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片腕でひょいと軽々と抱き上げられ、あまりの急展開に俺は思わず両脚をばたつかせる。
けれど、トレーニングの後だというのに尊さんの力強い腕はびくともせず
それどころか俺を逃がさないように強く抱き寄せた。
俺の小さな抗議など、尊さんの歩みを止める理由にはならない。
そのまま有無を言わさぬ足取りで、俺はあっという間に、月明かりの差し込む寝室のベッドへと運ばれてしまった。
◆◇◆◇
ベッドに降ろされると同時に、視界を塞ぐようにして覆いかぶさる尊さんの大きな影。
背中に感じるシーツの冷たさと、目の前にある尊さんの熱い体温の対比に、心臓がうるさいほど跳ねる。
重なる唇の熱が、先ほどまでの運動で火照っていたはずの肌に、さらに焦がれるような熱を帯びさせていく。
「ほら、服脱げ」
尊さんの低く、有無を言わせぬ響きを含んだ声が耳朶に触れるだけで、身体が内側から疼くように反応する。
俺は言われるままに、震える手で上のスウェットを脱ぎ始めたが
運動後の汗で肌にまとわりつく布地の感覚が、今の状況をより生々しく際立たせて、ひどく気恥ずかしい。
「……は、恥ずかしいです」
「今さら何言ってる。お前の体の隅々まで、何度も見てるだろ」
尊さんの熱い指先が、汗ばんだ俺の首筋をゆっくりと滑り落ちる。
ただそれだけの合図で、喉の奥から熱い吐息が溢れ、一気に息が上がった。
「っ……」
「随分と敏感になったもんだ」
薄く楽しげに笑いながら、尊さんが俺の剥き出しの肩に唇を落出す。
吸い付くような温かい感触が皮膚に伝わるたび、ぞくりと痺れるような背筋の震えが走った。
「ひゃ……っ」
思わず漏れた可愛くない声に、慌てて口を押さえて顔を背けると、尊さんは満足げに目を細める。
その瞳には、獲物を追い詰めた肉食獣のような鋭さと、底なしの慈しみが混ざり合っていた。
「可愛い」
「うぅ……もう、からかわないでください……」
俺が不満げに膨れ面を作ると、尊さんはくしゃりと、愛おしそうに髪を撫でてくれた。
大きな手のひらが頭蓋骨をまるごと包み込んでくれるような安心感に、俺の緊張はあっさりと溶かされていく。
「体、辛くないか?」
「ん……平気です。……それより、今は、尊さんに……もっと触れてほしくて……」
潤んだ瞳で正直に告げると、尊さんの瞳が微かに、けれど鋭く揺らいだ。
「…素直だな」
次の瞬間、逃げる隙も与えられないほど深く、唇が重ねられた。
最初は優しく啄むような口づけが、徐々に互いの唾液を交換し合うように深く、貪るようなものに変わっていく。