テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ーー兄と一緒にいたいーー
あれはいつに言った言葉だっただろうか?
「お前には価値がない」
そう言われ続けてきた。
価値のある存在になれ、お前にはまだ価値がない、もっと勉強しろ、お前には才がないのだから、もっともっともっと、、、
何故出来ない?お前の兄は出来たのに、、、
兄はいつも優秀で俺の目標だった。だが兄はいつも本ばかり読んでおり、いつもお父様に
「本ばかり読んでないでもっと勉強しろ」と言われていた。まさに生きる本の虫だった。
それでも魔法の才も頭の良さも同年代の子供とは比べようもないくらいに良かった。
そんな兄に追いつくために沢山勉強に没頭した、、、。
だか、やはり勉強が足りなかったのか満点を毎回取るのは出来なかった。そんな俺をお父様は許さなかった。いつもお父様の書斎に呼び出され、怒号と度々、躾と言う名の暴行を受けた。
俺がお父様に怒られる時には、いつも兄の名前が出た。
「オーターはこの歳にはもっとできた。だが何故お前には出来ない?あの兄が出来たのだから、お前はもっと出来るはずだろう?」
いつも兄と比べられる。両親もメイドも執事も周りの人間さえも、、、俺と兄を比べる。
毎日毎日血反吐を吐くほど勉強に時間を費やした。だか、兄に敵うことはなかった。
その度に俺は、息苦しさと目尻の熱で胸がいっぱいになった。
泣きたい気持ちを胸の奥深くにしまって、涙を堪えるしかなかった。
兄のことは大好きだ。多重の円を描く瞳は自分の何もかもを見透かしてしまいそうで、吸い込まれそうだった。小さい頃から表情が変わったところを見たことがあまりなかったが、両親のような嫌がる素振りはしなかった。むしろ、少しだけ微笑んだような優しそうな顔をしてくれた。お父様に呼び出されそうになっているのに気付いた時には上手くかわして連れ出してくれた。そんなことから兄のところへよく行った。わからないことがあったらよく兄に聞きに行った。その時は一つ一つ、優しく、丁寧に教えてくれた。
一度だけ兄の魔法を見学させてもらったことがある。兄の魔法はしなやかで、兄の瞳のように輝く金色の砂が綺麗で、兄の動きに従って動く様子がとても美しいかった。触れてみればほんのりと暖かく、さらさらと手から滑り落ちていった。
だから、 自分の魔法が好きではなかった、、、。兄のように綺麗な魔法を使いたかった。自分の魔法は、兄のようにさらさらとした綺麗なものではなく、ドロドロと触れれば冷たく、汚れてしまい、醜い自分の心を表しているようで好きになれなかった。
兄と自分を比べてしまう。考えたくもないのに、、、。大好きなのに、嫌いになってしまいそうで。
ーーある日、分からないところがあったから兄様に聞きに行こうとした途中ーー
「、、、ー!~~~ーー?」 「~〜~ーー。ー!」
メイド達の話がたまたま聞こえてきた。
僕は咄嗟に身を隠した。
そこで耳にしたのは、、、
兄が家から出て行くということだった
メイド達が過ぎ去った後、駆け足にも近い早足で兄のところへ向かった。
「兄様、、、」
「ワースか、どうした?」
「兄様、家から出て行ってしまうのですか、、、?僕は、、、兄様と離れたくありません。兄様と一緒にいたいです」
「っッ」
兄にしては珍しく、目一杯目を見開いてこちらを見ていた。
何か変なことを言っただろうか?
少し時間が経ってから兄は
「、、、すまない、だが私は行かなければならない」
と言った。頭では仕方ないと、自分が言ってはいけないと思っていた。
わかっていたはずなのに、、、
このままここにいては、泣いてしまう。迷惑をかけてしまう。今すぐにこの場から居なくならないと、、、。
「ッ、、、我儘を言っ、てしまい、も、もうしわけ、ありませんでしたッ。 失礼しましっーー」
パシッ
出て行こうとしたら、突然腕を掴まれた。
そして
「必ず、またむーー!」
その続きは上手く聞き取ることが出来なかった。
だって涙が頬を伝っていることに気づいてしまったから。迷惑をかけたくなかったから。急がないとと思って、逃げるようにその場から去っていった。
ただただこの時は悲しくて悲しくてどうにかなってしまいそうだった。この家で唯一味方である兄まで居なくなってしまうと、自分はどうやって生きていけばいいのか分からなくなってしまう。兄がいなければ、そんな思いに包まれた。
ーー兄様は僕のことをどう思っていたのかな?ーー
自分のことが好きではなかったかな?鬱陶かったかな?迷惑だったかな?だから行ってしまうのかな?
ーーいや、当たり前か、、、。だって、両親からも使用人達にも嫌われているのに、あんなすごい人に好かれるはずがなかったんだ。
泥のように汚い感情が自分の中を巡って行くのがわかる。
ーー嗚呼、嗚呼、、、、あゝ、アアァああああ
その日から前以上に勉強に打ち込んだ。睡眠時間を削ってでも。
だってそうしないと、、、どうにかなってしまいそうだったから。
そんな気持ちを抱えながら数日が過ぎていき、
その後、すぐに兄は家を出て行った、、、。
自分の唯一の心の支えが居なくなってしまった。自分をこの家に置いて、、、。
43
シロクロ🖤🎧
コメント
1件
わあ〜〜〜第1話からすでに胸がぎゅーってなる…!!😭💔 ワースの「兄様と一緒にいたい」ってまっすぐな言葉、あの無表情な兄さんが目を見開くところ、めっちゃエモい…!!好きすぎて苦しいよ…!自分を泥みたいな感情って思っちゃうワースの心情描写が繊細で、もうずっと抱きしめてあげたい気持ちになったよ…。続きが気になりすぎるから早く更新してね!!🌸📖