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「何故昨日、絵心さんが来たのか。」きっとこの問は、私にとって当分の議題になるだろう。数夜明けた今でもそう思う。
嫌、分かっている。あの人も人間だから、排泄だとか入浴だとかをするのは。理解しているとも。しかし考えてもみて欲しい。コーヒーを持ち私の所に来る理由なんてあるだろうか。労いだとしてもアンリさん経由、何なら豆や粉を渡すだけでも別に良いだろう。そこが分からない。そんな優しさが本当に彼に備わってるかと問われると何も言えない、彼はそんなツンデレでは無いだろう。考えれば考える程分からなくなっていく。考えている時間が勿体ない、気まぐれという事にしておく事にした。
そんなしょうもない議論はそれで片付けておくとして、今日も仕事を始めよう。この間の時、カフェイン摂取はしたが案外よく眠れた。私はカフェインにも勝った。正に無敵。その無敵の力で仕事もすぐ終わらせられたらいいのだが、そんな魔法は使えない。現実を味わいつつ、私は清掃へと向かった。
無心で数時間、ようやく見える限りの全ての汚れを滅ぼした。清掃は、非常に面倒だと昔から思うが、これも仕事なの仕方の無い事だ。しかし自分の部屋以上に職場を掃除していると、非常に変な気分になる。昔の友人が、そのような愚痴を零していたが、こうう事だったのかと今更実感する。
少しの疲労を感じてきた、慣れてきたとは言え、面倒な体力仕事な事にに変わりは無い。でも休憩をする気にはならない、大丈夫だと感じられる。なぜなら自分より年下のアンリさんは更に業務が多い、それに私は仕事がない時は寝て体力を回復しているのだなのでどうせ何とかなる。それでも面倒だが。強がりと愚痴を一緒に零しつつも、次の仕事をこなす為に移動を始めた。
「あ゛ー体力……体力無いわー……やーいカスー……」
いつものように業務終了時は達成感はあるが疲労がすごい……という状況に陥った。体力の無さを自覚し、自分への文句を言うのもいつもの事だ。しかし私はサッカーしないし、疲れても寝たら全快だし、別にこのままで良いと思っている。
今日は足りなそうな備品があったのでそこも含め絵心さんに連絡だ、ふらっと歩くのを堪え、絵心さんの所に向かう。あと少し。頑張れ自分。
「____えーと、これで全部です。ありがとうございました。」
絵心さんに眠くなるようなリストの内容をやっと全て言い終わる。ああ、疲れた。早く帰ろう。帰って秘蔵のおやつを食べて歯磨いて眠りに落ちる。それが私の楽しみだ。早く帰りたい、眠りたい、という欲望が身体に満ちていく。
「ああ、お疲れ。…おい、体調には気をつけろよ」
「え、何ですか珍しい。私はピンピンしてますよ。」
「体調には気をつけろ」って、何だそれ、実家のお母さんか。と一瞬思ってしまったが、よく考えればそれだけ変な表情でもしていたのだろう。どういう事になっているんだ?さっきの欲望は、好奇心で塗り替えられる。
「そうか、なら良い。体調崩されたらこっちも大変なんでね。」
「えっと……あの、そんな変な顔でもしてました?」
「そうだね。」
「ああ、やっぱり……お疲れ様でした……」
聞いたのは私なのだが、ズバッと言われると流石に来る物がある。私は秘蔵のオヤツとベッドが恋しいと思っていただけだ。それなのに心配されるなんて。しかし少し嬉しかったのは事実だ。業務上私の担当の部分に穴が空くのは面倒だから、という事は分かる。それでも何だか、良心で心配された時と同じような喜びを感じてしまう。大人になって心配されたのなんてすごく久々だ、更にそんな嫌いじゃない上司からだ。私がもっと表現豊かな人物だったなら、子供みたいに無邪気に飛んで跳ねて喜びたいくらいだ。何でそんなに嬉しいのかは分からないが。
喜びと一緒に感じる物違和感に疑問を抱きつつ、部屋へと向かった。何だろう、この違和感は。私はついさっき、少し優しくされただけなのに。普通に、いつもある様なはずの事なのに。
今夜は少し、好奇心と疑問で眠れないかもしれない。
スクロールお疲れ様です、今回短くなったかもしれません……やっぱり難しい……やはりちょっと無理ある展開か……?