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「このように、銀杏の実は強いアルカリ性です。ですから、扱う際は必ずゴム手袋をして下さい」
「手袋をするのは、臭いからじゃないんだ」
彩香さんの言葉に、先生は頷く。
「臭いからというのもありますけれどね。そしてまず、こうやって水の中で皮を剥いて、この中の硬い種の部分を出します。今回は数が多いので、まずは種を出すところまでです。種を出したら、外側の部分はシンクの三角コーナーに、種の部分はここに新聞紙を敷きましたので、その上に置いて下さい。次の段階で綺麗にしますので、まずは実を剥くだけです。ではどうぞ」
何でもまずやってみたくなる美洋さんと未亜さん、それに亜里砂さんがゴム手袋をして、剥き作業を開始する。
「この硬いのは、どうすればいいですか」
「手で駄目なら、そこに出しておいたプライヤーを使って下さい。本当は、あと1日水に浸けたら楽になるのですけれどね。この匂いのものを、部屋に置きっぱなしにはしたくないので」
何せ遠征して5人で拾いまくった銀杏だ。
なかなか無くならない。
なので僕と彩香さんも参戦。
とにかく、剥いて、剥いて、剥いて……。
匂いすら気にならなくなった頃、やっと全部を剥き終えた。
「それでは、シンクの中を一度片付けますよ」
剥いた外側を、ゴミ袋に入れて密閉する。
そして再びボールとカゴをセット。
中に水を入れながら、さっき剥いた中身を投入した。
「次は仕上げ洗いの作業です。まだ実に外側の柔らかい部分が付いていますので、それを洗って綺麗にします。水に浸けたままでもある程度は流れるのですが、ここは積極的に洗いに行きましょう。たわしを使った方が楽ですよ」
今度はゴシゴシと、洗い作業。
洗った中身は、また水に浸けて……と、繰り返して。
「さあ、そろそろいいでしょう」
そう言って先生は、水に浸かった種全体をゴロゴロとかき混ぜて、何回かゆすいでゴミ部分を取り、そして実を新しい新聞紙の上に広げた。
「これで取り敢えず完成です。ただ折角ですし味見をしたいですよね」
うんうん、と、全員が頷く。
「そんな訳ですので、取り敢えず少しずつ」
先生はそう言いながら大きめの種を選んで、茶封筒に入れた。
「これを電子レンジに入れて、強にして、時間目一杯にして加熱します」
しばらくすると、バチッ、バチッ、という音がはじまった。
音が止んだところで、先生は電子レンジを止める。
「これで完成です。熱いので気を付けて下さいね」
そう言って袋を開け、銀杏を新聞紙の上に出す。
硬い殻が割れていた。
「食べ過ぎると体に悪いし、これは試食ですから、今日は1人2個までですよ」
僕も1つ取ってみる。
割れたところに力をかけると、殻は簡単に剥けて、黄緑色の実が出てきた。
お、これはホクホクしていて、美味しい。
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