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女子とは話しませんみたいな顔したあいつがマネージャーと買い出ししている所に偶然出くわすなんて、思いもよらなかったな!
雨が降ってきたが、女子と進展があったあいつを見ていたら、俺の心は何だかんだ晴れてきた。
今日は部活がなくてゆっくりできると二度寝していたら、母ちゃんに叩き起こされた。
「朔!ちょっとおつかい行ってきて!」
「え〜」
「え〜、じゃないよ!お小遣いあげるから!」
そう言われた俺は、渋々おつかいに行った。
「雨降るらしいから傘持っていきな」
そう母ちゃんに言われ、俺はでかめの傘を持って家を出た。
いつもの店に着き、メモに書かれたものを買いながらため息をついた。
部活が違う為に、友である紅と過ごす時間は減っていった。
あいつがバレー部で、こっちはサッカー部だ。
夏休みになったら、あいつを呼んで勉強会でもやるかぁ…と考えつつ会計を済ませて店を出た。
そんな事を考えていると、いきなり雨が降ってきた。
「うお!母ちゃんの言う通り雨が降ってきた!」
傘を持つように言った母ちゃんに感謝しつつ、俺は歩き始めた。
しばらくすると、バス停に人影が見えた。自分と同じ学校のジャージを着ていた。
顔を見て、俺は驚いた。
雨宿りしていたのは友人の紅と知らない女子であった。
「おーい!紅!」
俺は迷わず声を掛けた。
「朔!? 久しぶり」
「おう!久しぶり!」
紅の話によると、マネージャーとの買い出しの帰りに雨が降ってきて困っていたらしい。
「マネージャーと買い出しか…ここから学校まで距離あるだろ、この傘使え」
「えっ!それじゃ朔が濡れるだろ」
「いーの!いーの!俺ん家近いの知ってるだろ?」
紅はそうだけど…と口籠っていた。お似合いな2人に機会を与えるのが、友の役割だろ。
「そこの可愛いマネージャーさんと一緒に帰りな」
「…ありがとう、朔」
「おう!」
やっと傘を受けっ取ってくれた友人に、ホッとした。これで良し。
間違いなく母ちゃんには怒られるだろうなぁ…
「…そういえばマネージャーさんって何ていう名前なんだ?」
「えっと、私の名前は小町籐花です…。貴方は…?」
「俺?俺は紅の友達の葉々小朔!藤花ちゃんよろしく!」
藤花ちゃんと挨拶しつつ、紅の方を見ると少し不機嫌そうな顔をしていた。嫉妬してんな。
「取り敢えず俺帰るわ〜、またな紅!」
「あぁ、またな朔」
2人と別れた後、俺は雨が降る帰路を急いだ。