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俺がこれからこの双子の主達を護るんだって心に誓って主達の頭をワシャワシャって撫でる。そんな時だった。
クソビエトとクソリカがここに来たのだ。
「「じゃあ、俺が貰うな」」
ほんの一瞬、主達から目を離してクソ達を見ていた時、クソ達が主達の腕を掴んでいた。
「クソ野郎共が!」
俺は思わず声を荒げた。そうして、クソ達の喉元に懐に仕舞っておいた短剣、ブライを突き付けた。
「死にたくないなら主達の腕を掴んでいるその汚い手を離せ!」
そう叫んでいる俺の足は震え、ブライを持っている両の手も震えていた。
「おーおー、威勢のいいガキは嫌いじゃないが、今は要らんな」
クソリカのスカイブルーの瞳が此方を面倒臭そうに見下ろしている。クソビエトの黄金色の瞳は此方を煩わしそうに睨んだ。
「俺は、主達のドールだ。主達と一緒に居る義 務がある」
俺も負けじとクソ達を睨んだ。
こいつらにもドールが居るはずだ。だって、こいつらも化身なのだから。人の心がなさ過ぎる。
それでも、正直これは無謀な抵抗だと俺は理解していた。体格の差があり過ぎるのだ。クソリカは百八十位ある身長で、クソビエトに至っては二メートルは優に超えているだろう。対して俺の身長は百七十一センチ。勝てる気がしない。
やっと出逢えた俺の主達と離れたくない。護り切るんだ。そんな思いが大きく膨らんだ結果か、俺は分身を二人、生み出したらしい。らしいってのには理由があって、俺は分身が生まれると同時に気絶したからだ。
此処からは俺の分身の記憶を頼りに話そう。
俺が気絶した後、分身一と分身二はブライを片方ずつ取って、懐に隠した。
分身一は、東の主と同じルビーの瞳で冷静に、氷のような眼差しでクソビエトを見つめるとこういった。
「次の条件下ならお前を殺さない。一つ、俺と
主を放さない事。二つ、主に危害を加えないこ
と。三つ、本体に触れるな。それだけだ。簡単 だろ?」
ソビエトは、その意見を呑んで分身一と東の主を連れて行った。主達は、それに抵抗しようとしたが、分身一、分身二が止めたらしい。だって、変に抵抗したら逆に主達が危ないだろう?
分身二は、黒曜石の様な瞳で口角を少し上げて、クソリカを見ると、分身一と同じ条件を出した。「こんぐらい出来んだろ?」っていう煽りを付け加えて。それがクソリカにはよく効いたらしく、クソリカはすぐにその提案を呑んだ。
そうして生まれたばかりの双子の主達と俺は早々に離れ離れになった。
一人、気絶した状態で置いてけぼりになっていた俺が目を覚ましたのは夕日が沈みかけている頃だった。
「強く意識しておけば分身の体を動かせて、その状態も見ることができる、か。あんま嬉しくないな」
苦虫を数十匹噛み潰したような顔をして俺はそう言う。「はぁ~」って言うデカイ溜め息を付きながら俺は胡座を組み直した。
「さて、これからどうすっか」
俺がポツリと零した言葉はただ、デカイ館の裏庭に木霊した。