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地球衛星軌道上、アード星系軍重巡洋艦銀河一美少女ティリスちゃん号。和室。ティナが畳と敷布団を持ち込み簡易的な和室とした部屋で、少女たちの影が重なり吐息が漏れる。
「ひゃぅっ!?……ちょっと、フェル……駄目だってっ!」
「大丈夫ですよ、ティナ。ほら、力を抜いて……私に任せてください。いっぱい勉強したんですから」
「そんないつの間にっ……ぁっ!」
「凄い、こんなに固くなって……しっとりしてる。ティナは敏感なんですね?」
「誰だってそこは敏感……はぁぅっ!?待って!待って!」
「あっ……ここですか?」
「ひゃぅっ!?」
「ふふっ……ティナの弱いところ見つけちゃった……」
「待って待って待って!それは洒落にならない……んぁっ!」
「わぁ……もうこんなに濡れて……グショグショですよ?」
「誰のせいだと……ふぁんっ!」
「心配しなくて良いですよ、あとで一緒にお風呂に入れば解決です。だから安心して私に身を委ねてください」
「フェルっ!それ以上は本当にっ!っ!ひぃああっ!!」
「ふふっ……ティナ可愛い」
地球での騒動を尻目に、少女たちの夜は更けていった。
ああ、色んな意味で凄い夜だった。フェルったらいつの間にかあんなに上手く……え?何をしていたのかって?羽根繕いだけど。
お母さんの羽根繕いは色んな意味で危険だけど、どうやらフェルはいつの間にかお母さんからその技術を伝授されてコッソリ練習していたみたい。お陰さまで色んな意味で酷い有り様になった。
ただ、やられっぱなしも悔しいから私もフェルの羽根を触ってみた。アード人と違ってリーフ人の羽根は羽根繕いは必要ないんだけど、取り敢えず優しく撫でてあげたら予想以上に凄かった。
具体的には言えないけど、フェルが人様の前に出られないような状態になって、慌ててフェルを抱き抱えてお風呂場へ駆け込んだ。浄化の魔法を使うなんて選択肢は無かった。うん……まるで事後だよ。何とは言わないけどさ。
取り敢えずお風呂で身体を清めた私達は、地球の食べ物で簡単な朝食を済ませた。缶詰が中心だけど、パンとコーンスープにサラダ、ベーコンの洋風だ。
フィーレは夜遅くまで資料に没頭していたみたいで、部屋に呼びに行ったらすんごくテンションが高かった。
「ティナ姉ぇ!インスピレーションが止まらないよ!地球のアニメはアイデアの宝庫だよ!」
「何見てたのさ?」
「ゲッタ◯ロボ」
「せめてガン◯ムにしなさい」
宇宙を滅ぼすつもりだろうか?センチネルだけで手一杯だから却下。
ちょっと危ないテンションだったら、フェルにお願いして寝かし付けた。フェルが子守唄を歌うと直ぐに寝ちゃうんだ。
朝食も済ませたし、私としては直ぐに地球へ戻りたかったんだけど。
「今日はティナと一緒に過ごしたいです」
「でもなぁ……」
「……駄目?」
「ばっちゃんに連絡する」
だから上目遣いやめて。私には効果抜群だから。取り敢えずばっちゃんと連絡を取るために回線を開いて。
『昨夜はお楽しみでしたね☆』
「どこで覚えたのさ」
フェルも顔を赤くしない!
「ばっちゃん。ちょっと具合が悪くてさ、今日はこっちで休むよ」
フェルのお願い何だけど、わざわざ言う必要もないからね。
『ありゃりゃ、ティナちゃんが?それは珍しいね。疲れが出たのかな?☆』
『ティナのバイタル値に異常が見られます。一日の休養を推奨します』
アリアが割って入った。私は元気なんだけど、気を利かせてくれたのかな?
『それは大変だ。こっちは何とかしておくよ。フェルちゃん、ティナちゃんとフィーレちゃんをお願いするね』
「任せてください、里長」
通信を切ると、フェルが申し訳なさそうにしてる。
「気にしないで、フェル。二人でゆっくりと休もう」
二人でゆっくりするのも久しぶりだしね。素直に甘えよう。
アリアにとって今回の事件は実害もなく、ブリテンに手を貸す道理もなかったので事件そのものに関与することはなかった。
だが、詳細は掴めていなかったがティナの身柄を狙ったことだけは確実。そしてそれは到底許せるものではなかった。
『連邦首都モスクワに軌道上からの艦砲射撃を提案します』
「駄目だよ、アリア。地球人に私達が手を下すのはティナちゃんが許してくれないし、傷付けるのも許されない。それに、私達だって首謀者が誰か断定出来ていないし」
クレムリンでの会話は完全に秘匿されており、知っているのは大統領本人と腹心のイワンだけである。議事録はもちろん、音声データすら残されていない。
『マスターティリス、では放置するのですか?』
「まさか!これ程の騒ぎを起こしたんだ、大統領辺りが関与しているのは間違いない。忍び込んで読心してやるのも手だけど……指示全部をアナログで出来るとは思えない」
『連邦海軍潜水艦とクレムリンの交信履歴が遺されていました。荷物の受領と目的地への運搬ですか』
「潜水艦がやるような仕事じゃないんだよなぁ。アオムシ見っけ☆アリア、そこから辿れる?」
『お任せを。しかし、少し時間がかかります。その間にティナが地球へ戻りませんか?』
「大丈夫大丈夫、フェルちゃんが張り切っていたから、今頃ティナちゃんは足腰立たなくなってるんじゃないかな?☆」
連邦に先手を打たれたブリテンであるが、ただでは起きないその精神を存分に発揮した。
今回の一連の事件を過激派によるテロリズムであると断定。国内に存在する不穏分子を一掃するために利用したのである。
対象は異星人を批判している団体や個人、更に過激な主義主張を繰り返す組織など多岐にわたる。もちろんこれらの団体や個人は全く無関係なのだが、ロンドンで起きた事件は民間人の犠牲者も出てしまったので世論も味方した。
「へぇ、これを利用するのか。やるねぇ☆」
『一日しか経っていないと言うのに、用意周到です』
「日頃からマークしていたんだろうね。不利益を利用して利益に変える。なるほど、強かな国だね」
『同意します』
また直ぐ様宿泊先の変更を通達。内容は施設の設備に不備があったとして、ロンドンから離れたリヴァプールに変更。現場をティナ達に見せないように計らった。
「分かった、ティナちゃん達に伝えておくよ。多分夕方には現地入りするんじゃないかな?」
「分かりました。私とミスター朝霧も先に現地入りしておきます」
「ティナちゃんには上手く言っておくからヨロシク~☆」
このテロ事件は世界を震撼させたが、ティナ達は巻き込まれていないとして、合衆国で起きたテロとの関連は否定された。
正午前。
『特定完了しました。僅かな痕跡を追跡した結果、大統領補佐官のイワンと言う地球人に辿り着きました』
「大統領には辿り着けなかったかぁ。まあいいや、補佐官ならある程度は知っているだろうからねぇ。じゃあアリア、行こっか」
『はい、マスターティリス』
特定してからの行動は早かった。ティリスは複数回の転移を挟みながらモスクワの地へ降り立つ。彼女のマナならば瞬時に移動できたが、消費するマナを軽減するために万全を期した結果である。
「へぇ、立派な建物じゃん。これがクレムリンかぁ。じゃあ……アオムシにお仕置きと行こっか☆」
まるで獲物を狙う猛禽類のような目で連邦中枢を見つめるティリス。報復が始まる。