誠実でなければ、人を動かす事はできない。 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。自分が涙を流さなければ、人の涙を誘う事はできない。自分が信じなければ、人を信じさせる事はできない。
ーウィンストン・チャーチルー
「ハル〜、これはどうすんだ?」 「それは捨てておいても大丈夫だよ〜」
昼下がりのハーバート亭では、クロスの幼なじみであるハルの荷物整理が行われておりハルは小さな荷物を、クロスが大きくて重い荷物を担当してそれぞれ分別していく。
大きい荷物には一体何が入っているのかとクロスは気になっているが、女子の私物を勝手に見るのは良くないとして気にせず運んでいく。
「あ、ねぇクロス。これクロスの部屋に運んでも良い?」
「ん?まぁそんくらいの小ささなら別に邪魔にならねぇし、良いぞ」
クロスからの了承を得た為、部屋へと足を運び荷物を置く。しかし部屋の机には、一際目を引く品が置かれていた。それは五付箋が描かれていた楽譜だった。音符は書かれていないものの歌詞は既にできており、内容はどこか寂しさを感じるものだった。
「クロス〜?これ新曲?」
「ん?…あっおい!勝手に見るな!」
クロスが楽譜を勝手に見られたことでハルの手からバシッと取り上げた。それに対しハルは「あっ取らないで!」と手を挙げて取り返そうとするが、クロスの方が身長は高い為当然の如く届かない。
「ったく、勝手に見やがって…」
「それ新曲でしょ?まだ音符書いてないみたいだけど…」
「まぁ新曲だが…音符はお前に書いてもらおうって思ってな…」
「本当!?任せてよ!作曲なら私の右に出る者はいない!」
ハルは自信たっぷりに胸を張りながら宣言した。クロスは「自称な」と要らないツッコミをした為、ハルからポカポカと殴られている。
その最中にピンポンとインターホンの音がした為、クロスが対応しようとしたがハルが「私が出る!」と元気に駆けて行ったため、「子供だな。」と思いながらもハルに接客を任せた。
今思えばこの判断から間違っていただろう。
「どちら様ですか?」
ハルが尋ねたのは、黒いコートを羽織った1人のスケルトンだった。フードを深く被っているおり顔は見えず、少し気味が悪い為早く終わらせようと思っていた。
「…ここにクロス・トライトンという男がいると聞いてな…」
「…クロス・ハーバートだと思うんですけど…」
確かにクロスの元の名前はクロス・トライトンだが、それを知っているのは極一部の者しか知らない。なのにどうしてこのスケルトンは知っているのだろうか。
「…そうか、ハーバートだったか…別にどちらでも良いが…な!」
突如スケルトンがハルを捕らえようとした。ハルは対応しきれずに捕まりそうになったが。
目も開けられない程強い風が吹き、次に開けた瞬間にはハルは消えていた。スケルトンは目を凝らして探したが。
「お前、ハルに何か用か?」
上から声がした為目をそこに向けると、ハルを肩に担ぎながら屋根の上に立っているクロスがいた。スケルトンがその姿を見て、怒りを露にした。
「クロス・トライトン…俺はお前に決闘を申し込む!」
高らかに宣言した。
繋ぐのは歌
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