テラーノベル
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ライブが終わり、楽屋のにぎやかさも消えていった。
みんなそれぞれ帰っていき、
夜の空気だけが静かに残っている。
涼ちゃんも家に帰ってきていた。
玄関で靴を脱いで、部屋の電気をつける。
さっきまで楽屋で笑っていたのに、
部屋はしんと静かだった。
バッグを床に置いて、ベッドに座る。
そのまま、少しだけ天井を見る。
(……若井)
ふと、名前が浮かぶ。
スタジオでも、楽屋でも。
若井はあまり目を合わせない。
話すときも、少しだけきつい。
別に怒鳴られるわけじゃない。
でも。
「……別に普通じゃない?」
そんな言い方を、何度かされた。
涼ちゃんは膝を抱える。
(オレ、なんかしたかな)
ぐるぐる考え始める。
最初に会った日のこと。
スタジオでの会話。
YouTubeの撮影。
全部思い出してみる。
(どこで嫌われたんだろ)
答えは出ない。
若井はもともと静かな人だし、
そういう性格なのかもしれない。
でも。
他のみんなには、そこまで冷たくない。
(オレだけ…?)
そう思うと、胸の奥が少し重くなる。
別に、怒っているわけじゃない。
ただ。
仲良くしたいだけだった。
同じバンドだし。
一緒に音を作っていく仲間だし。
(どうしたら仲良くなれるんだろ)
ベッドの上で、少し丸くなる。
(もっと話した方がいいのかな)
(それとも、ほっといた方がいいのかな)
考えても、答えは出ない。
さっきまでの楽屋の笑い声が、
頭の中でぼんやり浮かぶ。
その中で。
若井だけ、少し離れた場所にいた。
涼ちゃんは小さく息をついた。
「……難しいな」
ぽつりと呟く。
部屋の中には誰もいない。
それでも涼ちゃんはしばらく、
若井のことを、ぐるぐる考え続けていた。
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