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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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入学式が終わり、俺は裏切り者のクーインと共にクラス発表の場に移動していた。

ついてから思ったのだが、クラス発表の雰囲気は現代日本に似ている。

高さ二メートルほどの掲示板に赤色の大きな布が被せられている。おそらく時間になったら布を一気に引いてクラスを発表するのだろう。

掲示板の周りには新入生達が集まっていて、ガヤガヤと騒がしい。

生徒たちが同じクラスになれるかまた、一部の視線はゲームの主役に集まっている。

大方同じクラスになれないかなと淡い期待をしているのだろう。

もちろん俺の視線もその中の一つに入っている。

原作ブレイクしているが、俺はどうしてもサリーと同じクラスになりたい(個人的希望)

とりあえず原作の強制力でも一生の運を使ってでもいいからなりたいため、祈るようにしてクラス発表まで待機していた。










王立フューチャー学園のクラスは四十人ークラスで三つあり、それぞれABCと分かれている。

組み分けの仕方は特には分からない。

あくまで俺自身の私見だが、能力は平均的になるように振り分けられているわけじゃない。

ご都合主義とでもいうのだろうか?

ゲームではレイブン、モーインがAクラス。

サリーはBクラスとなっていた。

何故サリーだけ別クラスなのかはおそらくシナリオの都合上邪魔だったからだろう。

入学してからの授業でのイベントが頻繁にある。

授業で隣の席に座ったり、教科書を忘れてしまい一緒の本を見たりと楽しそうな日常が繰り広げられていた。

本当にこれだけサリーの扱いに違いがあるとは。

当て馬ヒロインとメインヒロイン、この差は埋められそうにない。

かわいそうに。


「「「「&_&#&#@&#g@」」」」


ふと急に周囲のざわめきが一気に増した。

その場にいる人間が一斉に違うことを発したため、何を言っているのか分からなかったが、雰囲気で分かった。

俺は巨大な布が取り外されていた掲示板に視線を向けた。


「あ」


俺は一瞬歓喜のためか、声を上げる。

ゲーム通りだがクラスはそれぞれレイブンとモーインがAクラス、サリーがBクラスの変わりはない。ただ、俺とクーインのクラスもBだと分かった。


「同じクラスだな」


隣にいるクーインも自分のクラスを発見できたのか声をかけてくる。

俺はその言葉に対してーー。


「ああ。よろしく!」


と一言返した。

そして何かを察したのかクーインはにやけながら俺に話しかけてくる。


「その歓喜の表情の理由は何かな?僕の同じクラスになれたこと?それとも………」


意味ありげな表情で言いながらクーインはサリーの方へと向ける。


「さーな?ま、九割の理由がそう……だ……」


クーインの言ったことに軽口を返そうとしたが、サリーの表情を見て俺は黙ってしまい、クーインも俺の反応を察してからかその後は一切何も言わなかった。

サリーはレイブンとモーインが二人揃って仲良く会話している姿を見て悲しそうな表情をしていた。

それはゲームでも一度も見せたことのない表情。

しかし、その表情は一瞬で笑顔を作り二人の会話に入っていった。

あぁ、本当にサリーは友人想いな優しい子だ。

レイブンとモーインを大切だからこそ自分がレイブンに向ける好意を押し殺し、二人の成就のために身をひく。

本当に恵まれなさすぎる。

その性格故に、死のイベント前でモーインと喧嘩をし、そのまま仲直りできず死別してしまう。

さらにはレイブンに好意を伝えることが出来ず、最後まで気持ちが一切伝わることがない。

本当にどこまで彼女は不遇なのだろう。

でも、だからこそ俺は彼女の美徳に惚れ込んでしまったのだ。

俺はだからこそ彼女の幸せを第一に思ってしまう。

今後俺自身が彼女に好意を向けられることは絶対にないだろう。

別にレイブンと結ばれなくたって構わない。

それでも、出来るだけ抗い、最低限の幸せを味わってもらいたい。

それが俺が彼女に出来る唯一のこと。

俺はまた再度強い決心をする。


俺は絶対にサリー=クイスを救済してみせると。


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