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ラキアスは私が名前で呼び始めると嬉しそうにした。

彼は本当にミランダのことが好きなのだろう。

私は彼にミラダイヤモンドをブランド化し、帝国に輸出したいということを話した。


「すごく良い考えだと思います。僕ができるだけ買い取るようにしますね」


ラキアスはミランダのためなら何でもやってくれそうだ。

レオハード皇家ご用達のダイヤモンドとなれば価値が出るだろうからありがたい。


できれば、彼の母親である皇后陛下御用達という称号が欲しい。


「宜しければ宝石を加工する職人などを紹介して頂けますか? 加工は帝国でして、宝飾品として売り出せればと思っているのです」


「アーデン侯爵に相談してみますね。宝飾品店もやっているし、商品のブランド化みたいなものも上手だと思います」


アーデン侯爵といえば世界的にも有名な富豪らしく、手広く事業を展開していると聞いた。

そのような人物と会話するのも次期皇帝候補である彼ならば簡単なのだろう。


「ありがとうございます。少し外を散歩しましょうか、ラキアス」


私は、エイダン卿の睨むような視線に耐えられなくなった。

外を散歩しながらなら、これほど視線を気にしなくて済むだろう。


彼は私がラキアスの好意を利用しようとしていると思って、軽蔑しているのだろうか。


睨むような視線の意味を感じると、モヤモヤしてくる。

現状、ラキアスは持っている権力は絶大で、私のお願いなら何でも聞いてくれるくらい私に惚れていそうだ。


私だって、このような男におねだりをするような真似をしたくない。


しかし、弱小国家の幼い王女の話を、世界的な富豪がまともに聞くだろうか。

同じ相談でも私が話せば良いカモにされて、次期皇帝と言われるラキアスが話したら真剣に取り組まれるだろう。


私はミラ国を豊かにするために必要な行動をしていると、エイダン卿に言い訳をしたくなる気持ちを抑えた。


ラキアスは多くの付き人を連れていて視線に慣れているのか全く気にならないようだ。


「花の香りが優しいですね。あのピンク色の花、ミランダみたいで可愛いです」


私はエスコートをしながら嬉しそうに笑いかけてくるラキアスの美しさをひたすらに眺めた。

私は花を見るたびに頭の中に花の名前が入ってくる。


図鑑を持ち歩き、すぐにミライに記憶が残るように名前を覚えさせた。

ただ花が綺麗だと頬を染めながら話すラキアスを美しいと感じるならば、ミライの心を汚し続けたのは私だ。


「肩にハチが止まってますよ」

ラキアスは私の肩に止まったミツバチを自分の手に移動させると、スッと手を空に掲げた。


するとミツバチは空高く飛んでいった。

私はその優しく優雅な仕草に見惚れてしまった。


「今日の空はミランダの瞳のように澄んでますね」

ラキアスが幸せそうに微笑みながら言ってくる。


「いちいち、私に結びつけないでください。流石に照れます。ミツバチが怖くないのですか? 刺されたら痛いですよ」


ハチを追い払ったり殺したりせず、そっと逃した彼の仕草が目に焼き付いている。


「あのハチはミツバチというのですね。黄色と黒で可愛いハチでした。ミランダが刺されなくて良かったです」


ミツバチを見て可愛いと思う彼は、世界のほとんどの生物が可愛く見えているのではないだろうか。


「ハチの中にはスズメバチのように刺されたら命の危険があるものもあるので気をつけてください。ちなみに今のミツバチは人間を刺したら針が抜けなくて内臓と一緒にちぎれてしまいハチの方が死にます」


私は虫の名前も図鑑でひたすらにミライに覚えさせた記憶が蘇って苦しくなった。


虫博士でも庭師を目指すわけでもない彼にひたすらに知識を叩き込んだあの時間は、教育虐待と言われても仕方がない時間だ。


「ミランダは物知りなのですね。そういうところも素敵です。では、ミツバチが間違ってミランダを刺さなくて本当に良かったです。万が一刺してしまってミツバチが死んだら可哀想ですから」


ハチが死んだら可哀想だと言う彼は本当に優しい人なのだろう。


彼は瞳の色がゆえに次期皇帝と言われているらしいが、このような優しすぎる人物に皇帝がつとまるのだろうか。


「ラキアスが皇帝になって、もし戦争になって領土を争うようなことがあればどうするのですか?」


「僕は人が争ったり死んだりするのは嫌なので、領土は渡してしまうと思います。教育係にもいつもそう答えてますよ。皇帝には不向きな人間だと思われているはずです。それに皇帝になったら隣にミランダはいてくれないのですよね。それならば、僕は皇帝になどなりたくありません」


なんて余裕な生き方なんだろう。

羨ましいけど妬ましいと思わないのはラキアスが心からそう思っているからだ。


彼に愛される女性は幸せだろうが、その愛がいつまで続くかに怯えなければならない。


彼は、そのようなことを目の前の女の子が考えているなんて想像もついてなさそうだ。


サレ妻は異世界で次期皇帝から溺愛されるも、元の世界に戻りたい。

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