことにも動じない強い女だと思ってるんでしょ?」
ゆずきは肩にのせた俺の手を払いのけると、俺をひと睨みしてそう言った。
「そういうイメージも確かにあるよ。でもそれだけじゃない。本当のゆずきは恥ずかしがり屋で、人見知りで、寂しがり屋で泣き虫でとっても優しい女性だよ。ゆずきのことは俺が誰よりもわかってるつもりだよ。マナと同じように――いや、それ以上にずっと傍で見てきたんだからな」
「私だって圭太のことなら大抵のことはわかってるつもりだよ。マナよりも圭太と一緒にいた時間は長いんだから――それだけはマナには負けないつもり」
ゆずきは顔を押さえたまま大声でそう言った。
「ゆずき、俺にでっ――」
「圭太っ!」
「ゆずき――」
ゆずきは俺に抱きつくと、胸の中で声を殺して泣いていた。
「中学3年の時、みんなに私らのことを冷やかされたよね?」
「いつも一緒にいたもんな。そりゃあ誤解もされるよな」
「私、誤解でも何でもいいから圭太と――」
ゆずきは俺の胸から顔を離すと、俺をジッと見上げて見つめていた。
「何だよ?」
「相変わらずたね。昔と何も変わってない。私の気持ちなんて全然考えてくれたことなかったもんね」
「仕方ないだろ。俺は俺なんだからさ」
「私が圭太を――好きだったなんて知らなかったでしょ?」
「―――――。そうだったのか?」
「中学2年で同じクラスになって初めて圭太を見た時――憧れだったの」
「どうして言わなかったんだよ?」
「いつも私と一緒にいてくれたから、もしかしたら圭太も私のこと好きでいてくれてるんじゃないかって思ってた時もあったよ。でも、圭太は何も言ってくれないし――」
「俺はみんなに冷やかされた時、ゆずきが困った顔をしてたし、何か避けられてるような気がしたから、そんな気はないのかと思ってた。そっかぁ、あの時コクってれば――」
「???」
「好きだったんだぞ。ゆずきのこと――」
「ほっ、ほんとに?」
「ホントだよ。何度も告白しようとした。でも結局出来なかった」
「私だって何度も告白しようとしたんだよ」