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ドラルの開始の合図とともに私は飛ばされたわけなんだけど……。
「どこ…ここ?」
飛ばされた先は森とか平原とかじゃなくて古代遺跡っぽい建造物の屋上。全体を把握するのに丁度いいと言えば丁度いいけど逆に言えば私目立ちまくりって訳よね?今この場にスナイパーとかいたらズドンッて撃たれておしまいよ?この世界観的に銃はないだろうけども…。少なくとも現時点では実装されてないからそれは安心といえば安心だけど多分弓使いとか魔法使いとかは遠距離攻撃が主体だからその中で望遠鏡みたいなアイテムなり魔法なりを持ってると思うのよ。それ使われて私見つかったらおしまいじゃね?魔法なら目立つからまだ剣で切れると言えば切れるけど、矢は目を凝らさんと見えんから無理だね。
とりあえずは一旦周囲の確認から入るけど場所は森の中でその森の中にある古代遺跡の屋上に私がスポーンしたわけだ。マップを開けるから確認するけどどうやら私は円形の孤島の中でも外周のしかも左下辺にいるらしい。この円形の孤島を十字に四等分して左下から時計回りに【森林エリア】【平原エリア】【高地エリア】【海岸エリア】の四種に分けられてる。参加人数がどんなもんかは分からないけど初イベントと言うだけあってそれなりの数がいると予想される。その中で私のいる【森林エリア】は奇襲がしやすいエリアな為盗賊や弓使いが沢山いる、もしくはここを目指すことが予想される。今言ったヤツらがなぜここを目指すと予想されるのかと言うとまず弓使いは離れたところからの狙撃が得意な職でスキルも剣士みたいに自己バフよろしくなものでは無くどちらかというとデバフを付与したり遮蔽物を作り出したり気配そのものを消したりとにかく『虚』を突く攻撃を得意としてるためこの森林エリアは適してるわけである。
次に盗賊だが、弓使いの近距離版というのが恐らく一番伝わりやすい例えだと思う。こっちはとにかく速さと隠密性に長けており弓使い以上に『虚』を突くことに関しては秀でていると思う。更にスキルに【奇襲】とかいう穏やかじゃないスキルがあるのだが、これは相手に気づかれてない状態で攻撃をすると100の確率で会心と状態異常を付与するとかいうアタオカスキルの一つだ。条件さえ整えば化ける可能性のあるスキルで今回の対人戦にはピッタリだろう。というわけで主にこの二種がこの森を目指す、ないし潜伏して気を伺っていると考えられる。
私もこの一週間ただ武器の練習をしていた訳ではなく、ちゃんとゲームの知識などのお勉強もしていたのだ。なので、各職業のスキルや特色など基本的なことだけではあるが頭に入ってる。なので前よりは詳しくなったし、こういうことも考えられるようになったのだ。私だってミーシャに聞いてばっかりのお嬢様というわけにはいかないのだ!
とはいえ、私のリス地的にむやみに動けないのも事実。さっき言った二種に狙われるリスクもあるし、剣士である私に弓使いとか分が悪い所では無い。なので、一旦はこのリス地で待機する。最終的に上位に入れればいいので最初はゆる〜くここで戦況を見て楽しんでおこうかな。
こういう高台で他の人のプレイを傍観するのってラスボス感でてちょっと優越感に浸れて楽しいかも……。なんて思ってたけどそんな優越感はすぐに薄れてしまったわけで…。
「近場に初期防具に初心者いてラッキー♪」
明らかに族と思われる輩が数名私を囲むようにして立ちふさがる。
「早い者勝ちだが、ここは一旦協力と言う形を取ろうか?」
「俺はァイベントの勝敗はどうでもいいんだ。こういうイベントに参加する初狩りをしたくて参加してるんだからなぁ!?」
うわぁ典型的なやられ役って感じ。いやまぁ確かに私の見た目も見た目で弱そうすぎだけどね?
金髪縦ロールの初期防具だから確かに弱そうすぎではあるけど。これ自分で言うのはキモイというか自意識過剰ではあるんだけども私スキルも色々増えたし使う武器もアルナさんの試作品たちだから少なくとも市販の武器よりは強いし何よりこの試作品達癖強武器だったのを何とか使えるレベルまで私が数値では現れない点で強くなったからこの人たち片付けちゃうよ?
見た目だけで判断してしまう浅はかな人物たち割と余裕で片付けちゃうよ?申し訳ないけど私の活躍シーンに貢献してもらうことになるけどいいのかな?襲ってきてるからいいんだよね?やらないとやられるから良くなくてもやりますけどね?
「恨むなら初期位置が悪かったことと自身が初心者のくせに玄人蔓延るイベントに参加事だなぁ!?」
初狩りを趣味という血の気の多いオトコがまずは先陣切って襲ってくる。ここにいる奴ら全員盗賊という職種なのだがその強みを何も活かしてこない辺り本当に私は舐められてるようだ。では、見せてやろう。防具の差が決定的な戦闘力の差ではないということを!
小細工無しに真っ直ぐ走ってくる男に対して腰に装備しているアルナの試作品のひとつ【爆発細剣】を抜いて刺突の構えをとる。刹那…彼女は向かい来る男の後ろに立ちレイピアに付く(別については無いけど)血を拭うために軽く剣をしたに降り鞘に収める。その光景を見ていた二人は唖然として攻撃を仕掛けた本人は何が起きたのか分かっていないようだった。
「あなた残念ね?自身の体に風穴空いてるに気が付かないなんてね。」
その言葉の後切られた男は自身の腹部を確認し後ろに立つプリンに声をかける前に消滅する。
「やっぱりこのレイピア暴君すぎるわ。私じゃあ使うのにまだ少し時間が必要ね。」
「い、今……何が起きたんだ?」
「姿が見えなかった?いや…見えてはいた、見えてはいたがはっきりとは見えなかった。まるでF1が通り過ぎたような速さとその風圧を感じた……。」
プリンは怯える二人の方を向きニコッと笑った後で種明かしをしてくる。
「今の現象の種明かしをしてあげる。私の使う子の爆発細剣は鍔の裏にちょっとした細工がされててね。その細工っていうのが魔力を消費して【風】と【火】の魔法複合を起動して車のエンジン点火のような現象を引き起こす。その推進力を使って彼のお腹に風穴をぶち開けたあとそのまんま後ろに来たって訳。思ったように止まるのは結構苦労したんだよ?前までは起動したらしっぱなしでずっと前に飛んでくはめになったんだから。」
笑顔でそう話すプリンだが、それがとんだイカレ野郎だと言うことにはまだ本人は気がついておらず先に気がついた残された二人は恐怖し武器をしまいゆっくりと後ろに下がる。
だが、彼女がそれを許すはずがなく再びレイピアを使い片方の男の後ろに立つと左手で首を掴み背面から腹部を刺し貫きまた魔法噴射を発動させ壁に叩きつける。
「ふぐぅあ!?」
「勝手ながらに私はこの武器を説明するならどう説明するかっていう問の答えとして『殺人的な加速』ていう答えを出したんだ。どう?その殺人的な加速を生身で受けた気分は?」
「ど…どこのどいつか……知らねぇが…………。あんた、早く……逃げろ………。そして伝え…ろ……。『破滅を呼ぶ金色の悪魔』がここに居ることを……!」
偶然居合わせただけの赤の他人である同じターゲットを狙っていた男に仲間としての意識が芽生えたのかそれだけ伝えるとその男も光の粒となり消えてしまった。
「まぁ、あの勢いで壁に叩きつけられたら死ぬよねぇ?私もこれ使い始めた時は壁に激突してギャグ漫画みたいな形の跡いっぱい作って死んでたもん。」
「あ、あぁ……。く、来るなぁ………来るなぁァ!!」
一度目は追いきれぬ早さで腹部に風穴を空けられた光景を目に、二度目はその殺人的な加速を使い背後を取られた後腹部を貫かれ壁にぶつけられる様を見た。彼は完全に戦意喪失し持っていたナイフを落とし腰が抜けたのか尻もちを着いて情けない声を上げながら後退りをする。そんな彼に対して彼女は逃がすという選択はせずゆっくり歩いて近づく。
「どうせもう私ネットのおもちゃになってるならそっちに舵を切ろうと思うの。だからさ私の話題作りの為にやられてもらおうかな。大丈夫!晒し者になるのはあなたじゃなくて私だから!でも、そうだなぁ。どうせならあなたは別の武器で倒してあげる! 」
そういいレイピアをしまったと思えば今度は一見なんの変哲もなさそうなオーソドックスな片手剣を取り出す。
「見た目は市販品と変わらないこの剣なんだけど、これも同じように魔力を消費すると剣に模様が浮かんできてこれが浮かんでる間は攻撃力と切れ味がアップする武器なんだって!欠点としては常に少しずつ魔力が減ってくこととベースとなってる剣がそんなにいい素材じゃないみたいで値の張る武器とか特注品のとかと相対すると競り負ける点かな?」
「ひっ………。た、頼む!許してくれ!!俺は心を入れ替えた!もう初心者を狙うようなことはしない!
……そうだ!なんならあんたに、いやあなた様に協力しよう!他プレイヤーにデマを流してここに来るよう誘導してポイントを簡単に稼げるようにする!ど、どうだ!?とてもいい案だと俺は思うんだが…」
「大丈夫大丈夫!こんだけヒールキャラ演じてるから今頃観客用のモニターで切り抜かれてるだろうからね!それに私そういう汚い手段でなり上がろうとも思ってないし、私は普通にこのゲームを楽しむ予定だからあなたも一緒に楽しみましょう?」
ゆっくりと真っ直ぐ歩んできてるはずだがその足取りはどことなく千鳥足のようで左右にユラユラと揺れ、右手に待つ剣も体の動きに合わせて力無く揺れるがその剣…いや、彼女から溢れ出る黒い圧に恐怖しそして確かに感じた。『今日自分はここで死ぬ』という死期の気配を……。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「まだ何度でもリスポーン出来るんだからあなたも頑張って上位目指そうね!」
彼の最期に見た光景は満面の笑みでこちらに切りかかる金髪の悪魔の姿だった…。
「……ふぅ。ちょっとラスボス感満喫してたところに出てきたからヒールキャラ演じてみちゃったけど、私の目指す像は可憐な美少女戦姫なんだよなぁ。真逆の行動してるけどまぁ、やってて楽しいしいっか!」