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下っ端の仕事はだいたいが掃除と決まっている。というかこの部屋は汚すぎる。ずっと気になっていた。まず玄関が汚い。それから廊下というか床が汚い。さっきの床も気にはなったがその比ではない。しかしそれよりも酷いのが簡易シンクだ。どうやら蛇口を捻れば水は出るらしい程度のものだったが、そこにはカップラーメンの食べ残しが積まれていた。シンクの下には一応ゴミ袋があったが全く分別がされてない。シンクの隣には簡易冷蔵庫が備え付けられており、その上には電子レンジが乗っていた。ガスはどうやら引かれていないようで、ガス台が置かれるべきところにはカセットコンロが置いてあった。
そして問題なのは食べかけのお菓子の袋が開かれたまま床に置いてあることだった。床を歩ければお菓子のカスのせいでカーペットの上がザラザラしている。俺の勘だがここには絶対に俺の嫌いなアイツがいる。Gのつくアイツだ。
「掃除用具を探したいんですけど、シンクの下とか引き出しとか開けてもいいっすか?」
「お、おう」俺がそう聞くと井上はそう答えた。俺が何か言う度に動揺するのは何故なんだろうな。
シンクに備え付けの引き出しからはゴミ袋が見つかった。シンクしたの収納庫にはそれなりの道具が揃っていた。台所用洗剤、スポンジ、ゴム手袋、そして布巾が何枚か。封すら切られてなかった。俺はゴム手袋を嵌めるとシンクに溜っているカップラーメンの容器をザッと水で流しながら容器ごとに分別してゴミ袋に入れていった。何度か小蝿と遭遇する。言っておくが俺は小蝿も嫌いだ。