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「ミク……俺のことが、嫌いになったのかよ…?」
言うカイトに、首を何度も横に振る。
「だったら、なんで……」
彼の問いかけに、何も答えることができずにいると、
「言ってくれよ……こんな風に、何もわからないままなのは、嫌だ……」
カイトがふと唇を寄せ、チュッと薄く口づける。
「俺は、こんなにも……おまえのことが、好きなのに……」
瞳に涙を溜めて口にするカイトが、たまらなく愛おしく思える。
「……。……ごめんね…カイト……」
泣く彼の頬に、ためらいがちに手を当てて、
「……カイト…本当にごめんね…」
もう一度同じようにもくり返して、流れた涙の跡に触れた。
「……教えろよ…ミク、なんで、俺を無視したのか……」
「うん……」
「教えないと、また大声出すからな」
私に見せつけるように息を吸い込もうとするカイトの口を、「ダメ…」と、手の平で押さえた。
「……。……あなたに、近寄るなって、言われたから……」
ずっと胸に抱え込んでいた暗い思いを明かした。
「誰に、そんなこと言われたんだよ……」
「……。……女の子たち……ファンの……」
「ファンて……俺のか?」
「うん…」とだけ、首を縦に頷く。
「そう言われて、私はあなたより年上だし……確かに、近くにいない方がいいかなって感じて……」
「なんだよ、それ……ファンに言われたからって、なんで勝手にそんなの決めてんだよ!」
カイトが語気を上げ、怒りをにじませる。
「俺から、そんなことで、離れようとするのかよ?」
「でも……」と、目を逸らしてうつむく。
「関係ねぇだろ……年上だとか、下だとか……なんで、それで別れなきゃならないんだよ……」
キリトが涙で充血した目を拳でこすって、
「離れるつもりなんて、ないから……俺には……」
体の重みでのしかかるようにして、私に抱きついてくると、
「言っただろう……愛してるって……」
しっとりと濡れた唇を押し当ててきた。