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ちょっと不穏
カランカランッ
「…!」
扉の開く音がする。
宮舘の帰りを今か今かと待っていたメンバー達は一気に扉の方をむく。
そこに居たのは
「…ただいま。」
「ん…」
目元が少し赤くなっている宮舘と渡辺だった。
2人の間には以前の遠い距離感はなく、手を繋いでいるくらいの距離感に戻っていた。
そんな2人を見て、メンバーは安心して息を吐く。
「よかったな!」
佐久間が真っ先に2人に駆け寄り、嬉しそうに抱きつく。
「思ってるよりも早かったね。」
岩本も安心しながら2人を店の中に促す。
「…ありがとう。」
宮舘は嬉しそうに微笑みながら渡辺と一緒に椅子に座る。
もちろん隣に。
メンバーは2人の間で何があって、どう仲直りをしたのかは知らないし、聞く気もない。
ただ、2人の距離感が戻っていることを実感し、柔らかく微笑むのだ。
それからの宮舘と渡辺の任務中の活躍は凄まじかった。
さすが幼なじみ。
お互いが次にどう動くかを完全に把握している。
その行動に合わせてすぐさま攻撃パターンを変える。
2人がセットになると、敵がどれだけ強くても一瞬で終わってしまう。
「最近の2人、めっちゃすごいな。」
ラウールが感心しながら言う。
「俺らも負けてらんねー。」
目黒もそんな2人に感化されてか、最近の活躍がすごい。
目黒だけでない。
ほかのメンバーの実力もかなり上がってきている。
「……」
そんな中、1人俯く。
「ふっか?」
近くにいた阿部が俯いている深澤に声をかける。
「大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込む阿部。
深澤はすぐに顔を上げて
「あはは、全然だいじょーぶ!」
すぐに”いつも通り”の笑顔に戻る。
「….そっか..。」
阿部は違和感を抱きながらも歩き出す深澤について行った。
(深澤視点)
「……」
みんな、すごいな。
ちょっと見ないうちにどんどん成長してっちゃう。
最初は、そんなこと無かったのに…
俺と照がいちばん強かったのに…
最近だと、式神呼ぶ必要もないよ。
すぐ終わっちゃうんだもん。
俺の出番なんてない。
俺が前に出て指揮をする必要も無い。
勝手に動いて、勝手に終わらせてくれる。
俺は、ただ見てるだけ…
強くなんて、なれないよ…..
『ふっかは私にとっての宝だ。』
『君は私の特別だ。』
ボスの言葉が頭の中に響く。
ボスはそう言ってるけど、俺はいつか捨てられるんじゃない…?
活躍なんてできてない…
このままじゃ、捨てられちゃう…!
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
ボスに捨てられるなんて、考えらんない…!!!
大丈夫、大丈夫だよ..
ボスは、こんな俺の事宝って言ってくれる。
特別だって…!!!
「何か…残さ、ないと…」
俺の価値って、なに…..?
「はぁー」
向井は1人、ため息をついていた。
最近の向井の悩み。
“目黒とラウールの距離が近すぎる件”
決してラウールが嫌いな訳では無い。
ただ、大好きな目黒を横取りされたようで、モヤモヤしているのだ。
ラウールの前の目黒は、他人に対する態度や、向井に対する態度とも違う。
距離感が非常に近く、ラウールに抱きつかれても引き離そうとしない。
「俺が抱きついたらちょっと嫌がるやん…」
向井は不服そうに呟く。
そんな気持ちを晴らそうと写真を撮りに来た訳だが、モヤモヤは増すばかり。
「俺だけ、ちゃうやん…」
向井はずっと目黒と相思相愛だとは思っていた。
目黒は恋愛感情を持っていないにしても、自分のことを好きだと思っていた。
「めめの特別にはなれないんやろーな…」
目黒は誰にでも同じ態度で接する。
その中でも自分は特別だと思っていたが、ラウールへの態度を見て、特別ではないことに気づいてしまった。
「諦めた方がいいんかな?」
そんなことを思ってしまうほど、向井は悩んでいた。
「相談、してみよーかな…」
向井はスマホを取り出し、連絡してみた。
「で、俺らを呼んだんだ。」
Royal cafe。
普段は拠点として集まることが多いが、今日は営業時間中なため、一般の客が多くいる。
向井に呼ばれたのは、阿部、佐久間の2人だった。
宮舘は忙しいため、店にはいるが話せるような雰囲気ではない。
「こうじはめめのこと本気で好きなんだね。」
阿部は真剣に向井の目黒に対する恋愛感情を聞いてくれた。
「嫉妬…かぁ。俺はそういう経験ないからなぁ…」
佐久間はジュースのストローに口をつけながら言う。
「話聞いてもらうんやったらこの2人思って呼んだんやけど…2人は恋愛経験あるん?」
阿部と佐久間が交際していることを知らない向井はそんな質問をしてみる。
「恋愛経験、ね。」
佐久間が阿部に視線を送る。
「ふふ」
阿部は怪しい笑顔で微笑み、
「秘密♡」
と、人差し指を口元に置く。
「うわっ!」
阿部のあざとい仕草に悶絶する2人。
「なんやそれ!」
「あざとい警察!逮捕です!!」
すぐさま向井は阿部の肩を揺らし、佐久間が手で手錠を作り、阿部の手首を掴む。
「うわ~捕まった~」
阿部が眉毛を下げながら楽しそうに笑う。
向井と佐久間も楽しそうに笑う。
「どう?少しは楽になった?」
そんな向井を見て、阿部が問いかける。
「!…ありがとうなぁ…」
阿部の”向井を笑顔にする”という目的に気づき、向井は目を細めて笑う。
「まあ、教えられることはないけどさ、なんかあったら俺ら呼べよ。かまってやるからさ。」
佐久間も頼りになる先輩としての言葉をかける。
「少し、楽になったかもしらん。」
向井は、そんな2人に感謝してもしきれない。
向井は阿部、佐久間によって肩の荷がおりた様な感覚がした。