兄貴と話してたあの、デッカイ館の裏庭で二人の主は生まれた。
通常ドールの主は一人だ。掛け持ちをするなら自分の主と同じ数のドール+自分になるのだ。だが、俺には弟も、妹も居ない。兄貴の主はナチスただ一人だ。
(まぁ、そんな時もあるよな)
生まれたばかりで周りをキョロキョロしてる主達の前で膝をついて目線を合わせる。
俺のできる精一杯の優しい声と態度で主達に話し掛ける。
「はじめまして、俺の主達。俺は主達に仕えるドールの独華だ。女だが訳あって男のふりをしている。だから、外では俺の事は津逸って呼んでくれ」
俺は今、上手く笑えているのだろうか。そんな不安な心を悟られないように、しっかりと隠して、主達の頭を撫でる。
「僕は東ドイツ。よろしくね。んと、津逸?」
東ドイツ様こと、東の主は結構控え目な性格みたいだ。第一声で分かるぐらい大人しい。東の主はルビーみたいなスッゲー綺麗な瞳を少し不安気に揺らして俺の名前を確認する。
「おう、宜しくな」
ニカッと笑って見せると東の主は安心したように微笑んだ。
「俺は西ドイツ。よろしくな、津逸」
西ドイツこと、西の主はナチスや兄貴、俺とお揃いのギザ歯を見せつけるようにしてそう言った。俺とお揃いのシトリンみたいなキラキラ輝く瞳の奥から幸せとか、喜びとかの感情が溢れ出てるようだった。
「西の主もよろしくな!」
ニカッと笑いながらそう返す。
「これから宜しくな、主達!」
俺がこれからこの双子の主達を護るんだって心に誓って主達の頭をワシャワシャって撫でる。そんな時だった。
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