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東京都都庁
「知事!!知事!!!」
部下の1人が光岡の元に血相をかいて走ってくる。
「ど、どうした?」
「あの化け物が…!国立研究所から脱走したと連絡が入りました!」
その言葉に、光岡の顔は青ざめ始める。光岡の中では、完全にあの化け物は死んだと思っていたからだ。
「なんだと…?あの化け物は…陸上自衛隊の攻撃で……」
「それは分かりませんが…恐らく生きていたとしか…」
「こ、国立研究所の死者数は…!」
「いぇ、報告では国立研究所に死者は出ていません…」
光岡ははっ?ッと言わんばかりの顔で部下を見る。
「どういうことだ…研究者たちは化け物に接したのだろう…?なのに…あんなに凶暴だった生物が…近くにいた人間を殺害しないなんて思えないが…」
「と、とにかく知事…恐らく化け物は血の匂いを覚えた東京都に戻って来るはずです…一刻も早く対応策を練るべきです…!!」
「あぁ…そうだな。東京都内全区に屋内待機指示を発令してくれ。それと、市ヶ谷から陸上自衛隊の普通科連隊を東京都に派遣するようよろしく。」
「了解致しました。」
東京方面 高速道路
市ヶ谷駐屯地所属 陸上自衛隊 普通科連隊
列を組んだ自衛隊車両が高速道路を走行していた。先頭を走っていた高機動装甲車の窓から煙が漏れていた。
「内田一尉…車内は禁煙ですよ…?」
「いいじゃないか。今くらい…今から戦闘に向かうのだからな。」
「いや…自分たちは東京都防衛の強化のために派遣されただけで…戦闘目的では無いはずですが…」
「ふん…そう言うなよ。どの道…俺たち自衛官は腹をくくらないといけないのだからな。」
その時、高速道路の側面の森から何かが飛び出し、前方を走行していた民間人の軽自動車を体当たりで転倒させる。
「!!ッ止まれ!止まれ!」
自衛隊車両は停車する。高機動装甲車の前には、人間とは思えない体格をした巨大な生物が立っていた。生物は長い舌を巻きながら車内の自衛隊員らを見ていた。
「各員!戦闘用意!!」
「しかし、内田一尉!攻撃許可は出ていません!」
内田は席の横にあった小銃(アサルトライフル)を持ってドアを開ける。
「ここで攻撃せず逃げれば…!俺たちの後ろにいる民間人が殺される!見てみろ!自衛隊車両の真後ろを!」
隊員がミラーで、後ろを見ると、大勢の人たちがパニックになり逃げ惑っていた。内田は無線を取る。
「各員!民間人の命を最優先に行動しろ!逃げる民間人に絶対こいつを近ずけるな!!」
内田はそう言い放つと小銃の安全装置を外し化け物に発砲する。しかし、銃弾は化け物の硬い鱗のようなもので跳ね返される。自衛隊車両の後ろでは数人の自衛隊員らが民間人の避難誘導を行っていた。
「うわぁぁぁ!!!!」
「キャーーーーーー!!!!」
「落ち着いてください!こちらに逃げてください!早く!!」
内田は化け物に向かって発砲を続けるが全く銃が通用しない。内田は苦笑いしながら呟く。
「硬ぇな…何食ったらそうなんだよ…!!」
その時、化け物は太い尻尾を横に勢いよく振り内田を叩き飛ばす。内田はそのまま高速道路から放り出され落下していく。
「ふん……死ぬ前に吸ったタバコが…たった1本か…よ……」