テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
さぶれ-SABURE-
567
K-Takasaka
178
65
鉄の用心棒たちが、一斉に動き出した。
拳銃を持った骸骨が引き金に指をかける。
屋根の上では、クロスボウを持った骸骨が矢をつがえている。
遠くの塔には、長い銃身をこちらへ向ける骸骨が立っていた。
マサカゲが周囲を見回す。
「敵の配置を確認する。正面には用心棒が三体、左右に二体ずつ。屋根にクロスボウ、塔に長距離射撃型」
「囲まれてるじゃん!」
カキが叫ぶ。
「だから突破口を探している」
マサカゲは冷静に答えた。
しかし、六人の体力は限界に近かった。
メバルは牢屋の中でマグマの熱を受け続け、足元がおぼつかない。
アオノは用心棒に打ちつけられた背中を押さえている。
カキは洞窟でクモの巣に絡まれた影響が残っていた。
ミステーは鉄格子を盾代わりに構えているが、腕が震えている。
K-Tも、骸骨の銃撃と鎖のムチを受けた脇腹に痛みを抱えていた。
それでも、彼は全員の前に立っている。
骸骨が発砲した。
K-Tはトンファーで弾丸を受け流そうとしたが、完全には防げなかった。
弾丸が肩をかすめる。
「Kさん!」
メバルが麻酔銃を撃つ。
針が骸骨の腕に命中した。
骸骨はよろめいたが、拳銃を落とさない。
「効きが遅い!」
メバルは二発目を装填する。
用心棒が鎖のムチを振り回した。
K-Tが前へ出て、メバルをかばう。
鎖がK-Tの警棒へ巻きつき、強烈な力で引っ張られた。
K-Tの体が前へ引きずられる。
「Kさん、離して!」
「離すな」
K-Tは警棒を強く握った。
鎖を引いている用心棒の足元へ踏み込み、トンファーで膝関節を打つ。
用心棒の動きが鈍る。
しかし、別の一体が背後から迫っていた。
ミステーが鉄格子を構えたまま突進する。
「壁が歩いている」
鉄格子が用心棒にぶつかり、相手の体勢を崩した。
「ミステー、助かった!」
カキが剣を振る。
用心棒の腕を切りつけるが、鋼鉄の装甲に浅い傷がついただけだった。
「硬すぎる!」
「関節を狙え」
マサカゲが叫ぶ。
「アオノ、右側の用心棒の関節位置を確認しろ」
「右腕、肩部。左脚、膝部。背面に動力接続部があります」
アオノは周囲を見渡し、壊れた牢屋の部品を拾い上げた。
「背面の接続部へ衝撃を与えれば、停止する可能性があります」
「可能性では困る」
「現在の状況では、可能性しかありません」
アオノは鉄格子の隙間から用心棒の背面を狙う。
しかし、クロスボウの矢が飛んできた。
アオノは身をかがめて避けた。
矢が鉄格子に突き刺さる。
「屋根の敵が危険です」
「先にあれを止める!」
カキが叫んだ。
「登れる場所を探す」
マサカゲが村の壁を確認する。
「塔へ向かうには、中央の通路を通る必要がある。正面突破は無理だ」
「じゃあ、どうするの?」
メバルが麻酔銃を構えながら聞く。
「右手の家の裏へ回る。そこに低い壁がある。壁を越えれば、用心棒の配置が薄い」
「そこまで移動できる?」
カキが尋ねる。
「やるしかない」
マサカゲは全員を見た。
「三人ずつに分かれて移動する。Kさんとメバルは正面の敵を引きつける。私とアオノは右側へ。カキとミステーは後方から援護」
「ミステー、援護できる?」
カキが尋ねる。
ミステーはピラミッドの被り物を両手で押さえた。
「頭は硬い」
「頭じゃなくて、その被り物でしょ?」
「頭も少し硬い」
「たぶん聞いてないよ」
K-Tが前へ進む。
「始める」
拳銃持ちの骸骨が発砲した。
K-Tは警棒で弾道をそらす。
一発。
二発。
三発。
すべてを完全には防げない。
弾丸が地面を砕き、K-Tの足元へ跳ね返る。
メバルが麻酔銃を撃った。
一発目は外れた。
二発目が骸骨の胸へ命中する。
骸骨が後退した。
「今だよ!」
K-Tは警棒を握り、用心棒の鎖を受け止めた。
鎖が警棒へ巻きつく。
K-Tは力を利用し、用心棒を引き寄せた。
「メバル、下がれ」
「分かった!」
メバルは後ろへ下がった。
K-Tは用心棒の胸部へトンファーを打ち込む。
装甲がへこむ。
しかし、用心棒は倒れない。
鎖のムチがK-Tの肩を打った。
「Kさん!」
メバルが叫ぶ。
K-Tは片膝をついた。
視界が揺れる。
脇腹の痛みが、再び強くなった。
それでも、彼は立ち上がった。
その間に、マサカゲとアオノが右手の家の裏へ移動していた。
「こちらへ来い!」
マサカゲが叫ぶ。
アオノは壁に取りつき、崩れた石を足場にして上へ登ろうとする。
しかし、屋根の上の骸骨がクロスボウを向けた。
「アオノ、伏せろ!」
矢が飛ぶ。
アオノは間に合わない。
ミステーがピラミッドの被り物を外し、両手で掲げた。
矢がピラミッドに突き刺さる。
「痛くない」
ミステーが言った。
「それ、盾にできるのかよ!」
カキが驚く。
「盾ではない。ピラミッド」
ミステーはそのまま被り物を骸骨へ投げた。
ピラミッドが屋根の上を転がり、骸骨の足へぶつかる。
骸骨が体勢を崩し、クロスボウを落とした。
「今!」
アオノが壁を越え、屋根へ上がる。
骸骨が立ち上がる前に、アオノは背後から腕をつかんだ。
「武器を回収します」
「そこは倒して!」
「必要な手順です」
アオノはクロスボウを取り上げ、骸骨を屋根から押し落とした。
骸骨は地面へ落ち、黒い粒子になって消えた。
ミステーは自分のピラミッドを拾い上げ、再び頭へ装着した。
「戻った」
「戻ったじゃないよ!」
カキが叫んだ。
「でも助かった」
マサカゲは短く頷いた。
一方、広場ではK-Tが三体の用心棒を相手にしていた。
麻酔銃を構えるメバルの腕も、疲労で震えている。
「Kさん、もう一体来る!」
「見えている」
K-Tはガラケーを取り出した。
折りたたみ式の端末を開き、長いアンテナを伸ばす。
アンテナが硬質な音を立てて伸びた。
その先端を握ると、形状が変わる。
ガラケーは、警棒のような武器になった。
カキが目を見開く。
「Kさん、それ、いつの間にそんな形にできるようになったの!?」
「必要だった」
K-Tは答えた。
用心棒の鎖のムチが襲いかかる。
K-Tはガラケー型の警棒で鎖を受け止めた。
警棒が鎖を弾き、軌道をそらす。
続けて、別の用心棒が腕を振り下ろす。
K-Tはその攻撃を受け流し、関節部へ警棒を突き込んだ。
金属が歪む。
用心棒の膝が崩れた。
「今!」
メバルが麻酔銃を撃つ。
銃弾ではなく、麻酔針が用心棒の赤い目へ突き刺さった。
用心棒は数秒停止した。
「効いた……?」
「機械にも効くんだ」
カキが驚く。
アオノが屋根から答えた。
「正確には、センサー部分に物理的な干渉が発生しただけです」
「それ、今言う?」
カキが剣で用心棒の膝を斬る。
装甲の隙間が開き、内部の部品が見えた。
「ここだ!」
マサカゲが鉄片を投げる。
鉄片が接続部へ刺さった。
用心棒の動きが止まる。
「一体停止!」
アオノが報告する。
しかし、塔の上でスナイパー持ちの骸骨が動いた。
長い銃身が、K-Tへ向く。
「遠距離射撃型、照準を開始」
アオノが叫んだ。
「Kさん、逃げて!」
メバルが声を上げる。
K-Tが振り返る。
だが、もう遅い。
スナイパーの骸骨が引き金に指をかけた。
そのときだった。
森の方角から、一本の矢が飛んできた。
矢はスナイパーの骸骨の手首を正確に貫いた。
骸骨の銃口が空へ跳ね上がる。
続けて、二本目の矢が飛ぶ。
矢は骸骨の頭部を貫いた。
スナイパー持ちの骸骨は、塔の上で崩れ落ちた。
全員が森を振り返る。
木々の間から、一人の人物が歩いてくる。
黒い髪。
簡素な服装。
手には弓。
背中には矢筒。
その人物は立ち止まり、次の矢をつがえた。
「次は、どれを倒せばいい?」
静かな声だった。
用心棒の一体が、その人物へ向かって走り出す。
新たな人物は、迷わず弓を引いた。
矢が放たれる。
矢は用心棒の胸部を貫き、内部の装置へ突き刺さった。
用心棒が動きを止める。
カキが口を開けたまま固まった。
「一人で……倒した?」
ミステーが新たな人物を見つめる。
「弓は長い棒」
「弓だよ!」
その人物は、弓を下ろした。
マサカゲが警戒を解かずに尋ねる。
「何者だ」
「名前は、レイナ」
レイナは短く答えた。
「この村の用心棒は、まだ動く。話はあとにして」
彼女は次の矢をつがえた。
残った用心棒たちが、六人とレイナを取り囲む。
K-Tはガラケー型の警棒を構えた。
メバルは麻酔銃を握りしめる。
マサカゲは突破口を探し、アオノは敵の構造を分析する。
カキは剣を構え、ミステーはピラミッドの被り物を盾のように掲げた。
レイナは弓を引き絞る。
そして、鉄の用心棒たちが一斉に動き出した。
コメント
1件
うわあっ第七章、めっちゃ熱かった!!🔥🔥 新キャラ・レイナの登場シーン、弓一本で一気に戦況変えるのカッコよすぎて叫んだ😭💕 Kさんのガラケー変形も「必要だった」の一言が渋すぎるし、ミステーのピラミッド盾化には笑ったけどちゃんと役立ってるのズルいよな!!笑 チームの連携が徐々に形になってきてる感じがじんわり来る…次の展開が気になりすぎる!!