テラーノベル
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#リオラ軍団
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水科愛莉が次の授業の準備のため、机に手を入れたときだった。
カサリ、と指先に何かが触れた。
取りだしてみると、それは小さな藍色の封筒だった。
(もしかしてラブレター?)
ふっとそんな考えが浮かんだ。
途端に胸が高鳴り、封筒を机の中に戻す。さりげなく周囲を見てみるが、こちらを見ている人はいなかった。
(誰が入れたんだろう?)
クラス内の誰か……とは限らない。先ほど移動教室だったため、誰にでもチャンスはあった。
(私、彼氏いるんだけどな)
秘密にしているわけではないが、見せびらかしているわけでもないので、知らない人も当然いるだろう。ただ、彼氏がいることくらい、少し調べればわかりそうだと思うが。
そこまで考えたところで、これがラブレターとは限らないことに思い至った。小中学校で、手紙によるいじめを何度か目撃している。高校生になってからは遭遇していないが、これがいじめの始まりかもしれないのだ。
(私、敵が多いからな……)
愛莉は幼い頃から水泳に打ち込んできた。その結果、全国大会に出場できるほどの実力を身につけ、高校でも注目の的になっている。現在の水泳部でも、一年ながら先輩を差し置いて大会メンバーに選出されるなど、特別扱いを受けていた。それを面白くないと感じる人は少なからずいるはずだ。
また、愛莉の彼氏はアイドル顔負けのイケメンだ。愛莉の前では「おめでとう!」と言っていた女友達も、内心では黒い感情が渦巻いている可能性は充分にある。
愛莉は、改めて周囲を見回し、誰にも注目されていないことを確認してから、封筒を取りだした。さりげなさを装って席を立つ。
「どうした?」
後ろの席の中山優月が心配げにこちらを見ていた。
愛莉の幼馴染であり、水泳部の仲間でもある。いつも鋭い目つきをしているが、愛莉に向ける眼差しは心配げだ。
「ううん、何でもない」
愛莉は微笑を浮かべてごまかし、教室を出た。向かった先はトイレだ。
個室に入って便器に腰掛け、封筒から中身を取りだした。中には折りたたまれた便箋があった。
開いてみると、そこにはQRコードが印刷されていた。コードの下には、
『ここにお前が晒されている』
とあった。短い文章の下には、アルファベットと記号を組み合わせた謎の文字列もある。
間違いなく、怪しいサイトだ。
普段なら絶対に調べないだろう。
だが、自分が晒されているという文章が頭から離れなかった。
愛莉は迷いつつも、スマホのカメラでQRコードを読み込んだ。URLが表示され、タップするとブラウザに移動した。
表示されたのは、背景が真っ黒のサイトだった。中心に文字入力欄があるだけの作りだ。
愛莉ははっとして、便箋を見てみた。謎の文字列をここに入力するのだ、と直感が告げていた。だが同時に、その先に進むと取り返しがつかなくなる──そんな予感も抱いた。
それでも愛莉は、怖いもの見たさに抗えず、記載された文字列を入力することにした。手が震え、うまくフリック入力ができない。ゆっくりとタップをくり返し、正確に文字を入力して、入室ボタンを押した。
画面が変わった。
表示されたサイトのバナーには、『城岩高校裏サイト』とあった。
(これは、学校裏サイト……?)
以前、姉がしていた話を思いだす。姉が高校生だった頃、『学校裏サイト』なるネット上の非公式掲示板が流行ったらしい。それはいじめの温床になり、全国的に問題になったとか。
現在はSNSの隆盛により、ネット上のいじめはそちらに移行したと聞いている。ゆえに『学校裏サイト』という文化は廃れたと思っていた。
そんなサイトに、愛莉は飛ばされた。
普段使っているSNSとは違う、異質な空間。
真っ黒な背景。
入室にパスワードが必要というアングラ感。
便箋に書かれていた『ここにお前が晒されている』という文章も相まって、愛莉の不安は加速していった。
愛莉は恐る恐るスワイプしていく。
まもなく、それが目に入った。
『盗撮掲示板』
愛莉は唾を飲み込んだ。震える指先でタップした。
掲示板に入り、スワイプしていく。
まもなく『着替え1.mov』というタイトルと、動画のサムネイルが表示された。
サムネイルの背景には、見覚えがあった。
すっ、と全身から熱が引いていった。自身の所属する水泳部の更衣室だったからだ。
全身が震えだした。嫌な汗が滲み、吐き気もこみ上げてくる。これ以上進んではいけないと思うのだが、愛莉の指は止まらなかった。
恐る恐る、動画をタップする。
最初の数秒は、静止画像のように動きがなかった。
まもなく、画面に動きがあった。カメラが何者かの足を捉えたのだ。
愛莉はそれを見て、少しほっとしていた。
カメラの設置位置の関係で、全身は映っていない。現在映っているのは、太ももから下の部分である。足しか映っていないため、誰かを特定することはできないだろう。
全身が弛緩しかけた、そのとき。
画面上を何かが横切った。
ゴーグルが床に落ちたのだ。
瞬間、愛莉ははっとした。数日前の自身の行動が蘇ったのと同時に、寒気が襲ってくる。
思わず画面に向かって「ダメ!」と叫びそうになった。
だが動画内の少女は、愛莉の思いに反して動いた。
少女は、ゴーグルを拾おうとしゃがみ込んだ。
その際、少女の──愛莉の横顔が映ってしまった。
動画内の愛莉は、ゴーグルを拾った後、着替えを始めた。
心臓の鼓動は一層激しくなる。
タオルで身体を拭く様子が映っている。
太ももから下しか映っていないが、画面の中の愛莉は全裸なのだ。
(お願い、これ以上何も映らないで……!)
スマホをぎゅっと握りしめる。
画面の中の愛莉が、下着を履こうとした。
そのとき。
身体を折り曲げた際に、愛莉の尻が映ってしまった。
愛莉の全身がかっと熱くなった。だがすぐに冷水を浴びせられた心地になる。
まもなく、動画は終了した。
愛莉は、震える手で画面をスワイプをしていった。
投稿された動画の下はコメント欄になっていた。
そこに書かれていた文字列を見て、愛莉は戦慄する。
「水◯愛◯ちゃんの着替え(*´Д`)」
「ちらっと見えるお尻がエッチw」
「バックから突きまくりてー」
「綺麗な足にむしゃぶりつきたい」
「踏んでもらいたい」
「今日だけで三回ヌイたわ」
おぞましいコメントを目にし、愛莉はスマホを取り落としてしまった。
両手で口元を押さえる。喉の奥からこみ上げてくるものがあった。だが出てくるのは引きつった声だけだ。
愛莉は叫びだしたくなるのを必死に堪えた。
恐怖と羞恥に囚われ、涙と嗚咽が止まらなくなった。
コメント
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ゆめかだよ〜🌸 第1話読んだけど、冒頭のラブレターかもってときめくシーンから一転、裏サイトの盗撮動画で心臓ぎゅってなったよ😭 「ダメ!」って叫びたくなる展開がリアルで、特にゴーグル落とした一瞬で特定されちゃう怖さが刺さった… 愛莉の心情の揺れ方が丁寧で、これからどうなっていくのか気になりすぎる!!続きが待ちきれないよ〜😢💕