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しなもん ここあ たん .ᐟ
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ナンパされてる夜のユラシーア、帰り道。俺は今日も今日とて、紅星の背中を追っていた。影のように、氷のように、そっと後ろを歩く。気付かれていない……はずだ。いや、気付かれていたらそれはそれで、あいつは無視するだろう。俺の存在なんか、煙以下だ。
……なのに。なのに、あいつの周囲に漂う気配が変わった。俺は思わず足を止める。路地の角を覗くと、紅星が酔っ払いに絡まれていた。
胸が、ぎゅうっと冷たくなる。指先が無意識に氷を作りかける。俺の心臓が騒ぎ出す。なんでお前は、そんな無防備な顔をしてるんだ。なんで他人に、そんなふうに近づかれてるんだ。俺じゃないのに。
酔っ払いが笑う。肩に手を置く。紅星は鬱陶しそうに目を逸らす。それだけで、俺の視界が赤く染まるような気がした。氷の下で渦巻く泥のような感情が溢れ出す。焦燥、嫉妬、独占欲。心の声が止まらない。
――殺すか? 凍らせて、粉々に砕いて、誰にも見つからないように捨てちまえばいい。それでいいだろう。俺の紅星だ。誰にも触らせない。誰も寄せない。誰も――
「……何してんだ」
声が低く漏れた。酔っ払いが振り返る。俺と目が合った瞬間、そいつの顔から血の気が引いた。よくわかる。俺は、今、笑っているんだろう。笑って、心の奥はどろどろに煮えている。
紅星が小さく息を吐く。死んだ魚みたいな目で、俺を見もしない。ああ、そうだ。お前は俺を嫌っている。でも、俺だけがお前を守れる。俺だけがお前を凍らせずに済む。俺だけが――
氷の気配に怯えた酔っ払いは、逃げるように夜の闇へ消えた。俺は一歩、紅星に近づく。指先が震える。触れたい。抱きしめたい。閉じ込めたい。でも、唇は動かない。
「……危なかったな」
紅星は無言で歩き出した。俺は影のように続く。胸の奥で、凍った泥がとぷりと揺れた。
――また、溺れるな。俺は、きっと、お前に。
コメント
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うわあ、この独占欲、凄まじいですね……。「凍った泥」みたいな感情って表現、めちゃくちゃ刺さりました。好きなのに嫌われてる自覚があって、でも離れられない、誰にも触らせたくない——その歪んだ執着が生々しくて、読んでるこっちの心臓までぎゅっとなりました。紅星の無関心さがまた痛いですね……。続き、どうなるんだろう。