コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その後、鰄郎はすぐに治を担いで
事務所へと戻った
医務室で、鰄郎と治の2人きりで話を
した
「…痛むかい、治君」
「はい、集中しすぎて自分の怪我に気が
つけていませんでした」
「集中ってのは、メリットの方が多く見える
けれど、その分少ないデメリットの内容が
重いんだ」
治が、神妙な顔をして話した
「俺、自分に能力が数個ある気がするんです」
「…ほう、自分でどんな内容の能力か
把握出来ているかな?」
「いや、よくわからないです」
「ただ、さっき言った通り、いきなりすごい
集中力を持てたり、身体能力が上がったり、
痛みを忘れるんです」
「…治君、それに関する話をひとつしよう」
「世の中には能力を数個持つ者が
少なからず存在する、その者を海外では
デュアルライダーと呼ぶ、そして2つ目の
能力をサブウェポンと言うんだ」
「逆黒の目的は今回の件で理解した
たぶん、俺と治君への集中攻撃だ」
「えっ、なんでですか?」
「まず、組織を主に整える俺と、強力な
能力を持つ君を真っ先に戦闘不能にしよう
としたんだろう」
「…あの組織じゃ、俺と鰄郎さんはやれ
ませんね」
一方逆黒では…
「まずいです!カノさんが…!!」
「っ!?どうしました?」
「カノさんが…死にそうなんです」
「…なんですって…!?」
血まみれの柳が、憔悴しながら報告した
バドラ、彩、デロルトが医療室へ足を
運んだ
そして、第一に真っ青な顔の健人を見つけた
「健人さん!カノは!?」
「もう…ダメです、助かる見込みが一切
ありません、内臓破裂にトラフグ5匹分の
テトロドトキシン、そして半身全ての
粉砕骨折です」
「彼はまだ生きています、話だけでもして
あげてください、もう、生きている時間は
極めて少ないです」
そう言って健人は部屋の奥に案内した
「なっ…」
そこには、ほぼ面影のないボロボロの
姿のカノが横たわっていた
「あのカノですよ…ありえない」
「…優太?」
彩が涙を流しながら呟いた
「…彩さん」
「…デロルト、これは誰がやったのですか?」
彩が今までにない雰囲気を醸し出して
いた、今までこのようなことは一度も
なかったため、そこにいた幹部は全員
硬直してしまった
「….時織治だ」
「分かりました、とりあえず今は、優太と
話す時間をください」
「もちろんだ、好きなだけ話せ」
その時、カノが死にそうな声でいった
「…..ぉ…俺は……案外….幸..せ…だっ….た
の….かも…..しれ…..な….い…な……..
なんか….寒ぃわ….」
「…カノさん…」
そう言って、カノはこの世に別れを
告げた
その瞬間、全員が涙した、彼をちゃんと
見送ろう、今までの頑張りを讃えよう
それと同時に時織治への憎悪が組織
全体で大爆発した
カノは、腹を横一文字に裂かれ、
さらには左下から右上まで、ざっくりと
裂かれていた
そのあまりな凄惨な遺体の状態に
恐れるものもいれば、怒る者もいた
その騒ぎはやがて大きくなり、可能道力
組織へと伝わった
その時、治は見舞いに来た空と会話を
していた
「ひどいですね…これは一体誰が」
「いえ、誰とかでは無いんですが…」
「…私、夫を失ってからずっと、ずっと
私に呪縛が掛かりました、何が起きても、
無感情で周りからはロボットと言われ
虐められていました、ですがあなた達が保護
してくれた日から、私は表情を取り戻し、
普段の生活に戻ることが出来ましたので
本当に、本当にあなた達には感謝しています」
「いえ、それは鰄郎さんが…」
ドン!
突如、乱暴にドアが解き放たれた
「大変だ治君、空さん、一旦外へ」
「え?あ、あぁ、はい」
状況が理解できない2人は困惑した
「治君、君と交戦したカノが死んだ、それに
よって逆黒内での内部分裂やデモが生じ、
可能道力組織も巻き込まれそうだ」
ドッッッ!!
「!?」
「なんだ!?」
いきなり凄まじい爆発音がした
「鰄郎さん…!」
「…逆黒か…!」
2人はすぐさま医務室を出た、そして
2人が見たものは信じられない凄惨な
光景であった
「出てきましたか」
そこには、血まみれになって倒れている
界乃に、バドラ、彩がいた
(少女…まさか、あの彩か?)
三天展郷抗争時代、2番目に人を殺した
人物は彩である、彩には2つの姿がある。
愛着のあるダラダラとした高校生と
過去が与えた血と涙にまみれた黒い鎧
である
「…彩」
「!」
その時、彩を知らないはずの治が
呟いた
「…私の名前を呼ばないでください、不快
です。」
その瞬間、彩の体が壮大な光を発した
カッ!!!
あまりの光の強さに、治は目を瞑った
「ごふっ!!」
治は大量の血を吐いた
治の体は、彩の黒く、巨大な槍で
貫かれていた
ドッ…
彩は黒い槍を引き抜いた、その時
彩は違和感を感じていた
「…手応えが無さすぎます、何を
したんですか?」
「槍が俺の腹を貫く前に、空間を切り抜いて
別の場所に繋げた、それだけだ」
ブォンッ!!
彩は乱暴に槍を横に斬った
ドッ!
その時、彩の体は漆黒の鎧に包まれた
「発想に関しては驚きましたが、戦闘能力
についてはあまり..」彩が言いかけた時、治は既に背後に移動
していた
「っ!?」
彩は焦って拳を振り上げた
トッ
治は彩に触れた瞬間、鎧が剥がれ落ちた
「えっ…なんで」
治は彩を押し倒し、馬乗りになって
銃口を眉間に押し付けた