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「王華、此方を見ろ」
愛華は咄嗟に目を閉じて、反らしたiоにそう言って、iоの顔をムギュッと掴んで無理矢理目を合わさせられたんね。
「でも、見たら!」
iоが言い終わらない内に、愛華が優しく、ハッキリとした声で、「大丈夫だから」って言ったんね。
恐怖と不安が入り混じって、苦しくなりそうだけど、愛華が「ゆっくりでも良い」って言って、そんな言葉で、ちょっとの期待が生まれちゃったんね。
ゆっくり、ゆっくり、目を開いてみたんね。
愛華はiоの全てを見透かしているような、そんな、綺麗な紅い瞳がiоをしっかりと見つめて離さなかったんね。
「愛華?」
目を合わせてから、暫く、愛華は動かなかったんね。でも、人形みたいになったあの人みたいに、目に光がなくなったり、なんてことは無いけど、不安で、怖くて、恐る恐る、iоは愛華の名前を呼んでみたんね。
「お前、自分自身に怯えているな」
愛華の紅い瞳はまだiоを離してはくれなかったんね。キッパリと愛華はiоにそう言ったんね。
iоは、自分自身に、自分自身の能力に怯えてるんね。これは、一応、自覚はあるんね。でも、改まって人に言われると、再度認識する事になっちゃったんね。
「お前の朱と緑のその綺麗な瞳を淋しげに、哀しげに、不安気に揺らすなんて、勿体ないだろう?」
少し微笑んで、愛華はそう言ったんね。iоの目が、綺麗だなんて、冗談はよして欲しいんね。
「冗談なんかじゃないぞ」
「声に出てたんね?」
さっき心の中で思った事に対して返事をされたから、驚いてそう言ったんね。
「何、ただの勘だとも」
クスクスって笑いながら、愛華はそう言うんね。勘だとしても信じられないんね。
「例え普段はその瞳を包帯で隠そうと、誰にも見られないからと、そんな辛そうな目をするな」
「見えなくとも、自信を持った、強い眼差しは包帯越しでも分かるんだぞ?」
ニヤッと怪しげに笑いながらも、優しく愛華はそう言うんね。ちょっとだけ、心が楽になった気がしたんね。
「ありがとうなんね」
iоがそう言うと、愛華は「気にするな」って言って、iоの頭を不器用に撫でてくれたんね。
そっと、優しく愛華はiоから取った包帯を又綺麗に付け直してくれたんね。
「お前は今でも十分強いさ。胸を張れ王華」
一番始めに名前を確認した時以来、愛華からは「お前」って呼ばれてたのに、この時に、強く、優しく、頼もしく、ハッキリとした声でiоの名前を呼ばれて、何だかすんごく嬉しかったんね。
「じゃあ、私はこれで、」
愛華が何かを言い掛けてる時に、iоは思い切って、話したんね。