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色々するオタク
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#銀魂夢
こま
237
「ま、私をなぶり殺すなんて、百年早いわ。できるとしたら寝込みを襲うぐらいよ」
銀華はフンと鼻で笑うと、懐から高価な煙管を取り出した。
指先で器用にそれを回し、火をつけて紫煙を一口くゆらせる。
15歳らしからぬ不敵な笑みを浮かべた彼女は、煙の向こうから赤い瞳で神威を挑発するように見つめた。
「団長。正面からやり合う気なら、私はこのビールを全部あなたの顔面にぶち撒けて、そのまま裏切り者のリストにあなたの名前を書き加えるから。……じゃ、私はもう眠いから自室に帰る。阿伏兎、おつまみごちそうさま」
ひらひらと片手を振りながら、銀華はチャイナ服の裾を翻して居酒屋を出て行った。残されたのは、煙管から漂うほのかな甘い香りと、妙な静寂だけだ。
「…………」
「…………」
銀華が完全に去った後、阿伏兎は自分の頭を抱え、深いため息とともに机に突っ伏した。
「おい……聞いたか団長。アイツ、今なんつった? 『寝込みを襲うぐらい』って言ったよな? 自分で自分の首を絞めるような爆弾発言を残して行きやがったぞ……」
阿伏兎が恐る恐る隣を見ると、神威は固まったまま動かなくなっていた。
いつもの糸のような笑顔が消え、その青い瞳がかつてないほど見開かれている。
「団長……? おい、団長?」
「……阿伏兎」
神威がぽつりと、掠れた声で呟いた。
その胸に当てられた手は、衣服の上からでも分かるほど小刻みに震えている。
「心臓が、さっきの何倍も煩い。ドクドクなんてレベルじゃないよ。……頭に血が上って、今すぐ銀華の部屋のドアを蹴破りに行きたくて、体が勝手に動きそうなんだけど……」
「座れ!!! 頼むから座ってろ団長!!!」
阿伏兎は神威のマントを必死で引っ張り、全力で椅子に引き戻した。
神威の脳内では今、銀華の「寝込みを襲う」という言葉が、夜兎の戦闘本能と十代男子の歪んだ独占欲のハイブリッドとして最悪の形で処理されていた。
(アホかあの娘はーーー!! 相手は加減を知らねぇ思春期の戦闘狂だぞ!? 暗殺のプロ同士の高度な心理戦のつもりで言ったんだろうが、コイツが受け取ったらただの不法侵入からの拉致監禁にしかならねぇだろうがよぉ!!)
阿伏兎は冷や汗を滝のように流しながら、必死に言葉を紡ぐ。
「いいか団長、落ち着け! アイツは今、お前を『挑発』したんだ! 『お前の実力じゃ寝込みを襲う不意打ちくらいしか通用しねぇよ』っていう、最大級の煽りだ! そこに乗っかったら男が廃るだろ!?」
「えー……でも、銀華がベッドに横たわって無防備に寝てる姿を想像したらさ。いつもより簡単に、あの細い手首をベッドに縫い付けられるなーって思っちゃって。想像しただけで、なんか、すごく……ワクワクする」
「そのワクワクは完全にアウトなやつだ!!! 少年誌の境界線を越えてるだろ!!」
阿伏兎の必死の説得(誤魔化し)により、その夜、なんとか神威が銀華の部屋へ突撃することだけは阻止された。
しかし数日後。
任務を終えて自室のベッドで爆睡していた銀華は、夜兎の野生の勘でふと目を覚ました。
暗闇の中、妙な気配を感じて視線を天井に向けると――。
梁の上に音もなくしゃがみ込み、暗闇の中で爛々と青い目を輝かせながら、自分の寝顔をじっと見下ろしている神威の姿があった。
「……何してんの、団長」
銀華が寝起きの低い声で尋ねる。
「あはは、見つかっちゃった。銀華が『寝込みを襲うくらいしかできない』って言うから、試しに来てみたんだ。……うん、やっぱり今なら、簡単にめちゃくちゃにできそうだね」
嬉しそうに微笑む神威の手には、なぜか頑丈なロープが握られていた。
銀華は深くため息をつくと、枕元に置いてあった空のジョッキを掴み、天井の神威に向けて思い切り投げつけた。
コメント
1件
第4話、めちゃくちゃ笑いました(笑) 銀華の「寝込みを襲う」発言がまさかこんな形で回収されるとは。神威の「ワクワクする」発言に阿伏兎が正論ツッコミ入れる流れ、最高です。最後の天井の神威、目が輝いてる描写が怖くて面白い。銀華のジョッキ投げで締める潔さも好み。この緩急、好きです。続きが気になります!