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阿|…ここから…出して……
父|おい何をしている
阿|……何もしてません
父|チッ…変な真似だけはするなよ
阿|…
この暗い部屋が嫌になったのは何時だったか。
この暗い部屋は俺だけの部屋。たまに父親が見に来るだけ。外なんてもう覚えてもいない。いつまで外の景色を見ていたのか、思い出すことさえ億劫だ。
阿|…ガチャガヂャ…
片手には重たい鎖が付いている。外すことはなくて、もうほとんど感覚がない。
阿|…あぁ……あの人に、…会いたぃ…
俺の人生の楽しみだった“あの人”。もう俺のことなんて忘れたんだろうな。
会いたい…彼の温もりを感じたい。
可愛い笑顔が見たい。頭を撫でてくれるあの手が恋しい。
ガチャッ…
父|おい、
阿|…なんですか?
父|お前、“あいつ”を覚えているか?
阿|…“あいつ”?
父|……“宮舘涼太”
阿|…さぁ…覚えてないな
父|…そうか
何故父は“あの人”を知っている?俺と彼しか知らない筈なのに。
“あの人”…それは“宮舘涼太”。唯一の心からの支えであった彼。また話したい…会いたい…
阿|……涼太…っ…
阿|…今日は、外が騒がしいん だな…
何時にも増して外の音が大きく聞こえる。父が癇癪でも起こして暴れているのだろうか。俺に八つ当たりが来ないといいが…
バンッ!!
阿|…?
母|亮平!!
阿|…母さん?
“亮平”なんて久し振りに自分の名前を聞いたな。そんな呑気な事を考えていたその時だった。
バンッ!!
母|う゛ッ!!?
バタッ!(倒
阿|…母さん?
俺の目の前に急に倒れてくる母親。そう思ったのもつかの間。地面には赤くキツい匂いの血が流れ始めた。銃で撃たれたのだろう。
でも…その傷口に見覚えがあった。
背中に“三角形”かの様な銃の傷口…
あぁ…覚えてる。俺に銃を教えてくれた優しい、愛おしい“あの人”の顔を…
|…待たせてごめんね…行こうか
阿|…遅いよ…“涼太”…
宮|んふ笑、でも“涼太”とは呼んでくれるんだね?…ニコッ
阿|…うん
宮|ここまで来たら安心だね
阿|…ここは?
宮|…覚えてないかな?俺が亮平に銃を教えた場所だよ?
阿|…あぁ…ここだ
宮|…よく俺だってわかったね?ニコッ
阿|…銃で撃った場所…形が三角形だった。それは貴方しかしない撃ち方だよ…
宮|んふふ笑、良かったぁニコッ
阿|これからは一緒に暮らせる?
宮|俺が捕まらない限り、一生だよ
阿|…俺が離さない…貴方だけは ギュッ
宮|わっ……んふ笑、ありがとぅ…ニコニコッ
阿|涼太、早く!
宮|亮平早いよぉ~…!
阿|涼太が遅いだけ!
宮|はいはいっ!…
阿|わぁ…綺麗だ
宮|綺麗だね、ここで満月が見れるの?
阿|周期的にはね。しかも今日は最も満月が大きく見えるって言われてるんだよ?
宮|ふ~ん…なんで俺より賢くなっちゃったの?
阿|地頭が良いってこと
宮|むぅ…マウント取るんじゃねぇ
阿|んははっ笑
阿|涼太?
宮|…ん? ニコッ
阿|今日は…いや今日も、“月が綺麗ですね”?
宮|!
宮|…“月は…ずっと綺麗でしたよ”?/ ニコッ‥
阿|!……んはっ…そうだね…
阿|チュッ……
宮|チュッ…
満月の下
俺はようやくこの言葉をあなたに言えました
この小さな音は俺だけの物です
誰にも貴方を渡しません
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