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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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目の前には物語最強の魔神。倒れるゼフとレイブン。

まさに絶体絶命。

この場にいる俺と魔神以外、現状を把握していないだろう。



俺は魔神の足元に倒れているクーインをみたのだが、生死は確認できない。

今思えば依頼を誘った時のクーインの様子は少しおかしかった。

もう後の祭りだが。


「マダ意識ガアッタトハ……別ニ良イガ。未ダ感覚ガ……余計ナ事ヲ」


魔神は体を具合を確かめるように自らの体を動かす。

この場にいる誰もが魔神の言葉を理解できないでいる。この場で唯一行動できるのは俺のみ。

魔神は未だにこの場にいる者を気にするそぶりすら見せない。

油断してくれているなら好都合。俺は状況打破のため、行動を開始する。

まずは魔神の目的はサリーを喰らうこと。それが完全復活をするための条件。

俺はサリーの元へ移動を開始、同時に周囲の視線を配る。


「答えろ。お前は何者ぐあぁ」


カインさんは魔神に問いかけ、魔法の構築を開始した瞬間、後方へと飛ばされた。

気にしてないんじゃなかったのかよ。それにしても魔神の魔法発動速度が違う。

魔神は魔法を向けられた瞬間、闇魔法で迎撃した。

魔法発動時間は一秒ほどか。カインさんには申し訳ないけど、これは今後のことを考えるとでかいな。


こんなことを考えている時点で俺は最低なのかもしれない。だが、カインさんは飛ばされた後少し動いていた。

無事でいてよかった。


現在、この場にいる者の立ち位置だが、魔神を正面に全員が対峙している状況。

倒れているレイブンとゼフは魔神の攻撃により、気を失ってしまっている。

モーインとサリーは後衛であったので、魔神から一番遠い位置にいる。


俺は未だダメージを受けていない彼女ら二人を守るように魔神の間に移動する。

魔神はそんな行動に気がついているはずだ。…何故何もせずいるのだろう。


「ヤット目的ガ終了シタカ。……ヤハリソノ女ガソンナニ大切カ。ダガ、分カランナ。何故オ前ハ冷静デ居ラレル?」

「答える義理はないな」


やはり気がつかれてきたか。まぁ、わかっていたから別に良いが。

冷静でいられるか?怖いに決まっている。俺自身恐怖しているが、打開策があるから少し冷静でいられるだけだ。何も策がなければ恐怖で動けねーよ。


「アルト……我ハ貴様ニ感謝シテイルノダ。発言ノ機会クライクレテヤル」

「………そうかよ」


俺は戸惑いながらも魔神に返答をした。

まさか、魔神がこんな会話をするやつとは知らなかった。

いや、絶対強者としての余裕か?ただの玩具としてしか見ていないのか。

魔神未だに何も行動を起こす気がないのか、その場で俺たちを見ているのみ。


「一つ聞くが、俺たちを見逃してはもらえないか?」

「ソウダナ……オ前ハ恩人ダ。我ハギリダケは返ソウ。ソコニイル、クイスノ祖先ヲ差出スナラバ、見逃ソウ」

「……え?」


魔神の提案は予想通りであった。

サリーは自分の名前が出てきたことに驚き、困惑した。


「見逃すね。ちなみにそれはクーインも含まれているのか?」

「ム?……コヤツノ心配カ?コヤツハ裏切リ者ノハズダガ?」

「それでも大切な友人だ。……念のため聞くが生きてるよな?」


これで死んでましたじゃシャレにならない。

クーインには一から説明してもらわないと気が済まない。あの謝罪の意味。絶対聞き入れないと気が済まない。


「安全セヨ。息ハアル」

「……証明はできるのか?」


クーインは倒れてから動いていない。

遠くにいる分見えていないのかもしれないが、所詮は魔神だ。信用できるかわからない。


「ナラ、確カメテ見ルガ良イ」


魔神はクーインを魔力で俺のいる方向へと飛ばしてきた。

俺は魔神から目を離さずに何かあってもすぐに対処できるように体制を整えつつ、飛ばされたクーインを受け止める。

……どうやら息をしている。無事のようだ。


「よかったよ。どうも」

「律儀ヨ。サテ、モウ良イカ?」


ゲームでしか知らなかったが、魔神には自分なりのポリシーがあるのかもしれない。ゲームでは残虐であったのだが。まぁ、そのおかげで現在死人はいない。

これで心置きなく戦闘に入れる。


「ちょっと待ってよ……」

「うん?」


ふと、後ろからモーインの声が聞こえる。

どうしたのだろうか?


「ねぇ……もしかしてアルトはサリーをどうするつもりなの?」

「どうするって……決まってるよ」


見捨てるつもりはない。

何を当たり前のことを聞いているんだ。俺は今まで何を目的に鍛錬を積んできたと思ってるんだ。この時のためだ。


「?!アルト……あなた……」

「良いよ……モーイン」


モーインは声を震えながら、サリーは何かを諦めたような発言をした。

……あれ?何か勘違いしてる。

戦闘中に相手から目を離さないのは当たり前の行為だ。

そのため、後ろを確認できないが。


「私……一人の命で……みんなが助かるんだから」

「サリー!ダメだよ」


サリーはそう言いながら俺の横を通り、魔人の元へ移動しようとし、そんなサリーにモーインは泣きながらサリーの手を引き、引き止めようとしている。

俺は自らを犠牲に皆を助けようとしているサリーの左肩に右手を置いて話し始める。


「サリーさん……話をややこしくして申し訳ない。大丈夫。俺がやつを倒すから」

「アルトさん……しかし、幾らアルトさんでも「大丈夫」……」


倒せない。

おそらくサリーは最後に言うつもりだったのだろうが、俺はあえて遮った。それは不安を払拭するためだが、何より彼女が涙を流していた。

おそらく彼女は威勢を張っていた。


俺はそんな顔を見るために努力したんじゃない。君の笑顔を見るために、幸せになってもらうため努力してきたんだ。

俺は魔神と対峙するため、歩き始める。


「泣いてる顔は似合わない。君には常に笑っていてほしいから」

「……え?」


サリーは一体どんな表情をしたのだろうか?

少しむず痒いセリフだが、俺は死ぬかもしれない。終わった後、今まで通りのままでいられるのかわからない。だから、最後にその思いだけは伝えたかった。


「アルトヨ。好イテイル女ノタメニ我ニ立チ向カウカ」


俺は魔神の言葉を聞きながらも剣を八相に構えて向かい合い、魔力を体内で循環させ、リミットを外すため脳に負荷をかける。


「フルブースト」


人間は常に力を制御しているため三割しか力を出せないが、魔力で無理やりリミッターを外した。これは魔力を一切消費せず、部位強化以上の力を発揮できる。

だが、そのリスクとして体が壊れるかもしれない。


魔神相手にまともなやり方では勝てない。


才能がないなら努力と発想で補う。

フルブーストはいわば俺の集大成。


覚悟を決めろ、出し惜しみはしない。











俺モブじゃん……〜ギャルゲの世界に転生した俺は超不遇当て馬ヒロイン救済のため、奮闘する〜

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