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恵菜は勇人の携帯電話を掴み、画面に触れると、パスコード入力画面に切り替わる。
(マジか。何の数字だろう……?)
恵菜は試しに、入籍した日を入力してみると、呆気なくメイン画面へ辿り着いた。
(妻から不倫を疑われているのに、パスコードが、まさかの入籍記念日だったとは。ワケ分かんないし……)
彼女は即、メッセージアプリを立ち上げた。
鼓動が忙しなく刻まれ、微かに震える指先で友だち一覧を見ると、理穂の名前を発見。
『勇人に、スマホを操作している所を見られたらどうしよう』『勇人が浮気なんて、してないよね?』と、罪悪感と緊張感が恵菜の中で去来していく。
理穂のアイコンを焦りながらもタップし、メッセージ画面を開いた。
『勇人センパイ、この前は、すっごく気持ち良かった……! またあのホテルへ連れて行って下さいね♪』
『ああ。また行こうな』
『でもセンパイ、いいんですかぁ? 恵菜センパイに知られたら……』
『恵菜は、俺が理穂と浮気しているなんて、全く疑ってない様子だよ。それにアイツ、結婚してから激太りして、家にブタがいるみたいで嫌なんだよな』
『勇人センパイ、ひっどぉ〜い!w』
『あんなブタとセックスする気になんねぇし。その点、理穂は高校時代と変わらずスマートだし、ヤッてる時の色気もハンパねぇよ。カラダの相性も最高だし』
『www』
『また、理穂をたっぷり可愛がってやるから、楽しみにしてろよ?w』
『はぁ〜い♪』
勇人と理穂のメッセージは、ここで終了している。
(やっぱり……黒だったか……)
ショックを受けた恵菜が、愕然としながらメッセージのやり取りを凝視していると、バスルームのドアが開く音と、勇人の鼻歌が遠くに聞こえてきた。
彼が風呂から上がったようだ。
恵菜は自分のスマートフォンを手にすると、カメラを起動させ、メッセージのやり取りを速攻で撮影。
慌てながらも、元の位置に彼のスマートフォンを置き、何事もなかったように振る舞った。