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#衝撃のラスト
山根利広
506
#バイオハザード
SOMAMON7A
159
にょーん
250
短編「黒のランという存在」
閻魔の執務室。
机の上には、古い記録を映し出す水鏡が置かれていた。
映し出されているのは、幼い頃の古流斬。
閻魔は静かに映像を見つめる。
「……やはり違う。」
鬼が尋ねる。
「何がです?」
閻魔は映像を指差した。
「この頃の古流斬には、『曖昧』はまだない。」
「能力はまだ認識を少しずらす程度じゃ。」
鬼も頷く。
「確かに、今とは全然違います。」
映像が進む。
七歳。
誘拐され、マフィアへ連れて行かれた頃だった。
その瞬間、映像の中で能力がわずかに変化する。
閻魔の目が細くなる。
「……ここじゃ。」
「『曖昧』の痕跡が初めて現れた。」
鬼は驚く。
「七歳で?」
閻魔は静かに頷く。
「おそらく。」
「あいつはこの時、初めて人の悪意を知った。」
「裏切り。」
「恐怖。」
「絶望。」
「それほど強い感情が能力へ影響したのかもしれん。」
鬼は腕を組み、少し考える。
「もし……。」
「古流斬が傲慢の善性だとしたら。」
「悪意を知ったことで『曖昧』へ変わった。」
「そう考えれば辻褄は合います。」
閻魔は小さく息を吐いた。
「可能性はある。」
「だが、証拠はない。」
鬼は静かに続ける。
「人間の魂に、別の存在の魂が宿ることは。」
「ごく稀ですが、伝承には残っています。」
「もし本当に。」
「傲慢の善性。」
「古流斬自身の才能。」
「極限の環境。」
「その全てが重なったのなら……。」
閻魔は水鏡を見つめたまま呟く。
「だから理を超えた。」
「だから能力の性質まで変わった。」
「だから、人間ではあり得ない存在になった。」
執務室に静寂が流れる。
閻魔はゆっくりと立ち上がった。
「古流斬。」
少しだけ考え、首を横に振る。
「……いや。」
「今のあやつは、その名では足りん。」
鬼も静かに頷く。
「ええ。」
「あれはもう、一人の少年ではない。」
閻魔は窓の外を見つめ、小さく呟いた。
「黒のラン。」
「それが今のあやつを表す名なのかもしれんな。」
二人は答えの出ない仮説を胸にしまい、静かに執務室を後にした。
コメント
1件
第134話、読み終わりました。古流斬くんの過去が少しずつ明らかになってくる感じ、すごく好きです。七歳で悪意を知ったときに能力が変わったっていう閻魔の分析、胸にきました。純粋だった少年が、過酷な環境で「曖昧」を宿していく過程が水鏡越しに描かれてて、静かな緊張感がたまらなかったです。「黒のラン」っていう新しい名前も、ゾクッとするほど響きが良くて…続きが気になります!