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「お疲れ様。距離が長かったから疲れたでしょう」
「厳しかったのだ。特に最後の家の前の坂」
確かに着いたと思ったらアレ、というのは結構きつい。
「でもおかげで見晴らしがいいし、庭にテント張ったりしても、周りから見られたりしないで済むんだしさ」
そして先生が、プラスチックバケツをいくつか重ねたものと、カゴを取り出す。
「さて、ドングリ選別用バケツです。ゴミには使っていないから、大丈夫ですよ」
川俣先輩はバケツを外のコンクリート部分に置いて、ホースで水を入れ始めた。
「ではここに、まずはスダジイの実を入れてくれ」
そう言われたので、皆でスダジイを入れている袋を空ける。
入れている途中で。
「ストップ。とりあえず、ここまで」
先輩がそう言って、バケツの中をかき回した。
「これで水に浮いてくるドングリは、まず駄目だ。大体が虫食いとか、成長不良だな」
そう言って先輩は、浮いてきたドングリをカゴで掬って外に出して。
そして沈んだドングリをそのまま水で洗ってカゴですくい、バケツの中にたまったゴミを出してから、またバケツへ戻して水を入れる。
「この要領で沈んだドングリを集めて洗って、水漬けにする。水漬けにするのは、虫を殺すためだ。ドングリの中の虫は美味しいっていう話も聞くけれどさ。残念ながら、先生も私も虫食は得意じゃないんだ。偏見だとは分かっているんだけれどさ」
「まあ、必要なければ、無理して食べる事もないと思うのですよ」
そんな感じで、洗って水を替えてをやって。
「何か、バケツが足りなそうなのです」
「水に浸けている奴をまとめて、どれかバケツを空けられないか」
「やっているけれど、それでも確実に足りなくなりそうなのです」
そんな訳で、100リットルの大型ポリバケツを追加。
「直接ゴミを入れていないので、そんなに汚れていないと思いますよ」
先生が言ったとおり、洗うまでもなくそこそこ綺麗だったけれど、まあ一応という事で洗って。
そんな訳で、スダジイは100リットルの巨大バケツ、ほぼいっぱいに。
マテバシイは25リットルの小さいバケツ2杯に。
それぞれ、処理が完了した。
「まだまだ落ちていると思うからさ。機会があったら拾って、蓄積しておこう」
「それで、ちょっとは試食もしてみたいのだけれど、出来るのか?」
亜里砂さんがそう言う。
「勿論。そんな訳で、スダジイもマテバシイも、ちょっといただいておこう」
先輩はそう言って、両方合わせてカゴ山盛りくらい掬って、玄関に入る。
「さて、次は実食の時間だ。先生、フライパンとバーナー、貸して下さい」
「どうぞ。砂糖もバターも塩も、適当に持っていって下さいね」
「という訳で、いつもの部屋で準備だ」
玄関を入って右側の、いつも雑魚寝したりする部屋に座卓をセット。
先生の言うところの背板を敷いて、その上にガスバーナーを載せて。
砂糖、塩、バターも準備完了。
キッチンハサミも用意している。
「それではドングリの試食会、開始だ」